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高額インセンティブの恐ろしさ ~人間関係を壊すお金の魔力と怖さ~

M&Aの全体の流れがわからない。
財務がわからない。
法務がわからない。
とにかく現場に入るとわからないことだらけでした。 

よく車に酔うのは「行先がわからないから」と言われる事がありますが、ジェットコースターに揺られるような形で、何がなんだかわからない状況が続き、成約が取れるまでは、とにかく真っ暗な暗闇を走っているような感覚でした。

また、会社では、激しい数値の詰めがあり、どんどん同期の数が減っていき、自分もこのままだと、会社から席は無くなるといわれ、夜も眠れないことがありました。

 毎月自身の売上と案件見込みを報告する中、詳細に資料を作りこんで発表したものの全社員が集まる会議の中で、事業部長から、それは上司の力であると一蹴されました。

上司の力であることに異論はなかったのですが、明らかに数値が上がりつつある中で自分にだけ厳しいプレッシャーをかけてくることに不思議でしたが、それは、会社全体として私を開拓部門に縛り付ける動きをしていたと後で知りました。

高額インセンティブを限られたメンバーで享受するため、M&Aの経験が浅く、一方顧客開拓力だけはあった私への売上の配分を少なくして、会議で詰めることで、意気消沈させて心を折ろうとの魂胆があったとメンバーづてで話を聞き非常に腹が立ちました。

 「おれはお前らのインセンティブの道具ではない」と心から腹が立ち、眠れないほどでした。でもここで、逃げたり、折れたりしたら積み上げた数値を奪われ、思うつぼであります。

絶対に逃げずに圧倒的な成果をあげて、上司を見返してやり、不可欠な存在になって、会社から去り後悔させてやるという思いだけが自分の動機にになりました。

 誰よりも早く出社して、誰よりも遅くまで働き、笑顔で自分を劇詰めしてきた上司に挨拶を行い、挨拶するたびに(お前を殺す)と心の中でつぶやいていました。

 きっと、動物的な殺気もだしていたので私は職場では怖かったと思います。 殺す気概で仕事をし始めると、面白いもので、どんどん成果が上がり始めました。

既に前職の失敗にて、「営業の使命」に気づいていたこともあり、M&Aで何を実現すべきか?については、ぶれない信念を持つこともできていました。

 運もあったと思います。短期間で10社の譲渡オーナー様からの売却意向をお預かりすることができ売り手企業様とのアドバイザリー契約では全社TOPになりました。

また成約も重ねることができ、初年度から1億円の営業数値を上げることができました。

たっぷり上司に配分で奪われた後の数値でしたので、人を恨むパワーはものすごいな、と感じました、笑 

しかし、反動は来るもので、上司が私を評価するようになってから燃え尽き症候群なのか、急に自身のエネルギーがしぼんでいくことを感じました。

あまりに自分のエネルギーが枯渇していくので、父に相談しました。(M&Aの仕事をしていくと、「相談したら配分を要求される」という思考が身に付き、身近な人にもだれにも相談したくなくなっていました。)

常に仕事をしていると、「配分」が頭をよぎり、誰かに相談したらお金をいくら払わないといけない、と人間関係よりもお金の勘定が先によぎる様になってしまっていました。

そんな中、唯我独尊の父の生き方にはどこか尊敬している気持ちもあり、また、自分の利益とは関係なくアドバイスしてくれるだろうという想いもあったことから相談をしました。

「人を恨むエネルギーでは継続的に良い仕事はできない」
と、助言をくれました。

親父も良いこと言うな、と思いました。笑

 その年の年収は2500万円を超えていましたし、翌年はさらに大きな年収を目指せる状態でしたが、仕事を楽しむ気持ちをまずは思い出したいと感じました。

 環境を変えて、仕事をもっと純粋に楽しめる環境に行きたい。M&Aは好きだが、インセンティブの思考から少し自分を離したいと強く思うようになりました。

 そこで、インセンティブは多くないものの、事業成長支援を長年行っている独立系のコンサルティング会社に転職する事にしました。

 不思議なご縁で、転職活動をしていたタイミングでたまたま友人から、そこの会社の代表が人材を探しているとの話をしてくれてそこからトントン拍子で話が進みました。

 入ってみると、東大や海外の一流大学のMBAをとった方ばかりの会社で、
雑草キャリアの自分からすると、毛色がだいぶ異なる会社でしたが、お金で人が動く環境にうんざりしていた自分からするとすべてが新鮮で、この会社で頑張ってみようと心から思えたのでした。

自分語りが好きなのでいくらでも語れるのですが、キリがないので笑、そろそろ次回以降は実務的な内容にて、M&Aに関する情報を発信してまいります。

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