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韓国料理#19.フェ~分厚いお刺身は食べ応え充分~

 火を通さずに生で食べる魚介類や肉料理のことをフェ(회)といいます。漢字で書くと「膾(なます)」となり、代表的な韓国料理のユッケ(육회)も漢字で書くと「肉膾」になります。

 今回ご紹介するのは肉のフェではなく、魚のフェ、つまりお刺身です。

 韓国語ではセンソンフェ(생선회、生鮮膾)と言い、ボリュームがあるので食べ応えも充分です。

회(フェ):刺身、膾、生で食べる魚介類・肉料理
육회(ユックェ/ユッケ):ユッケ
생선회(センソンフェ):刺身


付け合わせが(반찬)豪華

 韓国で刺身を提供するお店(횟집)に行くと、バンチャン(반찬)という付け合わせの豊富さに驚きます。この日はヒラメとクロソイの盛り合わせを注文しましたが、メインが来る前に次から次にとお皿が並べられました。

 まず緑色の丸い料理はチヂミ(전)です。小麦粉にホウレンソウか何かの青野菜を練り込んでいると思われますが、2,3か月前のことなので忘れてしまいました。

 これは甘いクリームソースで和えたコーン焼きです。

 毎回不思議だなと思うのですが、なぜかこの料理が韓国の刺身屋さんでは定番です。子どもたちが好きだからでしょうか。まあ、大人も好きですが。

 大根が主役のように見えますが、サバの煮物(고등어 조림)です。こちらも刺身屋さんではよく登場する付け合わせメニューです。

 粉唐辛子を使っているので一見辛そうに見えますが、少し刺激を感じる程度でそれほど辛くありません。サバの風味がしっかりと生き、大根にも味が染みていて美味しかったです。

 今回出てきた付け合わせの中で一番のお気に入りはこれ、三つ葉の和え物です。上に乗っているのは細かく切った沢庵(단무지)と魚卵(생선알)で、酸味のあるさっぱりとしたソースが掛かっていました。

 三つ葉の香りとの相性も見事で、是非とも爽やか大賞を差し上げたい。

 この日一段と存在感を放っていた付け合わせがビビングクス(비빔국수)です。ビビン(비빔)は「混ぜる、混ぜ料理」という意味で、グクス(국수)は「麺」を意味します。

 写真では分かりづらいですが、麺料理なので素麺が入っています。そこにぶつ切りにした刺身と野菜を加えて、特製のタレで混ぜ合わせています。

 酢(초)をきかせたコチュジャン(고추장)とゴマ(깨)を使っているため、酸味があって香ばしかったです。

 ここまでお皿が並べられると、これ以上は何も来ないだろうと思っていたら、来ました。サバ(고등어)の塩焼きです。

 この日は久しぶりで忘れていましたが、韓国の刺身屋さんでは必ず焼き魚が出てきます。定番は秋刀魚(꽁치)ですが、この日はサバでした。

 焼きたてで身は柔らかく、脂も乗っていて美味しかったです。


ヒラメ(광어)とクロソイ(우럭)の刺身(회)

 こちらがメインのお刺身です。 

 韓国ではヒラメ(광어)とクロソイ(우럭)は刺身の定番です。白身魚、特にヒラメ好きな私にとっては非常に好都合です。

광어(グァンオ):ヒラメ
우럭(ウロㇰ):クロソイ

 韓国でも刺身は醤油(간장)に付けて食べますが、それ以上に欠かせないのが、ビビングクスにも使われた酢の入ったコチュジャンのチョコチュジャン(초고추장)です。写真の右にあるのが醤油で、左がチョコチュジャンです。チョコチュジャンにもワサビを入れます。

 初めて韓国でフェを食べたときのこと、

刺身にチョコチュジャンなんて、邪道だ!
絶対に強すぎる。
せっかくの鮮魚がもったいないゾ!

 と、思っていました。
 小さい頃から、毎日食べても飽きないくらい刺身が大好きだった分、なおさらかもしれません。

 しかし実際食べてみると決してそんなことは全くなく、魚の味はしっかりと感じ、海の香りも損なわれていませんでした。むしろ醤油よりも合う気すらしました。料理というのも郷に入っては郷に従えで、現地の食べ方に従って食すのが一番なんだなと学んだ瞬間です。

 チョコチュジャンでも魚の味が負けないのは、その切り方にある気がします。なぜなら、日本の刺身よりも韓国のフェの方が確実に分厚いからです。

 それは言い換えると、醤油で食べるには分厚過ぎるということです。使う醤油の味にもよるのでしょうが、日本で食べる場合と比べると、どこか調和が取れていない気がします。

 韓国では焼肉と同じように、刺身も野菜に包んでいただきます。

 このときに必要なのがサムテンジャン(쌈된장)という特製味噌で、細かく切ったにんにくと青唐辛子、ごま油が入っていました。

 エゴマの葉っぱ(깻잎)にヒラメを乗せて、サムジャンとにんにくを添えて巻き巻きーー。

 次はサンチュにエンガワを乗せて、三つ葉とにんにく、サムジャンで巻き巻きーー。

 こうして色んなパターンで味変しながら食べるので、お刺身を食べるのもなかなか楽しいです。


辛い鍋のメウンタン(매운탕)

 刺身を食べた後のシメといえば、魚のアラを使ったメウンタン(매운탕)です。刺身の盛り合わせを注文すると、追加料金で安く食べられます。

 メウンタンを直訳すると「辛い鍋」になります。実際に名前の通り、本当に辛いです。それでもスープには魚のうまみがたっぷり出ているので、辛いのについつい手が出る、そんな味付けです。

맵다(メㇷ゚タ):辛い
탕(タン):

◆◆◆


 あぁ、お刺身が食べたくなってきたなあ・・・。

 ではでは。


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