シンプルで合理的な人生設計
シンプルで合理的な人生設計
自由に生きるためには、人生の土台を合理的に設計せよ。
というのが本書の主張だ。
合理性とは、「投入した資源(リソース)に対してより多くの利益(リターン)を得ること」と定義できる。
コスパ、タイパ、リスパ
資源が有限だからこそ、私たちは選択しなければならない。
これを「トレードオフ」という。
私たちの人生は、ありとあらゆるトレードオフから構成されている。
3つの資本
幸福の「資本=土台」がなにもない状態が貧困(不幸)で、「金融資本」「人的資本」「社会資本」が増えるにつれて幸福度は上がっていく。
しかし主観的には幸福だとしても、幸福の「資本」が一つしかないのは極めて不安定な状態だ。
孤独なお金持ちが投資に失敗して全財産を失ったり(金融資本)、ソロ充が会社を解雇されたり(人的資本)、プア充が家族や友達を失ってしまったり(社会資本)すれば、たちまち「貧困」に陥ってしまう。
このように考えれば、「幸福の資本を二つ持てるようにする」というのが当面の目標になる。
これなら経済危機などで資本を失ったり、失業や離別で一方の資本を失っても、残された資本を使って再起をはかることができる。
人生に無限の資源を投入できるなら、全ての価値を均等に最大化することで幸福を実現できるだろう。
しかし現実には、誰もがこの中から、なにかを選び、なにかを諦めなくてはならない。
この資源成約によって、「幸福の資本」の全てを手に入れることは極めて難しい。
では、自分の人生を魅力的な物語にするためには、どうすればいいだろうか。
この問いを出発点に、「金融資本」「人的資本」「社会資本」の土台をどのように合理的に設計するかを考えていこう。
金融資本の成功法則
お金持ちになる方法は一行の数式で表すことができる。
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)
私たちは、金融資本を金融市場に、人的資本を労働市場に投資して、そこから利益を得ている。
豊かになるためには、この二つの資本を効果的に活用しなければならない。
このときに重要なのは、「資本」の大きさだ。
リスクをかなり保守的に見積もっても、大学を卒業した時点での(期待)人的資本が1億円を大幅に超えることには間違いない。
人的資本と金融資本の大きな非対称性を考えれば、資産運用以上に重要なことがある。
それは働く(人的資本を活用する)ことだ。
「投資にうまい話はない」としたら、なぜ株式投資を勧めるのか。
その理由は、「株式への長期投資はプラスサムゲーム」というのがファイナンス論理の大前提だからだ。
だからこそ、投資の神様といわれるフォーレン・バフェットも「個人投資家はインデックスファンドに投資するのが一番」と述べているのだ。
インデックス投資の最大の優位性は、圧倒的にタイパが高いことだ。
ほとんどの人にとって、富は人的資本からしか生まれない。
なので、毎月定額をインデックスファンドで積み立て、余った時間を仕事や勉強、友達や家族のイベントなどに使った方が、人生のコストパフォーマンスはずっと高くなるだろう。
「資産運用で最も大切なのは、資産運用を考えないこと」なのだ。
人的資本の成功法則
「どれも大事だ」「何もかもやらなくては」というプレッシャーにさらされ、無理な仕事を引き受けるタイプは、期限が迫るとグリット(やり抜く力)に頼ろうとし、その結果なにもかも中途半端で疲れ切り、無気力感に打ちのめされてしまう。
これが「非エッセンシャル思考」だ。
それに対して「エッセンシャル思考」は、自分や家族にとってなにが本当に大切(エッセンシャル)かを決め、優位性の低いものを切り捨てて、やることを計画的に減らす。
その結果、仕事や勉強の質が上がり、「ものごとをコントロールしている」「正しいことをしている」と思えるようになり、充実感をもって毎日を過ごせるようになる。
私は同じことを、「人的資本は一極集中する」と述べてきた。
人的資本について理解しておくべき最も大切なことは、これだけだ。
社会資本の成功法則
愛情や友情は時間資源によって測ることができる。
同様に、子どもたちと家族旅行をしたり、親の介護で実家に通ったりしていると、その分だけ他の社交を減らさなくてはならない。
「親しい関係ほど多くの時間資源を費やす」というこの法則は、全ての人間関係に貫徹している。
『まとめ』
すべての選択は「トレードオフ」であり、投入できる「資源は有限」である。
よって、自由に生きるためには、人生の土台を合理的に設計する必要がある。
人生の優先順位を決め、それ以外のものをミニマリズムの手法で徹底的に合理化すれば、その分だけ大事なことに多く資源を投入できる。
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