同性婚とLGBT理解増進法、当事者不存在の議論
僕自身は同性婚をしたいか
僕はゲイであることを日常で伏せており、一生カミングアウトするつもりはありません。つまり、同性婚をするという選択肢はない。
ただし、仮に大事なパートナーがいて、その彼が交通事故にあってしまったとか、最も側にいて寄り添ってあげたいときに、親族ではないからという理由で病院から面会拒否されれば、どんなに辛いことかと思う。
「同性パートナーシップ証明書」を知ってる方もいるかもしれないが、あれは万能ではない。行政によっては存在しないし、認知度は非常に低く、医療機関がその証明で対応してくれるかの保証もない。その程度のものなのだ。
同性婚を望むLGBTの当事者の気持ちはよくわかるし、その活動をしてる人たちには敬意を払いたいと思っている(当事者といえ、直接応援できないのは申し訳ない)。
ニュースの登場人物と発言(概略)
お分かりだろうか、この登場人物や発言に、LGBT当事者がまったく存在しないと言うことを。
秘書官の発言は、公人•私人問わず、差別的発言であって小学生でもいっちゃいけないこととわかるレベルなので、論外だろう。
当事者視点での雑感
以下の構図と何処となく似ていると感じた。
いじめっ子(秘書官)
→いわれた側(LGBT当事者)
→外から見ているその他大勢(ネット内世論)
「いじめはよくないよ!でもさ〜、いじめられる側にも原因があるんじゃない?だから、かばいすぎるのも良くないよね」
そう言われているように感じる。
これは僕の完全なる感情論であって、論理的でないのは理解している。でも、多くの静かに暮らしているLGBTはそう感じたのではないか?
つまり、LGBT当事者は置いてけぼりまま、勝手に話が広がって、かばわれたり、逆におまえらが原因だ、権利を主張するな、社会を悪くするな等と言われ、いつのまにか知らないうちに叩かれて憎悪の対象になっているわけだ。
こんな状態で、日本は優しい社会になるのかな?と不安に思ってしまう。
僕が異世界に転生して(近年は異世界転生を舞台とした漫画アニメが流行っているらしい)、ストレート男性となって、ストレート女性と結婚して、子供ができたなら、自分の子供がストレートでもLGBTでも寛容に受けとめてあげるし、他人にも寛容になれるような子に育てるだろう(LGBTに不寛容なストレート女性とはそもそも結婚もしない)
感情的な話はこれくらいにして、ここからはもう少し真面目に考えてみることにする。
ネット内世論の考察
ネットで書かれているコメントをみて分析していこうと思う。
※あくまで僕個人の意見であり、他論異論はあって当たり前、押し付けるつもりはありません。
→これは正しいと思う。僕らLGBTをどうしても生理的に嫌悪するという人がいたら、それはどうしようもない。ただし、わざわざ公言しないでほしい、それだけだ。
目の前に黒人がいて、怖いからみたくない、近づかないで!といいますか?という話。
理解はしなくていいが、せめてあなたの周りの大切な人にもLGBTは隠れているだけでいるということには、気づいてほしいと思う。
→逆説的に、とんちで一本とったかのようなコメント。最近このコメントをよく見かける。
報道の自由があるから、報道しない自由もあるよね?(マスコミが自己都合の悪いことは隠して報道しないこと)
これと同じ構図だと言うことに気づいているだろうか?
これを認めないことは、そもそも多様性とはいわない。つまり、主張の根底から論理破綻しているのだ。
→不安に思うのは、LGBTを理解できてないから。何処から紐解いていけばいいのか••頭を抱えてしまう。。
まず、LGBT理解増進法と、公衆浴場などの施設管理の話はまったく関係がない。
この法案ができたら、電車の女性専用車に加えて、男性専用車、セクシャルマイノリティーの車両を設けることになるのか?
民間の団体だって同じ、宝塚歌劇団は男性を採用することになるの?
歌舞伎座や大相撲に女性を採用しなければいけなくなるの?女子校、男子校は?
そんなわけはない。
信じられない人はLGBT理解増進法(案)の全文を読んでみればいい。そんな定めはない。
差別をなくそうという法律であって、区別までなくそうとはされていない(当たり前)。
そもそも、公衆浴場の事例のような痴漢行為をしようとする輩は、LGBTを利用した犯罪者である。LGBT当事者と一緒にしないでもらいたい。
トランスジェンダー(体は男、心は女)の場合、女湯に入っても、周りの人は同性との認識なので、痴漢をするはずがない。
なお、僕自身は身体的に女性になっていなければ、トランスジェンダーといえど、公衆浴場の女湯を利用すべきでないと思っているので、その点は誤解しないでほしい。
過去に僕なりの考えを書いたことがあるので、よろしければ併せて読んでいただければ嬉しい。
いずれにしても、このような1事例を取り上げて、悪意をもってLGBT全体の印象を下げる行為(ネガティヴキャンペーン)をしようとコメントしている人もいる。悲しいことですね。
→なるほど。政治や社会制度に興味関心がある方ほど、一瞬ひるみそうになる論理かもしれない。
では、配偶者控除は不要なので、同性婚を認めてほしいといえば、これらを主張する人たちは賛成してくれるのか聞いてみたい(おそらくそうではないのだろう)。
たしかに、「国勢(国民の数)=国力」という考え方はあるでしょう。
しかし、子供をもうけず、労働をして税金を納める人は立派な国民ではないのでしょうか?
ある意味で、LGBTは労働の第一線からリタイアすることもなく(産休、育休、退職等)、働き続け、企業を支え、国としても経済活動を続けることに尽力しているといえる。子孫を残す国民より劣るとすることが正しいのでしょうか?
