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韓国佛教#10.慶國寺~韓国やアメリカの元大統領も訪問した有名な寺院~

 数年前のお正月に一度来たっきり。名前も場所もあやふやで探し出すこともできず、あれは一体どこにあったのだろうと思っていた寺院に、ようやく再び巡り会えました。

 名前は慶國寺キョングㇰサ(경국사)。ソウル特別市城北区(정복구)にある三角山(삼각산)の麓に位置する寺院です。

 アクセス方法はソウル軽電鉄(경전철)牛耳新設線(우이신설선)を利用して「北漢山輔国門(西京大)駅(북한산보국문(서경대)역)」で下車するか、バスで最寄りの「ジョンルン4ドン住民センター/慶國寺(정릉4동주민센터/경국사)」まで行くかになります。

 寺院までは、駅からだと歩いて5分、バス停からだと3分程度です。


大韓仏教曹渓宗 慶國寺(경국사)

 慶國寺は、1325年に慈浄律師によって創建されました。

 かつては三角山の青峰の下にあるとして「青岩寺」と呼ばれていました。明宗時代の1545年には王室の支援を受けて大々的な重創仏事が行われ、この時期に名称を「慶國寺」に変えたという記録が残っています。

 朝鮮時代後期から寺院の重建に関する様々な記録が残っていることから、かなり重要な役割を果たしたお寺だったとみられています。

 韓国独立後は「この寺院に務めていた宝鏡僧侶が元大統領の李承晩(이승만)を感化させた」というエピソードは有名です。

現地の案内より(加筆しています)

 慶國寺は独特な魅力を持つ山に囲まれ、薬水があることから、多くの参拝客を惹きつけています。ソウル地域の代表的な寺院であり、李承晩が大統領時代にはしばしば訪れたことでも知られています。

 副大統領時代に訪韓したアメリカのリチャード・ニクソン(Richard Milhous Nixon)は『回顧録』で、「この寺院に参拝したことが最も印象的だった」と写真付きで述べています。

韓国民族文化大百科(한국민족문화대백과사전)より翻訳

 まさかここでニクソン元大統領が登場するだなんて、かなり有名な寺院のようです。


◆門

三角山慶國寺の門。北漢山の麓に建てられた慶國寺ですが、北漢山は昔から「三角寺」という名でも親しまれています。
柱の彫刻も迫力があって素敵ですが、やはり私は韓国佛教独特のこの緑を基調とした鮮やかな色彩と模様が好きです。


◆参道

門を潜ると一本道が続きます。
道に沿って石碑が並んでいました。
駐車場のような広場があり、そこには『仏教大辞林編纂発願文』が刻まれた石碑がありました。
こんなところに仏様が。3万ウォンで1週間ろうそくを灯し続けてくれる献供ができるそうです。
南無地蔵菩薩様もいました。こんにちは。本日はお邪魔いたします。
そのまま進んでいくと寺院の建物が見えてきます。


◆梵鐘閣(범종각)

まず最初に見えるのは梵鐘閣(범종각)です。道を上った左側に位置します。
梵鐘閣には音を鳴らす仏教道具の「梵音具」があります。
大きな太鼓。
どでかい鐘はお寺には欠かせない梵音具です。
右側に、魚のような龍が下がっています。これは木製で、叩いて音を鳴らします。
このつり鐘も音を鳴らす梵音具のひとつです。


◆満月堂(만월도)

参道を上ると、右側(梵鍾閣の向かい側)には御堂が立ち並びます。2022年現在慶國寺には、極楽宝殿、霊山殿、冥府殿、観音聖殿、三聖宝殿、天台聖殿、山神閣、鳳香閣、十方禅院など計17棟の建物があるそうです。
こちらは満月堂。


◆観音聖殿

逆光で見づらいですが、中央右にある階段を上って行きます。
事務所の上にあるのが観音聖堂です。
境内にいる間、音に合わせて「観世音菩薩(韓国語では「カンセウㇺボサㇽ(관세음보살)」)と繰り返し唄うアナウンスが流れていました。「か~んせうんぼぉ~さぁ~る。か~せうんぼぉ~さぁ~る・・・」おかげで、今でも頭の中で流れています。「か~んせうんぼぉ~さぁ~る・・・」あぁ、ちょっと、いや、結構やめてほしい。


◆極楽宝殿(극락보전)

慶國寺で最も大きな御堂が極楽宝殿です。
極楽宝殿には阿弥陀三尊仏が祀られています。
その他、宝物第748号に指定された木彫りの幀画、神衆幀画・八相幀画なども置かれています。
気づけばもう3月ーー。そういえば、今年に入ってお寺に来たのは初めてでした。ということで、この極楽宝殿にて、遅ればせながら仏様へ新年のご挨拶を致しました。今年も一年よろピコ。


◆三聖宝殿(삼성보전)

向かって極楽宝殿の右隣には三聖宝殿があります。


◆冥府殿(명부전)

一番奥、極楽宝殿の左隣にあるのが冥府殿です。


◆霊山殿(영산전)

極楽殿と冥府殿の間にある階段を上ると霊山殿が見えてきます。


◆山神閣(산신각)

道を挟んで霊山殿の向かい側には山神殿がありました。山の神様、こんにちは。


◆その他

魚の風鈴。こういうのも良いですね~。
壁に描かれている絵や文の一つひとつを理解できると、お寺巡りも面白くなるんだろうなあ・・・と思うだけで、結局勉強はせず。そしてまた別の寺院へレッツラゴー。


◆おまけ

カメラを向けておいてなんですが、横目ですんごく見られてる気がするのは気のせいでしょうか。
お寺にライオン?「がお~!」
こちらも「がお~!」。立派なたてがみとは相反して身体はほっそり。肋骨が見えちゃっています。


◆カササギ(유라시아까치)

 寺院を去る際、カササギに出逢いました。2匹でせっせと巣作りをしているようです。段々と温かくなってきましたし、繁殖の季節でしょうか。

 韓国では「カチ(까치)」と呼ばれるこのカササギは、街中でもよく見掛ける吉兆の鳥です。

까치가 울면 반가운 손님이 온다.
カチが鳴くと嬉しいお客(会うと嬉しい訪問者)がやって来る。

 ちなみに、このカチの学名は「Pica pica」というそうです。

 ピカピカ・・・。

 なにそれ、かわいい。


◆テンプルステイ

 慶國寺ではテンプルステイもできます。

 1泊2日の「休息型テンプルステイ(휴식형 템플스테이)」で5万ウォン(約5千円)(2022年3月時点)。休息が目的なので、最初の案内や食事の時間以外は、休み(쉼)、休息(휴식)、または自由時間(자유시간)とのこと。

 特別に何かをするわけではないというのは、面白いですね。周りは自然に囲まれていますし、時間の流れも穏やかですから、ヒーリングには打って付けかもしれません。

◆◆◆

地味だけど、なぜだか惹かれるこの一本道。


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