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#337 裁判のIT化→理想論を書きます

どうも,こんにちは。

古田博大(ふるたひろまさ)です。

このブログを初めてご覧になる方は,はじめまして。

いつもご覧くださっている皆様,いつもアクセスありがとうございます。

僕は,1990年生まれで現在30歳。2017年1月から弁護士として働き始め,ちょうど2年半が経過した2019年7月10日にうつ病を発症し,それから今日までずっと休職しています。

うつ病発症からしばらくは,眠ったり食べたりすることもままならず,生きることそのものが苦しい時期が続きましたが,長い時間をかけて少しずつ回復することができました。今は,週2日の休みをはさんで毎日出勤練習(慣らし勤務)を繰り返しながら,復職への準備を進めています。

うつ病をきっかけに「自分も何か行動したい!」と思い,2019年12月から,この毎日ブログを始めました。とはいえ,このブログでは,うつ病に関することだけでなく,日々考えたことを自由気ままに書いています。

書きたいことがたくさんあって,文章が長くなってしまうことも多いですが,ブログの負担が大きくなりすぎてうつ病に悪い影響を与えないよう,書き始めてから1時間程度でアップロードすることにしています(#ほぼ毎日時間オーバーしていることはナイショです

「書きたいがたくさんある」と「1時間でアップする」は両立が難しく,そのため,文章がつながっていなかったり,文章自体がわかりにくかったりと,弊害も多々あるんですが,どうしても「毎日ブログ」を続けたいので,毎日綱渡り状態ですが,アクセスしてくださる皆様のおかげで,今日までなんとか続けることができています(;^_^A

僕のうつ病の経過については↓でまとめています。

それでは,今日も書いてきます!

今日は裁判のIT化についてお話したいと思います。

話をわかりやすくするため,裁判を起こす場合の手続きについて,時系列にそってお話したいと思います。

そもそも,「裁判」は,「訴状」なり「調停申立書」なり,紙の書面を提出しなきゃ始まりません。

2020年にもなって,裁判所には,訴状や調停申立書を受け付けるメールアドレスなんかも用意されず,わざわざ,紙に印刷して裁判所に提出することが必要なんです。

技術的には,裁判所に訴状や調停申立書の受付メールアドレスを用意して,そこにファイルを送信して訴状を提出することは当然可能なはずです。2020年に生きている人なら,これくらいのシステムを用意することは当たり前に感じるでしょう。

しかしながら,天下の「民事訴訟法」には,その133条1項で,「訴えの提起は,訴状を裁判所に提出してしなければならない」と書かれています。だから,メールアドレスにWordファイルを添付して訴状を提出するなんてことは,法律上できません。

だから,いちいち訴状をプリントアウトして,印鑑も押して,他にも「証拠説明書」なんかもプリントアウトして印鑑を押して,証拠にもいちいち「証拠番号」といって,「甲1号証」「甲2号証」という番号を振って・・・という単純でクソめんどくさい作業を経て,訴状を提出しなきゃいけません。

当然,この作業に必要な手間は,弁護士費用として依頼者(お客さん)の負担となります。プリントアウトなどのめんどくさい作業を弁護士(主に弁護士のもとで働く事務員)に押し付けている現行の民事訴訟法は,インターネットやメールがなかった昭和の時代であれば格別,インターネットやメールが当たり前になった今の時代の現状を踏まえると,裁判へのアクセスを阻害していると評価せざるを得ないでしょう。

それと,「訴状」を提出すると,次に「送達」という手続きが待っています。

「送達」とは,文字通り,訴状を相手方に送り届ける手続きです。別に何も仰々しいことはありません。訴状を裁判所に提出する段階で,裁判所用と相手方(=被告)用の2部を提出しているので,そのうちの被告用を,訴状に書いてある被告の住所宛に郵送するだけです。

この「被告の住所宛に郵送する」ことを「訴状の送達」と呼んでいるんです。ね?全然仰々しくないでしょ?