仮に子孫が残せないことが、同性婚を認めない理由としましょう。
では、障害や病気(不妊治療しても授からない人もいます)で授からないストレートのカップルは?健康だけどあえて子供をつくらないストレートのカップルもいる。出会いがなく残念ながら晩婚になってしまい、子供が授かれないカップルだっている。
みな認められているのに、なぜ、同性婚だけが否定されるのでしょうか?
なお、自然界の動物ですら、子孫繁栄がすべてではないと証明してくれている。過去の記事ですが、こちらも興味があれば。
→個人的に最も理解に苦しんだ主張に感じた。だが、わりと似たようなコメントが複数みられる。
近親婚(従兄弟はいまも婚姻可)が、なぜ認められていないか。それは遺伝子の問題で、子供が奇形などの障害を持って生まれる可能性が高いから。
生物は異なる離れた遺伝子を持つもの同士が、子孫を残すことで、遺伝子を融合させ、身体を強化してきた。つまり、逆にいえば近すぎる遺伝子は不具合が発生するということ。そのため、発展途上国は別かもしれないが、認める国はないはずだ。
幼児婚(児童婚)そもそもこれを認める理由がわからない。自己で判断できない子供(だから、親や親権者が法律行為を代行している)と、結婚する行為自体が、子供の人権の問題が絡む。これも、一部の発展途上国を別として、なぜ先進国の日本で実施する必要があるのか理解できない。
近親婚も幼児婚も明確に当事者にデメリットがあり、同性婚と同列に考えられるはずがない。
明らかに瑕疵のある例と、無理矢理に同類とみなして、否定したい意図がみえる。
これは概念や抽象論の類い。正直、とくにそれ以上でも以下でもないという感じ。
僕だって、戸籍は他国からも評価されている日本独自のよい制度だということは知っている。
きっと日本の伝統を守りたいという、強い保守的なマインドをお持ちの方が発言しているのだろう(ちなみに、現行の戸籍制度は明治時代にできたもの)。
ですが、本来は日本人による日本人のための、日本人を守るための制度ではないのですか?
日本人男女の婚姻のみで、日本人の同性婚を含めると、なぜ破壊になるのでしょうか。不思議です。
婚姻制度は男女であるべきと婚姻儀式を神聖化している人もいるのでしょう。
ですが、むしろ日本の神道は、同性婚を否定していません。ゲイカップルの結婚式だって、神社神道で行われている(キリスト教は同性愛をタブー視しているが)。
男性2人が紋付袴を着て、神前で契りを交わした姿をYouTubeでみたことがあるが、それはそれは素敵なものでした。
→これは同性婚を認めると、もしかしたらそのようなことがあり得るかもしれない、というデメリットを挙げているに過ぎず、本質的に同性婚を反対する理由になっていない。
なぜなら、スパイや他国から悪用されるのは、いまの男女の婚姻だって同じ、むしろ男女のほうが目立たちにくいはずである。つまり、日本人女性と他国のスパイ男性が婚姻することが、いまもできてしまうわけだ(男女逆も然り)。
そして、日本は他国にはあるようなスパイ防止法すらないセキュリティざる国なので、これは別問題として取り組む課題である。もともと同性婚の課題とまったく別の課題を絡めるのは、無理がある。
スパイ防止法ができてからとか、セットでしてほしいなどの優先順位の課題ならば、理解できる。
→まず虚偽の性自認ってなに?という感じなのだが、LGBTを公にできない風潮の日本で、本当はストレート男女にも関わらず、あえてLGと嘘を公言するメリットがあるのだろうか?
たしかに、自分の財産をパートナーに、法的に遺贈できないので同性婚を求める人もいる。であれば事実婚や養子縁組でよいのでは?という意見もある。しかし、彼らとしては配偶者として、お互いを認め合いたいという気持ちがあるのだろうと思うし、逆にストレートの男女も結婚にこだわらず、事実婚か養子縁組でいいのでは?となってしまう。
事実婚の認定は、長期間一緒に暮らして同一生計や同一世帯であるなど、認められるには一定のハードルがあるようで、そのために虚偽の性自認を防げるという意見らしい。
だとすれば、まずは事実婚を認定した同性カップルなら、その後に同性婚を申請してもよいという理論になる。
→これはもう常識的に考えて、ありえません。
元々、LGBTは8%しかいないうえに、僕のようにカミングアウトしてない人も多い。そもそも、LGBT(子供を作らない)の絶対数が変わらないのだから、影響するはずがない。
少子化だけの問題を取り上げたら、ストレート男女であえて子供を作らないと決めたカップルの方がよっぽど数が多く、罪深いという話になってしまう。これは本意ではないでしょう。
少子化の問題を、生まれながらにして子供を作ることから遠い存在のLGBTに、なぜ原因を押しつけようとするのか、、(勘弁してくれという気持ちだ)。
いまLGBT若い人に伝えたいこと
SNSなどを介したネット内世論は、所詮はごく一部の声ということ。最近の若者はSNSをやらない人はいないだろうし、ネット内のコメントが、まるで日本全体の声のように錯覚しそうになるが、決してそうではない。
SNS利用者の大多数は見ているだけで、わざわざコメントする人はほんの数%ともいわれている。
LGBTを嫌悪して差別的なコメントをする集団は、中身は同じ人間が繰り返して、似たようなコメントをしているのだ。なので、気にすることはない。
日本はLGBTの課題について発展途上だ。僕は日本のことが好きだし、きっともっと時間が経てば、誤解はなくなり、差別と区別は混同されず、マイノリティに寛容な社会になると期待している。
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