韓国佛教#07. 奉國寺~寺院を神々しく演出するのは紅葉だった~
今回は、ソウル市にある奉國寺(봉국사)をご紹介いたします。
奉國寺には何度か行ったことがあるのですが、そのなかで一度だけ紅葉が綺麗な季節に行きました。そして、寺院に着いた瞬間にこう思います。
え、こんなに素敵なお寺だったっけ?(←超失礼)
ということで、その日に撮った写真とともにお伝えいたします。
(※)京畿道にも奉國寺という寺院がありますが、それとは異なります。
大韓仏教曹渓宗 奉國寺(봉국사)
奉國寺(봉국사)はソウル市城北区(성북구)貞陵洞(정릉동)に位置する大韓曹渓宗の寺院です。
ソウル市の中心部からは少し離れており、地下鉄は通っていないのでバスでアクセスします。最寄りの停留所は「奉國寺(봉국사)」で、バス停からは徒歩1分で到着します。
奉國寺(봉국사)は大韓曹渓宗の寺院です。朝鮮王朝太祖4年(1395年)に無学大師(무학대사)が薬師仏を奉安して「薬師寺」と名付けたのが起源とされています。
その後、世祖14年(1468年)には御堂を増築し、顯宗10年(1669年)には太祖の2番目の王妃である神徳王后(신덕왕후)康(강)氏の墓地を貞陵(정릉)へ移す過程で、この薬師寺を「願刹」(※)に指定したと言われています。この時に「丁字閣(청사각)」、「安香庁(안향청)」「典礼庁(전예청)」などが建築され、名称も「国を崇める」という意味の「奉國寺」へ改称されました。しかし、その後も「薬師寺」という名称の方がよく用いられていたようです。
高宗19年(1882年)の壬午の変では火災による被害を受けたため、翌年に韓渓(한계)と徳雲(덕운)が寺院を改築、1898年には雲潭(운담)、永庵(영암)、翠峰(취봉)などの僧侶によって冥府殿が建立されました。
その後も増改築を繰り返し、現在では満月宝殿(만월보전)、千佛殿(천불전)、龍王閣(용왕각)、冥府殿(명부전)、三聖閣(삼성각)、獨聖閣(독성각)、蓮花院(연화원)などがあります。
(現地案内板と奉國寺ホームページより)
(※)「願刹」とは、寺院の施主が亡くなった人の供養や自身の願いを祈祷をするために建てた佛教建築物のことで、願堂(원당)、内願堂(내원당)とも言われています。
◆三角山奉國寺の門
バスを降りて落ち葉で鮮やかになった歩道を歩いていくと、お寺の門が見えてきます。
こうして近くで見るとやはり迫力があります。
門の天井はこのようになっています。精巧で複雑なデザインと精錬された色彩がとても素敵です。
◆天王門と梵鐘楼
門を潜って進むと、別の門が見えてきます。
ここからは紅葉の美しさも本領発揮です。紅葉というは、韓国の伝統的な寺院の門とは最高の組み合わせなのだというのを教えてくれる光景でした。
そして、それは黄色という色がここまでも美しいのだということを初めて知った瞬間でもあります。ここまで色鮮やかな自然に囲まれたら、るんるんらんらん。心の中にいる小さな自分が「ひゃっほ~い」と叫びながら舞い踊っています。もう喜びしかありません。
そんな美しい光景の中で主役の座に就いているのが天王門と梵鐘楼です。写真からも分かるように、天王門の上に鐘閣が置かれている造りになっています。
天王門の絵は新しくなったばかりのようで、色がとても鮮やかでした。
門の中には左右に2人ずつ、計4人の守り神(?)が立っていました。
日本の仏閣にも時々こういう方々がいますよね、確か。
私)「どうも皆さま、こんにちは。本日はお邪魔いたします」
白髭おじいちゃん)「よく来たよく来た、ふぉっふぉっふぉっ」
黒髭おじちゃん)「うむ、歓迎するぞよ」
私)「どうもありがとう」
と、もう一方の2人に目をやるとーー。
はっ!!!
