花宮香織さん③『花宮さんと、目標に対する考え方』
こんばんは。『クローズアップNPO法人 〜現場の声から〜』をお送りします。
初めてコモンビートを知る人が団体に対して持つイメージで最も多いのは、「なんか楽しそう」という言葉。
でも、ただ楽しいだけじゃないんです。
企画の現場にいつだってある“楽しんで学んでもらうための仕掛け“は、NPO法人として「社会貢献活動」を実現させる一つの手段でもあります。
では一体、その仕掛けは誰がどう作っているのか、企画がどう社会貢献に繋がっていくのか。
コモンビートを運営するメンバーの皆さんに伺います。
今回お話を聞かせていただいたのは、コモンビート事務局長である花宮香織さん(以下、はなさん)です。
本日9月14日(水)は、③『花宮さんと、目標に対する考え方』をお伝えします。
なお、はなさんのシリーズは全4回。
明日で最後となる記事は、
15日(木) ④『意地悪な質問と、NPOに興味を持つ学生へ』
をお送りしていきます。
⭐︎前回の記事はこちらから
②『D &Iと、組織のビジョンの関係性』
⭐︎はなさんの自己紹介はこちらから
NPO法人コモンビート 公式HP
https://commonbeat.org/outline/staff/
取材担当:広報インターン ジュン
ーー花さん自身についてお聞きしていきます。NPO法人コモンビートに入られたのはミュージカルに立ったのがきっかけだったことはすでにお聞きしていますが、さらに具体的に教えていただけますか。
⒈花宮さんが関わり始めたきっかけ
1−1 学生時代に興味を持った
私は大学4年生の時にミュージカルの活動に参加しました。自分自身が歌ったりとか踊ったりとかステージとかは得意ではなかったし、自分がパフォーマンスすることにそこまで興味がなかったかな。でも、大学在籍中の私の周りにはソーシャルビジネスをやってる知り合いとか、NPOで働いてる人とかと触れ合う機会があって「そういうところで働いてる大人って、なんかすごいかっこいいな」っていう印象を持ってたんだよね。そういう人たちってすごい楽しそうに熱意を持って仕事をしていてそれが結果的に社会のためになってる、みたいな仕組みや働き方とか生き方っていいなと思ったり。
加えて、当時所属していた学生団体で、スポーツをみんなで楽しむことによって世界中に安心してスポーツが楽しめる地域を増やそうっていう活動をやっていたから、社会を良くするための仕組みとしての楽しいことっていうものに結構興味があって。
なので、コモンビートも知り合いから教えてもらった時に「何か面白そうなことをしている」「それが結果社会に良さそうなことをしている」「そして何か出会ったこともなさそうな、なんか変な大人がたくさんいそう」みたいな感覚で参加していました。
キャストをして、「コモンビートっていう運営の仕組みとかすごい面白いなあ」と思って、元々裏方の方が好きなのもあり今度は運営に関わろうとその後も2回連続でスタッフをしていたっていう形です。
大学4年生のときにコモンビートに参加してその後1年休学してるんだよね。その休学してる期間もスタッフとして関わっていて、その次の年にはコモビとは別の組織に就職してるんだけど、その会社で働いてるときもスタッフとして関わってるみたいな形で3年連続自分のステータスが全部変わりながら、コモンビートに関わっていました。
勤めていた会社がやってることとかビジョンとかはすごい共感するし面白いんだけど、人間関係とか働く環境とかにちょっと疑問を持ってたりとか。自分自身も「何かちょっとなあ・・・」と思ってたタイミングで、(当時事務局長だった)りょうちゃんから働かない?って声をかけてもらって。当時働いてた会社を1年ぐらいで転職して、このコモンビートで働き始めるっていうのが働くまでの流れになります。
ーー1回入った会社は普通の株式会社ですか。
1−2 普通に就職後、コモビへ転職
そうそうそう。普通に法人営業とかしてました。自分的には納得して入っていたし、そこでの仕事も自分的にはすごい社会に必要な仕事や仕組みだなと思ったし、なんかめちゃくちゃいいじゃんと思って働いていて。
普通の会社ではあるけど、社会のために自分ができることをするって意味では別にコモンビートで働いてても、そこで働いてもあんま変わんなかったかな。
