稲垣えみ子『家事か地獄か』シンプルな幸せを考える
昨年読んで、1番衝撃をうけた大好きな本。
『家事か地獄か』
すごいタイトルです。
好きすぎて、何度も何度も読んでいます。
いわゆる、やさしい感じの家事本などではなく、
ラディカルな提案満載の
なかなかにパンチのある本。
この本は、わたしにとって、自分の幸せに究極に必要なものは何かを考えるきっかけとなりました。
朝日新聞の花形記者だったえみ子さん。
東日本大震災を経験し、
やむにやまれぬ事情で家電を手放すことになり、
最終的には、会社も辞めてしまい、
収入がとだえたことで高級マンションから収納なしマンションに引っ越し、
モノをほとんど手放すことになります。
洗濯機、掃除機、レンジ、冷蔵庫まで(!)
家電を次々に手放し、服を捨て、化粧品を捨て、
キッチン用品、肩書き、収入、、、
ありとあらゆるものを捨てる様は圧巻。
結果、ほうきで掃除をし、味噌汁とご飯を作り、日々の着たものを手桶で洗濯し、銭湯でひとっぷろ浴びて寝る毎日。
恐る恐る踏み出したこの生活でしたが、バリバリ働いては大量消費を繰り返す生活から、むしろ安心と「足るを知る」を手に入れたえみ子さん。
ミニマルになった家事をすることで、
日々満たされていく幸せ感が伝わってきます。
好きなエピソードはたくさんあるのですが、
便利が物事をかえって複雑にしてる話には、
はっとさせられました。
例えばドラム式洗濯機。
洗濯物を入れれば乾いて出てくる便利と引き換えに、ひっそり面倒な家事も増えている。
下着の枚数は一週間分に増え、
たくさんの洗濯物を畳む手間、
フィルター掃除などの手間。
手洗いよりも便利になったようにみえて、家事が全然楽になっていかない理由がここにある、とのこと。
全然気づかなかった。
ほんとに必要なものはもっと少ないのに、
「便利」が物欲を、手間を、こっそり増幅させていくなんて衝撃。便利に飛び付く前によくよく注意しないとですね。
食洗機や、冷蔵庫にも同じことがいえるかもしれない。
「可能性を捨てる」っていう話も衝撃でした。
可能性がたくさんあるって、良いイメージでしかなかった。
どんどん欲望が自分の手におえなくなるのね。。。
その話で自分に思いあたることがありました。
わたし、レシピ本をたくさん持っているのです。
料理が苦手だったし、美味しいものは好きだから、
たくさんの料理やらお菓子やら作れるようになりたくて。
しかし。
そうして増やしたレパートリーに自分の首が締まることもありました。
旦那さんがあれこれ食べたいと言い出すのです。
そんなに頑張って作れない日もあるし、
お昼が来たら何にしよう?
お昼が終われば夜ご飯何にしよう?
ご飯のことばかり考えることでエネルギーとられて
やりたいことに使うエネルギー残ってない日もあって。。。
まさに自業自得。
可能性を増やしすぎると自分が苦しくなってしまう。
普段の料理はシンプルにする!と心に誓いました。
家事は本来楽しいもの、という話も納得。
水拭きで身体を動かして床を掃除したり
ごしごし洗濯して服がきれいになったり、
身体を使って動いてすっきり!の過程に
人は幸せを感じる、と。
人間は動物だから、
身体を使ってなにかができることで
大きな満足を得られる生き物なのかもしれない。
空いた時間があればついつい
スマホで人差し指だけ動かして時間をすごしてしまうけど、
なんだかいまいち満たされないのも
全身を使ってないからなのかもね。
また、それは年老いても同じで、家事が簡単なものであればずっと続けられるし、自分で自分の面倒を見ながら生きていけると。認知症を患い、複雑な操作の家電の前で固まってしまいきちんと掃除もできず「家がくちゃくちゃでごめんね」と謝るえみこさんのお母様のエピソードは、なんだか切なく哀しく、胸がぎゅっとなりました。
老人になったら一人でどうしよう?と不安に思っていたけど、家事をよりシンプルに簡素に少しづつしていけば怖いことはないのだ、という話に勇気付けられました。
いやはやしかし、、、
ここまで捨てるのは無理と思うけれど、この本を読むと、色んなものを削ぎおとしたくなります。
余分なものがない美しい生活、
ミニマルな家事を経験してみたくなる。
えみ子さんの手に入れた満たされ感を
味わいたくなる。
にこにこ顔のアフロのえみ子さんに、
「あなたの幸せに必要なものはなんですか?」
と問われているようでした。
シンプルに、満たされる。
そんなにやみくもに求めなくて大丈夫なんだよ、と。
ちなみに、後日談ですが。
この本を読んだ後、わたしは
モノをたくさん減らしました。
化粧品、衣服、ごちゃごちゃな洗面所と、
見ないようにしていた押入れも
だいぶすっきり。
ご飯も、徐々に力を抜いているところです。
味噌汁、ご飯、プラス一品。
献立を考えるのがだいぶ楽になりました。
夜ご飯が重くなくなったので、
胃腸も心なしか楽に。
そして、自分を見つめ直し、
わたしの幸せのモトはたった4つに集約されるとわかりました。
①没頭
②自然にふれる生活
③健康な身体
④大事な人と心が通じてること
結局、ほとんどお金もかからないし、モノもいらない。お金がかかるのは趣味の陶芸の粘土とジム通いくらいです。なーんだ、自分の幸せってこんなことか~、と拍子抜け。
これなら、もしかして、あまり働かなくてもいいのかも?と少し考え始めました。
・・・危険な本です!!笑
拝啓 稲垣えみ子様、
この本のおかげで
シンプルな家事をしながら、
自分で自分を幸せにできることに
安心して満たされる日々です。
足るを知る、に気づかせてくれた、
えみ子さんに感謝。
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