Temari

詩や短歌を書く人。香川県生まれの神奈川育ち。山羊座AB型。もう年齢を数えるのはやめまし…

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詩や短歌を書く人。香川県生まれの神奈川育ち。山羊座AB型。もう年齢を数えるのはやめました。ゆっくりしか進めない、そんなわたしはどう生きるのか。

最近の記事

【短歌】色とりどりの春

咲いた咲いたチューリップは今年春あなたの苗字になるわたしに似 髪切ってカーテンの色替えたならチェロの音色を運んでくる風 また転職求人票とにらめっこどこだ天職あなたと天丼 4月ってなぜか毎年バタバタします。 自分は3月で仕事を辞め、絶賛転職活動中。 そして運悪く(?)、パートナーも転職活動中。。。 まさか2人いっぺんとは! 人生の中で誰にでもきっといくつかある大きな転機。 職場を変えるというのもそのひとつだと思います。 わたしは仕事に関しては飽きっぽいのか、これまでもけっ

    • 行こう

      花が咲いたよと聞いて西へ 雪が降ったよと聞いて北へ あちこち渡り歩くわたしの人生 ずっと誰かに守られて ちいさなお庭の中で生きてたかったのに いつの間にか見知らぬ土地に あのころ愛した人は 今どこにいるんだろう 何を思っているんだろう ステキなものがあると聞いて東へ 災厄から逃げられるかと思い南へ あのころタイセツだった夢は どこに置いてきたんだろう いつから見えなくなったんだろう 暴力にも似た春の嵐 そのなかに立ち 今年もまた春が来たと涙し 強風にあおられながら旅支度をする

      • 【短歌】Small World

        繋がってる繋がってない繋がれと。お抹茶すすりアンインストール 永遠を知らずに無限を信じてたリボンの頃の自分が顔出す ミネストローネ作って待ち人来たる夜小さくふくらむわたしの世界 子どもの頃、将来は世界中を旅して広い世界に生きるんだ!と思っていました。 どこにでも行ける、何だってできるんだと思っていました。 けれど今わたしが生きているのは小さなささやかな世界です。 そんなに遠くには行けないし、出来ることにも限りがあります。 それでもわたしに関わってくれる人たちがいて、その

        • 【短歌】Honey honey

          ポケットに手袋片っぽしかなくて君の左手借りてぬくもる あっためると透きとおるはちみつのように君の心をあっためてみて スプーンですくう美し琥珀色小さき命かがやく百花蜜 最近生はちみつにハマっています。 なんせ甘いものが大好きなので、少しでも身体に良いものをと最初は思っていたのですが、花の種類によって色々な味があり、ただ甘いだけじゃなくとても味わい深くかつ美しいものなのですね。 小さなミツバチが命がけで集め作ってくれたはちみつ。 美しいだけでなく愛おしい食べ物だなあと思いま

        【短歌】色とりどりの春

          【短歌】いつまでもそのままで

          忘れてた友から葉書が届いた日水溜まりの氷溶かす朝陽 LINEしてる?聞かれてしてない答えると驚かれてぞわたしだと想ふ(笑) 書く文字が変わらないって言われたら木枯らしの中スキップしてた お正月明けには、ふだん全く連絡を取らない旧友から連絡があったりします。 たぶん年賀状のせいだと思います。 なつかしい友からの連絡は嬉しいものだ、と言いたいところですが、 下手すると10年も年賀状以外の連絡をしていないもので、いきなりのメールや電話はまず詐欺師からのものではないかと疑ってし

          【短歌】いつまでもそのままで

          【短歌】とあるNew Year's Day

          唐突にぱらぱら空から落ちてきたあられ糖まで溶かす手のひら 北風の中に立つ君凛々しくて真新しいカレンダーみたい いつものカフェでカフェオレ飲みながら未来を生きる名前をえらぶ 今日は寒い1日でした。 家から歩いて行けるところにあるお気に入りのカフェは、 駅からは少し歩かなければならないこともあって、 ひどく寒かったり暑かったり、雨や雪の日にはお客様が少ないのです。 でも私はそんな日にお店を訪れるのが好きです。 店長さんと副店長さんとゆっくりお話ができるからです。 私は競馬が

          【短歌】とあるNew Year's Day

          Escape

          となりでキーボードを打つ人は 実はきのう何を食べたか憶えていない 電話をかけてくる人は 実はわたしが誰だか知らない 窓のないオフィスに キーボードを叩くぱちぱちという音と 加湿器が湯を沸かすぽこぽこという音と まるで感情というもののないわたしたち 心を別の場所に置いているにんげんたちが 液晶画面を凝視している 何も考えず自分の時間を身売りしている 明日わたしはここにいない未来を 明日わたしは心ある未来を きっと手に入れている となりでキーボードを打つ人に 明日何を食べますか、

