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イジメられのカリスマ2  〜娘もイジメられた〜 第玖話

学校を休んで3日の朝。

学校の皆は遠足…

ハナもトトと二人でカカが作った弁当を持ち遠足。

トトは何処に行くかも告げず、鼻歌を歌ってひたすら車を走らせる。

窓の外は見慣れた景色、気づけばジィジの家の近く

トトは車をパーキングに停めて、住宅街をしばらく歩き、美容室の前で足を止めた。

えっ?ハナの髪の毛切るの?

学校行ってないから坊主にされるんかな?

ホンマはトト怒ってたん?

そ~っとトトの顔を見上げると、哀しそうな目で
美容室を眺め、そっと語りだした。

「今はこんなに綺麗な3階建てになってるけど、
 トトが住んでた時は横の家と一緒の2階建てで
 ジィジが一階で工場してたんやで…
 7時40分、小学6年生のトトがこの家から出て来 
 て、あの電信柱に行くねん。」

と言いながら歩を進める。

「ここで、10分待ったら、皆が集まってくる。」

まるでその時のトトがいるみたい…

二人はそのトトを追いかけるように歩を進めていく

何もしてないのに… 普通に学校に行ってるだけやのに叩かれたり、蹴られたり、物投げられたり…
それでも一度も休まず、毎日この道を通るトト…

ハナにはあんなに優しいジィジも、トトには凄く
厳しかったらしい。

しばらく歩くと信号が出てきた。

その信号を渡り左に曲がると公園の前、さっきまでの暴力が嘘みたいに止む。

小学4年生のトトはこの道を天国の道と名付けた…

パンチパーマのおっちゃんが助けてくれた道

そのオッチャンは遠い所に行って、今は逢えないけど、トトは今でも大好きらしい。

話を聞いてたら、まるで今のトトみたい。

ハナもそのオッチャンに逢いたいなー。

公園を過ぎ、交差点を右に曲がると歩道橋が見えてくる。

歩道橋の手前の信号に入るとまた、イジメが再開される。

通称、 歩道橋祭り

その名前とは裏腹に、ヤラれていた事は、酷く
ハナなら2回目以降耐えれないほど残酷だった。

その信号機辺りで押さえつけられ帽子を盗られ、
その帽子を歩道橋から道路に投げられ、一人で虚しく取りに行く。

帽子を隠したり家に置いてきても、上着や靴を盗られて投げられる為、諦めて毎日帽子を被って行っていたらしい。

その話を歩道橋の上で聞きながら、道路を見下ろしていると、その時のトトが見えてきて泪が溢れた。

投げられた帽子が車に踏まれてて、車の運転手さんに謝って移動してもらったり、投げた帽子が走行中の車やバイクに当たって、トトがやったと思われて
怒られたり、追いかけられたり…

怖かったよね…

祭りが終わって学校に行く最後の直線の道でも、

給食袋や体操服を投げられて木の枝に引っ掛かり
苦手な木登りしたり、暴力を振るわれたり…

学校に着いても、同級生、上級生、下級生、女子にまで嫌な事されて…

何でなん?

何で毎日そんな事されてるのに学校に行くの?

何で笑顔でおれたん?

何でそんな人達を笑わそうとしたん?

何でジィジに嘘ついてでも休めへんかったん?

そこまでして学校に何があるの?

何でハナは学校休んでいいの?

慣れたん?慣れるもんなん?

だからトトは強いの?

その時トトが哀しそうに言った…

「強いとか弱いとかないよ…
 皆一緒…
 嫌な事される事に大きいも、小さいもないし
 嫌な事されたら誰でも傷つくし、
 嫌な事してる側も 大きい、小さいが解らなく
 なって、やってる意味さえ忘れて、自分が
 イジメてることすら解らんくなり、 
 それが普通になる。
 でも傷ついた人達は普通やない。
 傷の癒やし方が違うだけで、負った傷は皆一緒。
 そこで癒やし方を間違うと死んでまう。
 癒やし方が分からんまんま引きこもる子も
 おるし…。そらそうやな、そんな世間に出ても
 意味なんかないって思うしな!
 だから今、ハナには両方知ってほしいな~って
 思って…
 トトは外に出て良かったと思ったよ!
 これから、ゆっくりでエエから考えてみ?」

あの時のトトが嬉しそうに学校から出て来たように見えた…

第拾話へ続く…

1日遅れました…
再来週に再開します…













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