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韓国料理#24.カルビチムとコンドゥレご飯~肉はご飯を食べる理由でしかない~

 たまに食べたくなる炊き込みご飯に、コンドゥレパッ(곤드레밥)があります。パッ(밥)はご飯、コンドゥレ(곤드레)は高麗アザミを意味します。

 コンドゥレは江原道(강원도)一帯の深い山奥に自生する山菜です。主に5~6月に収穫するため、その他の季節には茹でて乾燥させたものが流通しています。

 コンドゥレは栄養価が高く、最近は健康食品としても注目されています。植物性たんぱく質を豊富に含み、古くは救荒植物(飢饉などで食べ物が不足した際に、飢えをしのぐために用いられる植物)として食されていました。他にもカルシウム、リン、鉄分を多く含むため、骨の健康や貧血防止に効果があります。また、豊富な食物繊維は便秘予防に役立つほか、βカロテンはコレステロールの数値を下げて血液循環を良くし、血管疾患を予防するのに効果的です。さらに最近では、妊婦の羊膜を丈夫にしたり、肝の毒性を中和させて保護したりする働きがあることも立証されています(naver 지식백과『곤드레』より)。

 ソウルの新村(신촌)には、このコンドゥレご飯を食べられる超人気店があります。外国人観光客も比較的アクセスしやすい位置にあるため、今回はそちらのお店をご紹介したいと思います。

 

ダムサン(담산)新村本店(신촌본점)

 ダムサン(담산)は、地下鉄2号線の新村駅から徒歩約5分の場所にあります。

 この場所に移転する前からの人気店で、 常に、多くの人が並んでいます。営業時間は(昼)11時~15時と(夜)17時~22時ですが、1時間以上待つことも珍しくないため、オープン時間の前に行くのがおすすめです。

 この日は16時半に行きましたが、すでに複数のグループが待機していて、オープンと同時に満席になりました。回転率は高いように見えましたが、店自体がそこまで広くないため、待つのは仕方ないようです。

 ちなみにお店の前には待機用の広いベンチと椅子が置いてあります。また暑い夏には、お店の方がミネラルウォーターを配ったりしてくれます。


◆メニューと注文

 メニューは非常にシンプルで、カルビチム(갈비찜)とコンドゥレご飯、蕎麦粉のチヂミ(메밀전)のみです。

등갈비찜(トゥンカルビチム):豚のスペアリブを使ったカルビチム
곤드레밥(コンドゥレパッ):高麗アザミの炊き込みご飯
메밀전(メミルジョン):そば粉を使ったチヂミ

 つなぎ服を着た店員さんが、日本の居酒屋を思わせるような元気の良さで席まで案内してくれ、おススメの注文の仕方を教えてくれます。例えば2人だと「カルビチム2人前に、トッ(떡)を追加、コンドゥレご飯を1つ」といった具合です。トッはお餅のことで、人気のトッピングメニューです。

 個人的には、お餅、特に韓国餅は好きではないので、カルビチム2人前とコンドゥレご飯を2つ注文しました。コンドゥレご飯は1つでも量が多いので、2人の場合は1つで十分かも知れません。

 またカルビチムは辛さを選べます。通常の辛さでもかなり辛いので、辛いのが苦手な方はご注意ください。


◆サイドメニュー(반찬)


 サイドメニュー(반찬)は非常にシンプルです。

 まずは、トンチミ(동치미)という大根の水キムチ(물김치)です。辛いカルビチムに合わせてなのか、甘みが強かったです。

 こちらは大根の醤油漬けです(左のソースは後ほど)。コリコリした食感が楽しい、食事のアクセントとなる一品です。

 そして、蕎麦粉を使ったチヂミ(메밀전)です。

 こちらはメニューに載っていますが、注文しなくてもサービスで運ばれてきます。2つ以上食べたいとき、追加したいときにだけ注文するシステムのようです。

 先ほどの赤いタレは、チヂミ用でした。見た目ほど辛くない醤油ベースのソースです。

 また、コンナムル(콩나물)という豆もやしも運ばれてきますが、こちらは付け合わせではなく、この後のカルビチムに使います。


◆カルビチム(갈비찜)

 豚のスペアリブを使ったカルビチム(등갈비찜)です。エリンギだらけですが、お肉はこの下に入っています。

 もちろんこの状態ですぐに食べるわけではなく、お店のお兄さんからは「7分ほど、触らずにこの状態で待ってくださいね」と言われ、タイマーを渡されました。画面には7分30秒の表示。しかし時間が来たらお店の方がすべてやってくれるので、待っているだけで大丈夫です。

 時々、このようにかき混ぜに来てくれます。

 そして、ある程度火が通ると先ほどのコンナムルを入れます。

 カルビチムとは、牛または豚のカルビに薬味や醤油を加えて、じっくりと長時間煮込んだ韓国料理です。

 一般的には醤油ベースの甘い味付けが多いですが、こちらはコチュジャンを使っているようで、その辛さが特徴でした。本当に、辛いです。ただ甘みも強いため、パンチはあるもののついつい手が出てしまう、そんな味です。

 お肉はというと、力を入れなくても骨からすぐに外れるほどに煮込まれていました。

 ジューシーで柔らかい豚肉に、コンナムルのシャキシャキ感とエリンギの歯ごたえが相まって、シンプルながらによく考えられているなと感じる組み合わせでした。


◆コンドゥレご飯(곤드레밥)

 ここでコンドゥレご飯の登場です。

 コンドゥレの独特な香りはありつつも淡白で深みのある、食べやすい炊き込みご飯です。

 本来ならここに醤油ベースのタレを混ぜていただきますが、このお店ではカルビチムが代わりの役割を果たします。

 このようにお肉を乗せて食べたりーー

 コンナムルやエリンギと食べたりーー

 具をすべてを乗っけて食べたりーー

 最後はビビンバスタイルで食べたりーー。

 シンプルなメニューの割にはいろいろと楽しめる、そしてクセになる料理でした。

 ・・・が、食事が終わりに近づくと、正直甘さが強くて少ししつこいかなという感じも否めませんでした。この辺りは、好みかも知れません。

◆◆◆


 ダムサンは、韓国らしい激辛料理に、日本ではなかなかお目に掛かれない山菜ご飯を楽しめるお店です。

 ただし待ち時間が長いのが難点で、「待つだけの価値はあるよ!」とまでは言えませんが、それでも外国で行列のできるお店に行く機会はあまりないと思うので、そういう意味でも、旅の1ページにおススメしたいお店です。

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