          Key

          鍵をなくした なくした鍵は 開けるためのものか 閉めるためのものか 鍵をなくしたとき 閉められなくてこまるなあと思ったから 閉めるためのものか きみがたいせつに持っているその鍵は 開けるためのものなの? 閉めるためのものなの? 鍵をなくしたわたしは 開けることも閉めることもできずに わたし自身の外側で 鍵を持ってきてくれるだれかを ただ待っている ひざをかかえて ただ待っている

          ちっぽけな祈り

          陽がのぼる直前の青い朝には 今日も良い日であるようにと 誰かとにぎやかに食べるあわただしい昼ごはんどき おいしいご飯がずっと食べられますようにと いろいろうまくいかなくてしょんぼりなゆうべには どうしてわたしばかりこんな目にと 夜ベッドサイドのオレンジのちいさな灯りのもとで 明日も無事にすごせるようにと わたしの小さな祈りは毎日つづく 世界の平和ために祈れというけれど わたしの世界はあまりに小さくて そんな小さな世界さえ なかなかうまく廻ってゆかなくて 夜の御聖堂でひざまずき

          ちっぽけな祈り

          夏のコトバ【2023夏短歌】

          夏のコトバ【2023夏短歌】

          End of summer

          夏の終わりには 電車を乗り継いで 山のふもとの街から海のある街へ トレッキングシューズをサンダルに替えて 海のある街へ 空と海がつながる場所を見たくて 波の奏でる音楽を聴きたくて 海のある街へ わたしは海から生まれて やがて海に帰るのだと そう思っている 海辺に立つと なぜだろう 先に海に帰ったひとたちと 会えるような気がする 夏の終わりには もう会えなくなったあなたに会いに 海のある街へ

          End of summer

          ソフトクリームの恋

          あなたと高原のベンチにすわって 遠くの山並みをながめながら ソフトクリーム 夏の熱でどんどん溶けていく 短命なソフトクリームを 無言で味わうふたり こっくりあまくてひんやり魅惑的だけど やっぱりどんどん溶けていく ソフトクリーム 舌の上に残るあまさとつめたさは なんだかちょっと恋みたいだ あなたとわたしの あっという間に溶けてしまうのかもしれない 恋みたいだ

          ソフトクリームの恋

          そして哀しきともだち

          わたしのことを ともだちだって言ってくれるひとが わたしのともだち なやみごとを 相談できたらともだちか 申請をして 承認されたらともだちになるのかも ともだちができたらうれしいはずなのに わたしはともだちを こころの底からすきだと おもったことがあるのかな 家族でもなく 仕事のパートナーでもなく どう分類してよいのかわからいないひとたちが ともだちなのかもしれないし だれかが 「わたしのともだちがね」って言うとき ともだちってどんなひとなのかなあって思う わたしもそういうふ

          そして哀しきともだち

          おひるね1975

          おひるねのじかん たたみの上でごろんとねころがって 扇風機がカタカタまわって タオルケットをおなかの上にのっけて みんなで川の字 どこからかちりりんと風鈴のおと どこからかテレビの野球中継のおと 「おやつはかき氷がいいなあ」 こそっとひとりごとを言ってみる 「ちゃんとねなさい」と となりで目を閉じていたおかあさん 自分だっておきてるじゃないって なんか可笑しくてくすくすわらってしまう わたしがおとなになったら こんなふうに子どもたちと なつやすみにはお昼寝をするのかなあ そん

          おひるね1975

          むかしの少女

          天気予報が今日も暑いって 来る日も来る日も今日は暑いって まだ少女だったころは 夏の暑さがだいすきだった 新しい麦わら帽子買って新しいビーチサンダル買ってと母にねだって 水色の夏のワンピースを着て 父の自転車のうしろに乗って海に行った あのころの夏はもうやって来ない 来る日も来る日もうだるように暑いのに ひとは年をかさねるたび 夏から遠ざかっていくのだと もこもこした入道雲を窓からながめながら ため息をついたりする むかしの少女がいる

          むかしの少女

          れーずんさんど

          今宵もひとりでれーずんさんど 冷蔵庫で冷やしたれーずんさんど 美味しいなれーずんさんど あなたはいつもお土産だよって れーずんさんどを買ってきてくれるけど いっしょには食べてくれない 深い夜も長いお休みも わたしはいつもひとりで れーずんさんどを食べる こっくり甘いおとな味 食べると胸のあたりがポッと熱くなる そしてそのあと胸のあたりがキュッと切ない 大好きなれーずんさんども 大好きなあなたも 甘くて切ない味がするのだ

          れーずんさんど