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あれから何があったのか。 宮市 亮選手自身の言葉でつづった1冊。

 

 アーセナルとの契約、レンタル移籍、ヨーロッパでの手応えやケガ、ザンクトパウリでの日々、帰国を決意してJリーグへ戻り、再び日本代表としてピッチに立った日のこと、そして、大けがと引退を決意した夜のことを、本書では宮市選手らしく飾らない言葉で語っています。
 
 ドイツで左膝の前十字靭帯を断裂した2015年7月のことを思い出した。一回目の前十字靭帯断裂、あの時はとにかく不安だった。(中略)

 不安で不安でどうしようもない思いを落ち着かせてくれたのが、同じケガをした人の記事だったり、体験談だったりした。
 勇気づけられたことを思い出し、「もしかしたら、今の自分にも似たようなことができるのではないか」と思うようになった。というより、「恩返しがしたい」「恩返しができるかもしれない」。そんな思いだった。
『それでも前を向く』宮市 亮 著(朝日新聞出版)より抜粋

 ケガの治療や痛みの処置に関することから、移籍先のチームで仲間に馴染むために披露する歌の選曲まで、詳細な記述は、自分の経験が誰かのためになるかもしれない、誰かのためになれば、という宮市選手の意図が感じられました。

 18歳でアーセナルと契約して、ヨーロッパへ渡り、フィジカルもメンタルも強度MAXな選手たちばかりの中で、いきなりプロ生活をスタートさせ、人と比べて自信を失くしそうになったり、がんばり過ぎてケガしてしまったり、いろいろな人に助けてもらったり、人と比べるのではなく、自分にベクトルを向けて自分の持ち味を見つめ直したりして成長していくサッカー少年、宮市亮の成長物語のようでもありました。

 本書にはエピローグがありましたが、実際の選手生活では、まだエピローグではなく、これから新章がスタートするところです。

 持ち味のスピードを生かしたスーパーゴールや、またはボックス前の絶好機に宮市選手から水沼選手へのパスが相手DFに当たって、ロペス選手の足をかすめて、なんかごちゃっとなって、結局、宮市選手がゴールするというある意味、奇跡のゴールも、また期待したいです!

『それでも前を向く』宮市 亮 著(朝日新聞社) 2023年12月30日発行


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