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外国の方から見た日本

今回は私が過去に読んで面白かった本について書きたいと思います。

フィンランド人のミア•カンキマキさんの
「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」
です。

この本は、フィンランド人のミアさんが、
大好きな清少納言を調べるために、
フィンランドから日本へやってくる話です。


ミアさんは、「枕の草紙」が好きで、
清少納言のことを、「セイ」と親しみを込めて呼んでおり、「セイ」に向かってミアさんが語りかける形で話は進んで行きます。

まるで友達に話しかけるように、
「セイ」に語りかけるミアさん。

その語り口は、まるで一生会えない恋人を慕うかのように、少し切なくもあり、親しみもある。

ミアさんは、清少納言のものの見方や、
考え方に深く共感していて、
生きている人間には話せないようなことも、
大好きな「セイ」には話せるんだろうなと感じる。

清少納言は、鋭い観察眼と、毒のあるユーモアで、エッセイを書いた人だけど、ミアさんも、少し
清少納言と似ている気がする。

ところどころに、清少納言のものづくしリストを
載せてくれていて、こんなことも清少納言は書き残していたのか!と発見があって面白い。

今も昔も、人間が良いと思うものも、不快に思うものも変わらないんだなあと思う。

だから、現代を生きるフィンランド人のミアさんの心も掴んだのだろう。

初っぱなから出てくるこのものづくしリストの一文なんて、あるあるじゃない?今の人も共感できると思う。

いたたまれないもの

思っている人が酔っぱらって、同じことを繰り返してるの。
そばで聞かれているのも知らないで、人の噂をしてるの。それが使用人や、たいした人でなくても具合が悪い。
(とくにうまくもない)自分の歌を人に話して聞かせて、どれだけ人に褒められたかしゃべる男
-ほんとにいたたまれない。
人が起きて話しているのに、寝入っているの。

清少納言を求めて、フィンランドから京都へより

なんか清少納言可愛い。
ミアさんが、清少納言に惹かれるのも分かります。

ミアさんは、京都に滞在するのだけれど、
宿は、オーストラリア人のキムさんという人が経営している「ガイジンハウス」というところ。

そこには同じような外国人が何人か滞在しており、バスルームやキッチンは共同。

本を読む限り、宿は冷房や暖房の設備が整っておらず、部屋もあまり掃除されていないようです。

それでも、京都の苛酷な夏や冬を同居している仲間達と乗り越えていくミアさんの文章は面白い。

ミアさんは日本の夏の蒸し暑さに大変驚いていて、
ハンカチを持つという日本の文化も、
汗を拭くためなのだと納得していた。

ミアさんは、少しでも清少納言の時代を体験するために、実際に十二単を着用してみたり、
様々な京都のお寺や神社、お庭へ行って、
侘び寂びを体験する。

その様子を、時々毒を交えながらユーモラスに書いていて、面白い。

私なんかより、深く平安時代や日本の文化について知っていて、勉強になる。

でも、清少納言についての資料はそんなに多くは
残っていないようで、ミアさんは相当苦労して、
痕跡を辿っていた。

ミアさんと一緒に清少納言を辿る旅ができて、
日本の新たな見方についても知ることができる
本なので、是非オススメしたい1冊です。

今回も画像はお借りしました。
可愛い着物の女の子。

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