目をぎょろっとさせ過ぎ。びっくりするじゃん。
よく見ると、目ぎょろのおじちゃんが手に何か持っています。
私)「それ何ですか? 手に持ってる金色の丸いやつ」
目ぎょろおじちゃん)「ん、これか? これは万能薬だ。何にでも効くぞ」
私)「へ〜」
と言ったかどうかは分かりませんが、あの玉は何なのでしょうね。
私)「横の黒髭おじちゃんは、白髭おじいちゃんの隣の人と兄弟ですか?」
黒髭おじちゃん2)「うむ、そうだ。向こうが兄で私が弟ぜよ」
私)「へ〜」
と言ったかどうかは分かりませんが、2人ともよく似ています。
門の天井では、龍が勇ましい姿で泳いでいました。中央には穴が空いていて、その真上に鐘があります。音がよく響くようにと開けているのでしょうか。
門を潜り、お寺側から見た姿です。
ほかの有名な寺院や古宮の門と比べても特別大きいわけではないですし、歴史的重要性が高いわけでもないのでしょうが、それでも私はこの門が大好きです。ここにいる仏様たちが両手を広げて大歓迎してくれているようで、とても嬉しくなります。
◆満月宝殿(만월보전)
さてとーー。天王門はこれくらいにして登っていくと、御堂のある広場に出ます。そう、ここからが本題なのです。
清々しい空気が漂う広大な敷地の中に建てられているのが満月宝殿です。
◆千佛殿(천불전)
千佛殿は満月宝殿の次に大きな御堂です。屋根の色と質感が貫録を感じさせます。
◆冥府殿(명부전)
千佛殿の手前には冥府殿があります。
◆龍王檀(용왕단)
こちらは龍王檀です。
写真では分かりずらいですが、よく見るとこのおじいちゃんも目がぎょろっとしてます。ここは目ぎょろ寺なのかーー。
◆獨聖閣(독성각)
こちらは獨聖閣という小さな御堂です。崖の中腹に建てられているのですが、なぜこの場所を選んだのか不思議です。他にも敷地はあっただろうに。建てるのは相当大変だったでしょうね。
◆山神閣(七星閣)
冥府殿の裏、千仏殿の横にある階段を登っていくと山神閣(山神堂)があります。さきほどの獨聖閣のように、崖の中腹に建てられた御堂です。
基本的に韓国の寺院は山腹に建てられていることが多く、そのせいもあってか「え、あんなところに!」なんて思う場所に御堂が建てられていることが多いです。今回の奉國寺もしかり。これも韓国寺院のおもしろさです。
山神閣(山神堂)に続く階段の途中には、かわいらしい仏様や地蔵、小僧たちがたくさん祀られていました。
こちらが山神閣です。小さな御堂でしたが、静かで落ち着く素敵な空間でした。
何気にこのこじんまりとした山神堂がお気に入りで、奉國寺に来たらここで祈祷と瞑想をさせてもらっています。
この山神閣には、仏様が3体祀られています。
七元星君(칠원성군):北斗七星の七つ星にちなんで命名された七位の神
山神様(산신님)
後土聖母/后土聖母/厚土聖母(후토성모)
一番左に鎮座していた山神様は、天王門にいた白髭おじいちゃんとよく似た姿をしていました。そして、よく笑う大変おしゃべりな方でした。
◆おまけ
がぉ!
(玉を咥えた龍です)
ふぉっふぉっふぉっ!
(抱かれている子どもは真顔。なんか怖い)
そうそう。ここに映っている壺はハンアリ(항아리)と呼ばれ、コチュジャン、醤油、味噌などを作って熟成させるのに使います。
◆◆◆
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
心から、
すべてに、
ありがとうです😊
ああ、紅葉って素敵だな~。
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