・・・って感じなんだけど、働く環境や自分のライフスタイルを考えると、ここで働き続けるのはちょっと違うなと思って。
あと、ちょうどその頃に東日本大震災があって、「いつ死ぬかわかんないのに、私の時間を私が納得しないことに使うのが嫌だ」みたいなことを思ったりとかして。多分ここが一番のきっかけであり、ポイントであり、考え方を変えたところなんだけど。
そもそも何で一番最初に株式会社に入ったかっていうと、ゆくゆくは自分も憧れてた大人たちみたいに、NPOとかソーシャルビジネスとかで活躍できる大人になりたかったのね。でも新卒でいきなりそういうことをしても多分戦力にならないだろうなと思っていたので、まずは何か普通の会社に勤めてみて、自分がある程度仕事をできるようになったらそういう業界へ転職したり、働けるようになりたいなと思って、一番最初の就職先を普通の会社にしたのね。
でも、自分にはまだ準備ができてないと思ったけど、自分に準備ができてるかどうかっていうのは自分が判断することじゃなくて相手が判断することなんだなと思って。「まだコモンビートで働いてもただの戦力外ですよ?」って私は思っていたけど、当時のコモビの理事長のこーじとか、事務局長だったりょうちゃんが働かないかって声をかけてくれるってことは、自分はまだだと思ってるけど向こうはそれでいいと思ってるってことなんだと。
だったらもうそこで働かない理由はないなと思って、すごく悩んだけど転職っていう形でコモンビートに務めることにしました。
ーーありがとうございます。めちゃくちゃ私も背中を押される話でした。
はなさんはこのコモンビートの他にどのようなお仕事をされているんですか。
⒉コモビ以外での花宮さんの活動
もうどこからが仕事でどこからが趣味でっていうの境目は曖昧なんだけれども、視覚障害のある人と一緒にアートを対話型鑑賞するっていう活動もしています。ただそれも、視覚障害がある人たちのためだけの活動ではなくて・・・
見るっていう行為って、絶対的ではないから。
同じ目が見えてる人でも何を見てるかって全然違ったりとかするし、自分の中でも気分が悪かったり良かったりすることによっても世界の見え方って変わったりとかするし。「見える」って絶対的って思われてるけど、実はその都度その都度立ち現れてくるものだと私は思っていて。そういういろんな人のバラバラな見え方を持ち寄ることを趣旨にしているからこそ、目の見えない人たちのためだけにやってるワークショップじゃないし、目の見える人が目の見えない人との交流を学びの手段にするためのワークショップでもないし、「いろんな人が何か見るっていうものを改めて見つめ直せたら楽しいよね」みたいなそういう目的でやってるワークショップだったりとかする。
単純に目の見える人見えない人っていうカテゴリーの違いっていうよりかは、いろんな見え方をしてる人と一緒に作品見るとこんなに楽しいんだと思って、楽しいって体験があるからこそ色んな違いって面白いなって思えるような内容で。その活動もD&Iだったりとかするって共通点も私的にはあったり。何より、楽しい面白い体験を通じた学びがあるっていうのが大事だなと思ってるので、社会のためにいいことはそうなんだけど、やってる本人自体とか参加者が楽しいと思えること。
そういうところがコンビとかも一緒だなと思うので、去年の末に出会って、今年から関わってる感じだね。
ーーコモビジョンが目指すものはとても大きくて、そういう目標って途方もない印象を受けるというか、いつ実現されてるかとが不明瞭なところもあると思うんです。そのような大きな目標に対しての不安とかをはなさんは感じたりはしたりしますか。
⒊大きなビジョンへの姿勢
3−1 「完全」より「最善」へ
そうね。地球と一人一人のウェルビーイングって、多分完璧な状態にはなり得ないと思っている。
どんだけ社会が成熟したりとか技術が発展しても、絶対その都度の問題って起こるから、地球も一人一人も完全なるウェルビーイングですっていうものが達成されること自体がそもそもあり得ないと思ってるんだよね。
なので、「少しでも良くする」「最善にしていく」みたいなところが目標だなと思ってるので、そもそも掲げている目標が達成されることがないっていうのが前提であったり。