ただ,この「送達」の場合の郵送は「特別送達」という方法がとられるんですね。

ちょっと用語が難しいですね(笑)。

整理すると,「訴状の送達」は「郵送」でやるんだけど,その「郵送」の方法が「特別送達」ということです。

で,この「特別送達」は何かというと,郵便局が,郵送できたかどうかを裁判所に報告するのが重要な点です。郵送できたなら,「郵送できましたよ」と裁判所に報告し,郵送できなかったら「郵送できませんでした」と裁判所に報告します。それが「特別送達」です。

報告する際は郵便局が報告書を作成するんですが,この報告書は「送達報告書」と呼ばれ,民事訴訟法にも書かれている正式な報告書です。

まあ,「特別送達」以外にも,郵便局が郵送できたかどうかを送り主に報告するシステムはあります。

1つは「配達証明付郵便」です。配達証明付郵便で郵送すると,その手紙なり封書が宛先に郵送できた場合,送り主宛に「郵便物等配達証明書」というハガキが郵便局から送り返されてきます。

そのハガキには,受け取った人物の名前と,手紙を送る際にその手紙に付けられた番号が書かれてあって,「上記の郵便物は〇月×日に配達したのでこれを証明する」と書いてあります。

郵便局が,その手紙を何月何日に誰が受け取ったのか証明してくれる,というわけです。

他にも,特定記録郵便なんてものがあります。これは,郵便局が,宛先の郵便受けに何月何日の何時何分に投函したことを,インターネット上のシステムで知らせてくれるものです。もちろん,そのサイトはプリントアウトすることができます。

特定記録郵便は,配達証明とは違って郵便受けに投函するだけなので,それを実際に宛先の人物が受け取ったかどうかはわかりません。そこが,配達証明と特定記録郵便の違いです。

さて,だいぶ郵便について解説してしまいましたが,↑に書いた「特別送達」は,「配達証明」に近いです。つまり,「特別送達」は郵便受けに投函するだけじゃ足りず,被告本人に受け取ってもらうことが必要です。被告本人が受け取って初めて,「特別送達」が完了したことになります。

具体的に言えば,郵便局の配達員が,被告の住所地まで訴状の入った封筒を持っていき,インターホンを押したりして,被告本人を玄関まで呼び出します。その呼び出しに答えて被告本人が玄関まで出てきたら,配達員が訴状の入った封筒を手渡しして,それと引き換えに受け取りのサインを被告本人にしてもらいます。

この「手渡し」と「受け取りのサイン」が済んだら,「特別送達」完了です。

でも,配達員が被告の住所地に行った時点で,被告が不在の可能性もありますよね。というか,そう都合よく被告が自宅にいないことが多いでしょう。その場合は,郵便受けに訴状を投函すればいいわけじゃありません。「手渡し」が必要なので,郵便受けには不在票を入れるんです。「お届けに参りましたが不在でした。○○郵便局まで受け取りに来てください」という不在票を入れて,配達員は帰ります。

じゃあ,その不在票を被告本人がわざわざ郵便局まで受け取りに行くでしょうか?不在票には送り主の名前が書かれていますが,訴状の送り主は裁判所です。つまり,不在票を見ると「○○地方裁判所からの郵便物が届きました」ということが判明するわけです。

それを見て慌てて郵便物まで受け取りに行く人も多いでしょうが,それと同じくらい,「面倒だ」とか「やばい。無視するしかない・・!」などの理由で受け取りに行かない人もたくさんいます。

そうすると,「送達」が完了できないんです。「送達」ができないとなると,裁判が始まらないんです。

「裁判」は,当然ですが,当事者双方が対等でなければなりません。憲法上,裁判を起こす権利があるので,裁判を起こすことはもちろん自由ですが,その自由が確保されるためには,裁判を起こされた相手方にも充分に反論を主張するチャンスが与えられなければなりません。

その「反論のチャンス」を与えるのが「送達」なんです。「送達」が完了すれば,裁判の相手方も訴状を受け取っているわけですから,その訴状を見て,どんな裁判を起こされているのかわかりますし,弁護士に相談したりして,反論を主張することもできます。

しかし,そもそもの「送達」が完了していないなら,相手方が訴状の内容を把握することができませんから,反論を主張することもできません。「送達」ができないまま裁判が進んでしまえば,相手方が反論を主張するチャンスがないまま相手方に不利益な判決が言い渡されてしまいます。

そんなことが許されてしまったら,裁判への信頼はなくなってしまいます。「相手方に反論のチャンスすら与えないまま言い渡された判決」なら,誰もその判決に従おうとしないでしょう。

裁判への信頼が失われ,誰も判決に従おうとしないとどうなるでしょう。

待っているのは北斗の拳の世界です。「力こそパワー」「力がすべてを支配する」というグロテスクな暴力至上主義社会が待ち受けています。

だからこそ「送達」というのはめちゃくちゃ大事なんです。「相手方に反論のチャンスを与える」ことで,裁判に対する信頼を確保し,「世紀末」を回避するシステムこそ「送達」なんです。

でも,「送達」には住所が必要です。「送達」というのは,訴状に書かれた被告の「住所」に,郵便局の配達員が訴状を持っていく,ということだからです。

でも,今の時代,「住所」がわからない,なんてことよくありますよね?

