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ルドゥーテの庭:三ノ輪駅前バラ花壇
私の最も好きな花、ばら。初夏を迎えるこの季節は次々とばらが咲きほころびます。しばし、私といっしょに南関東のばら園を散策いたしましょう!✧◝(⁰▿⁰)◜✧
今回も引き続き、東京都は荒川区を走る路面電車の旅となっております!
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都電荒川線の終着駅、三ノ輪橋駅に到着いたしました。この都電沿線のばらめぐりの旅は一日かけて行っているので、さすがに時間はかかりますわね。
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※酎愛零はよく見かけるものを先輩、先生呼びする習性がある。
例)クスノキ先輩、ケヤキ先生など
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線路を囲むようにしてばらの花壇がありますね。太陽のある方向と駅舎ある場所の関係で、陰にならずしっかり見ることができます!
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植えてある種類は少ないので、ひとつひとつをじっくり見ていきましょう
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香りよき!
余談ですけど、「かおりよき」って商品名?の青のりがありましたわよね。おばあさまの所で見た覚えがございます。こう、三角錐のビンで……ビンの底がえも言われぬブルーできれいだった記憶がありますわ。今でもおばあさま持ってるかしら。どこのメーカーの商品なのでしょう?
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「マガリ」とはなんとも不思議な響きの名前ですけど、日本語の「曲がり」などではなく、れっきとしたフランス語。女性につけられる名前のひとつで、アクセントは最後の「Li」。マガリィ↗、みたいな。
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洋の東西を問わず、王族や皇族の名前をつけたばらは、だいたい強健な品種が多いですね。まあ、病弱なばらに名前をつけたら、いろいろと勘繰る人も出てくるでしょうし
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ところでこの駅、三ノ輪「橋」という名前なんですけど、近くに橋はどこにも見当たらないのです。
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そういえば「三ノ輪」という地名もなんだか不思議……なにか由来があるのでしょうか。三つの輪っかに関するなにかとか。
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いろいろ調べてみたところ、台東区の出している案内によると、
『三ノ輪という地名は古く、江戸時代以前からあった。この地は、奥東京湾に突き出た台地の先端部であることから水の鼻といわれ、これがいつしか三ノ輪になったといわれる。
延享二年(1745年)、隅田川の宿場として形成した三ノ輪村原宿が原宿町として独立した。そして明治三年に下谷原宿町となり、同二十四年、下谷原宿町と三ノ輪村が合併して、旧三ノ輪町が誕生した。
昭和初年まで、今は無い音無川にかかる三ノ輪橋があった。慶応四年に水戸へ去る徳川慶喜は、この橋のたもとで山岡鉄舟らの見送りを受けた。今でも都電の停留所(荒川区)に、その名が残っている。』
とのこと。
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へーっ!?「水の鼻」が「三ノ輪」に転訛したんですの?!そしてかつてここには「音無川」という川が流れていたと。でも、あれ、音無川ってたしか……
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出発地点である王子駅の近くに、「音無橋」そして「音無親水公園」という名称がありました。橋と親水公園にその名を冠しているということは、これは川の名前だった確率はかなり高いはず。でも、近くを流れているのは石神井川……これも調べてみましょう!
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荒川区教育委員会が設置している「あらかわの史跡・文化財」立て札によりますと、
『音無川は王子で石神井川からわかれている。その清流は田端・日暮里・金杉を流れ、三ノ輪橋をくぐり、浄閑寺の西側にそって、ここから山谷堀をへて隅田川にそそいでいる。今は暗渠になっているが、明治のおわりまで灌漑用水として使われていた。』
ということでした。
なるほど……!
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なにがなるほどなのかと申しますと、先ほど、じつは三ノ輪に入った所で台東区になるのです、と書いたときに台東区の地図を見ていまして、あることに気づいていたのです。
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これはおそらく川の跡……川の上にフタをしてそこを道とした、いわゆる暗渠の証拠ではないでしょうか。立て札の『田端、日暮里、金杉を流れ~』という記述とも一致します。
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そして、『浄閑寺の西側にそって、ここから山谷堀をへて隅田川にそそいでいる』ということからして、現在の常磐線の高架の手前で折れて南東へ向かい、かつての吉原遊郭のそばを流れ、浅草を経て隅田川と合流したということなのでしょう。この三ノ輪橋から山谷堀までの直線は、昔の荒川の暴威から町を守るために築かれた「日本堤」の跡と符合します。
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在りし日の三ノ輪橋は、長さ五間四尺(約10メートル)、幅三間(約5.5メートル)だったそう。今は名前だけしか残っていない橋も、多くの人を渡した、重要なインフラだったことでしょうね。
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吉原遊郭があったころ、音無川を舟で行き来して通うのが、陸路で通うよりも粋、優雅とされたこともあったでしょう。そう考えると、三ノ輪橋に咲くばらの花は、きらびやかな遊女たちの艶姿をほうふつとさせる気さえいたします。
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病を得て萎れ、花がらとして捨てられる姿もまた……
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音無川のそばにあった浄閑寺が別名「投げ込み寺」と呼ばれ、投げ込まれた遊女の遺体を無縁仏として供養していたということからも、人の業の深さを感じざるをえませんわ……
さて、今回の「ルドゥーテの庭:三ノ輪駅前バラ花壇」に合わせる曲は、こちら。
VOCALOID初音ミクの「千本桜 Feat.初音ミク」のカバーですわ。なぜ千本桜を選んだのかと申しますと、これの元ネタとなった人形浄瑠璃の「義経千本桜」が発表されたのが、延享二年──三ノ輪村原宿が、原宿町として独立した年──だったからですわ。遊郭の歴史の残り香が漂う三ノ輪橋なら、たまにはこういう選曲もよろしいでしょう。
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いかがだったでしょうか?
都電荒川線、東京さくらトラムでめぐるばらの旅、これにて終着点となります。
ばらの街をめざす荒川区の本気をかいま見、各地の歴史や下町の雰囲気なども含めて体感・経験できた、大満足の旅でした。終点となる三ノ輪橋駅では地名から歴史をひもとき、かつての栄華と哀しい事実を目の当たりにすることになり、物事には常に裏と表、光と影があることを知った気がいたします。
江戸の動脈・毛細血管の役割を果たした音無川は、今も、私たちの足の下で、その流れを絶やすことなく水音をたてています。まるで流れ続ける歴史そのもののように。私などその上を這いまわるアリのようなものにすぎませんけれども、ありんこ上等ですわ!これからも這いまわりつづけますわよ!ᕙ(@°▽°@)ᕗ=3
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それでは、またどこかのローズガーデンでお会いいたしましょう。
ごきげんよう~
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