あとはD&Iに関しても、ちょっとは推進することとかはできるとは思うんだけど、時代が変われば変わるほどまたさらなる違いが生まれてきたりとかするから完全なるD &Iっていうものが達成されることも多分ない。違いは常にアップデートされ続けるものでしょって思ったときに、わかりやすく達成される目標じゃないんだよね。
そもそも掲げているものが「1000人の子供たちに何かを届けましょう」という目標だとしたらわかりやすく達成されたかそうじゃないかがわかると思うんだけど、今コモンビートが書いてる目標ってそもそもある意味永遠に終わらないものなので・・・。
という認識があった上で、自分たちがやっている活動ってすごい微々たるものだって思うから、そんだけ大きい目標とかに対してちょっとでも前進の一歩を作れたらいいなと思ってやってるけど、そのスケールに対してやってることはめちゃくちゃちっちゃかったりとかするから、変わってないとか無力だとかやってることに意味がないとは思わないけど、本当に微々たる一歩だなみたいな。
でも微々たる一歩をやらない選択肢よりかは、微々たる一歩でもやった方が自分は納得する。
だから、その一歩を信じるしかない。目標の達成と思ってしまうと途方もないけど、何かしら行動を積み上げていくことがゆくゆく大きなものになるはず。あと、私もコモビに関わって10年越えてきたんだよね。だから、団体との関わり方が長くなることによって感じられる団体の一歩とか進化とか変化も実感できるかな。
ーーもう何か、人生って感じですね。概念的なことって得点配分がよくわからないテストみたいだなと思いつつも、自分はそこで100点を取りたいとも思ってしまうんですよ。
3−2 ビジョン遂行にもさまざまな形が
今ジュンが言ってくれてた「100点を目指す」というのも一つの方法。キャリアワークショップ(※)でも、人生自体が登山型、トレッキング型、サーフィン型とかって色々な形があると言っていたよね。
あと、団体がやっている事業の内容は「価値創造型」(※)と言われるものであって、もう一つ「課題解決型」(※)と言われているものと大体その二つにNPO法人が分けることができるって言われてるんだよね。
最初から100点がどこかわかんないって世界で戦ってるっていうのがコモンビートでもあるし、自分自身もそうなんじゃないかなって思う。
※キャリアワークショップとは
インターンプログラム期間中に提供される、自分自身の過去や個性を改めて見つめ直し、仕事や人生のキャリア形成につながるような内省を深めるワークショップ。
※価値創造型
社会に対して新しい価値を創造し提供する活動
※課題解決型
社会に存在する課題を解決することを目的とした活動。
⭐︎コモンビート公式HPに上記についての関連記事があったので、詳細を知りたい方はこちらから
https://commonbeat.org/blog/4641/
ーー舞台制作においても、プロデュース会社とか財団で管理して作品を提供する形もあるし、一方で学生劇団とか創作集団みたいなところで自由にやる形もあって、ほんとに色々な型があって似てるなあと。すごく面白いです。
今のは面白いね。多分、自分たちが変化する幅をどれだけ許せるかどうかってあると思っていて。だからある意味、コモンビートも変化しながら色んな曲線を辿っているよね。昔は「大人が変われば未来も社会も子供も変わる」みたいなことをよく言っていて、それが「多様な価値観を認め合える社会」になって、今は「ダイバーシティアンドインクルージョン」とか「ウェルビーイング」って変化していて。そういうふうに柔軟に自分たちが変化することに対してコモンビートという組織は寛容だと思います。
明日15日(木)は
④『意地悪な質問と、NPOに興味を持つ学生へ』
をお送りします。
☆関西公演情報☆
【ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ 関西公演】
▼日程
2022年10月2日(日)
初公演:開場 12:30 開演13:00
千秋楽:開場 17:00 開演17:30 ★オンライン配信あり
▼会場
吹田メイシアター 大ホール
▼詳細
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