ホリエモンなんて,住民票の住所地はあるけれど,そこにいるなんてほとんどなくって,世界中のホテルを渡り歩いています。ホリエモンほどじゃなくても,特定の場所に定住していない人は,今の時代,結構多いです。

そもそも「住所」という概念は,農耕革命後の定住社会によって出現したものです。定住社会前の人類は「住所」という概念を持ち合わせていなかったでしょう。

※ちなみに,民法には「住所」の定義が書いてあって,「生活の本拠」が住所とされています。定住社会が形成される前は「生活の本拠」は「活動範囲全部」だったわけですから,「生活の本拠」によって「住所」を限定するなんて全然できません(笑)。

こんな感じで,「住所」という概念を前提に「送達」によって,「反論を主張するチャンス」を確保しようとするのは,定住社会に限った話です。今の時代,農耕社会からは引き返せませんが,定住せずに生きることも充分に可能になりましたし,もちろん,定住しない自由・権利は認められているはずです。

そんな時代において,「定住」を前提にシステムを組み立てるのは,権利を確保する役割を負っている裁判制度として不十分と言わざるを得ないでしょう。

まあ,「送達」ができない場合には,「公示送達」といって,裁判所の掲示板に貼り紙をして送達に代える方法があるんですが,これこそまさに「反論を主張するチャンス」を奪い,「裁判への信頼を失わせる」ものだと思います。公示送達の件数が増えれば増えるほど,裁判への信頼は失われ,「世紀末」がどんどん近づきます。

そもそも,「住所」なんかで「送達」しようとするのが,「定住社会」を前提にしていて間違っているんでした。

だったら,「住所」じゃなくて,メールアドレスやLINE,TwitterのDMなんかで送達できるようにすればいいんです。

これも,裁判のIT化の1つだと僕は思っています。

メールアドレスやLINE・Twitterのアカウントが,被告本人だという確証を何かしらで得る必要はあるでしょうが,被告本人という確証が得られれば,そのアカウント宛に訴状などのファイルを送れば,間違いなく「送達」が完了します。

そのファイルを見るかどうかは被告の勝手ですが,少なくとも「いつでも見ることができる」状態には至っているわけですから,それを見ないことによる不利益が被告本人に与えられても,それは仕方ないでしょう。

被告本人の住所を調べたり,その住所地に送達したりという手間をなくし,公示送達による信頼失墜を回避するために,メールアドレスやアカウント宛の「送達」が実現されるべきです。

これから先の時代は,メールアドレスやLINE・Twitterのアカウントすら持たずに生きていくのはほとんど不可能になります。つまり,「住所」はなくても生きていけるけれども,メールアドレスなしでは生きていけない世界がやってくるわけです。

にもかかわらず,「住所」にこだわるのはおかしいですよね。

裁判のIT化によって,「送達」を変えるべきだと思います。

明日も,もう少しIT化の話を続けます。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら

まだまだ僕のうつ病は治っていないので,毎日うつ病の経過を記録しています。

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):482日(1年3か月と23日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):403日(1年1か月と6日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):362日(11か月と27日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):336日(ちょうど11か月)

・出勤練習(2020年3月30日~):218日(7か月と4日)

今日で,出勤練習を始めて7か月と4日です。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,約6か月間勤練習を積み重ねてきました。

今日は出勤しました。午前9時~午後6時(定時)まで滞在する予定です。

今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),昨晩の午後11時27分に布団に入り,今朝の7時32分までの睡眠が記録されています。寝つきが悪かったような気もしますが,あんまり記憶がありません。ただ,SleepCycle独自の睡眠品質が75%/100%と,睡眠時間の割に悪いので,あまり質の良い睡眠がとれていないようです。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

それほど良質な睡眠がとれていないとはいえ,そんなに調子が悪くはありません。昨日までの2日間の休日で,これでもかと昼寝したおかげで,疲労回復できたからだと思います。

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!・・・↓

昨日のブログ↓

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※うつ病への負担を考慮し、「書き始めてから1時間くらいでアップする」という制限時間を設けています。



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