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天国のこどもたちに届け!

(※画像は2013年のみやぎ観光復興支援センタースタッフブログよりお借りしました)

5月5日はこどもの日。

こどもの日と言えば〝鯉のぼり〟。

皆さんは「青い鯉のぼりプロジェクト」をご存知ですか?

青い鯉のぼりプロジェクトとは

【青い鯉のぼりプロジェクト】

宮城県東松島市大曲浜で開催される子どもたちのための鎮魂のプロジェクト。

「津波で命を失った家族4人に想いが届くように、生き残った自分の道しるべになるように」と、震災当時高校生だった伊藤健人さんが2011年に発起し立ち上げたプロジェクト。

当時5歳だった弟・律くんが好きだった青い鯉のぼりを東松島で掲揚し、和太鼓の演奏などを行っている。

2019年8月に日本テレビ系列で放映された「24時間テレビ 愛は地球を救う」内では、嵐の松本潤が東松島を訪れ、被災されて家族を失った当時高校生だった伊藤健人さんをインタビューし、和太鼓の演奏で共演する様子が生放送されている。

この放送を観ていたこともあり、私はこのプロジェクトのことは何となく知ってはいたのだが、今年の1月に「あしたも晴れ!人生レシピ」というNHKの番組内で、このプロジェクトの代表・伊藤健人さんが紹介されており、それを観てより深くこのプロジェクトのことを知ることになったのだ。

まだ5歳だった弟さん

番組のその回のテーマが「亡きあなたと夢で再会 東日本大震災10年」。

伊藤さんは現在27歳。

ご両親、3歳下の弟、12歳下の弟、そして祖父母の7人家族だった。

当時17歳だった2011年、東日本大震災で彼は4人もの家族を失った。

亡くなったのは祖父、祖母、そして母親と当時まだ5歳だった弟。

7人で過ごしていた自宅は津波で潰れてしまった。

鯉のぼりを揚げることは伊藤家の恒例行事だったと話す伊藤さん。

幼い律くんは、青い鯉のぼりを見て『これは自分だね』とよく話したという。


震災後、多くの物が津波で流されてしまった中、泥だらけになって自宅のがれきに埋まっていた鯉のぼりを見つけた。

当時まだ5歳だった弟のために、自宅の前に掲げたのが始まりだったという。

〝「こっちは頑張っているから安心してね」と律に伝えたかった。

そして、今ここで生きている実感を得たかった。

また、前に進んでいく決意を形にしたかった〟

追悼コンサートのはじまり

幼い頃から和太鼓を習っていた伊藤さん。

律くんも同じように真似て太鼓を叩くのが好きだったという。

震災後、憧れていた和太鼓グループの音楽プロデューサー〝千葉 秀さん〟に、和太鼓による追悼コンサートを開きたいと相談。

千葉さんに何気なく鯉のぼりの話をしたところ、思いがけない提案をされる。

〝全国から青い鯉のぼりを集めて、地上から青一色の子どもの鯉のぼりを揚げたら、弟の律くんや他の子ども達も見つけてくれるかも知れない〟

そして、2011年5月5日、伊藤さんの自宅前で200匹あまりの青い鯉のぼりが空を舞い、その下で追悼コンサートが実現。

伊藤さんはその時、今生きている人達で幸せな気持ちを共有する感覚が〝前に進むこと〟だと実感できたと話される。

夢と向き合う

震災後1年を過ぎた頃から家族の夢を頻繁に見るようになった伊藤さん。

よく現れたのは、母親と弟の律くんだった。

食事の準備をしている母親の姿や、一緒に並んでテレビを観ている律くんの姿。

夢で見た記憶、音や匂いが感覚として焼き付き、『どうして夢に出てきてしまうのだろう』と、辛い気持ちになったという。


2016年に東松島市役所に入庁し、自ら志願し復興政策課に所属となった。

そして毎年5月5日にはプロジェクトイベントを開催。

鯉のぼりの数や参加者も年々増えていった。

ようやく生きる道筋がみえてきた伊藤さん。

そして震災から6年が過ぎた頃、忘れられない夢を見たという。

真っ暗な洞窟みたいなところで横たわっている瀕死状態の母親。

それを一生懸命救おうとしている自分。

喪失感でいっぱいになったと話される。

もうひとりの弟さんの訃報

父親と3歳違いの弟の広夢さんとの3人暮らしをしていた伊藤さんだったが、2020年4月、なんと当時23歳だった広夢さんが、交通事故で亡くなってしまう。

その時の気持ちはなんとも言い表せなかったと話される。

伊藤さんは、かつて自宅があった場所に亡くなったふたりの弟のために、2匹の青い鯉のぼりを掲げた。

そして「青い鯉のぼりプロジェクト」を続けていく決意を新たにしたという。

〝このプロジェクトは、100年先もずっと続くお祭りとして、自分が亡くなった後もあの世からこの景色を見に来たい、そう願うようになった〟

夢の変化

最近見る夢は、7人揃って食卓を囲んでいる日常を過ごしている夢。

夢に出てきてくれたことが嬉しいと感じるようになった。

〝後悔や『もしもあの時』は無くならない。

ある時は重くなり、ある時は軽くなり、それは一生続き無くなることはないと思う。

それを持ちながら、前に進んでいく自分の足が強くなっているような感覚がある。

過去よりも未来を見ていきたいという思いが強くなったのが、夢の変化に繋がっているのだと思う〟

今年の「青い鯉のぼりプロジェクト」

今年の活動テーマは「風を興す!」。

その意味とは…、

鯉のぼりは風に乗って泳ぐもの。
私達が風を送って元気に泳いで欲しい。
起こすを興すに換えて、更に奮い立たせ、新しい事を始める。
追悼・鎮魂の祈りに加え、十年前に止まってしまった自分の中の時や、生きている人々の未来への時を動かしましょう。
100年先の祭に向けた活動元年として。

(※青い鯉のぼりプロジェクトNEWS2021より、一部集約)

開催についてのお知らせにはこう書かれていた。

プロジェクトからのお知らせ①
風を興す!青い鯉のぼり扇子限定販売開始!
多数お問い合わせいただいておりました「風を興す!青い鯉のぼり扇子」本日4月11日より発売開始!ネットから購入できます。

プロジェクトからのお知らせ②
十年目の今年はコロナ蔓延防止措置解除後最初の日曜日開催!
2021の開催は宮城県全域のコロナ蔓延防止措置(5/5まで)を受け、5月5日の開催を見送り、現状の安全対策を最大限に考え、さらに十年目の今年天国で待っている子供たちに向け、5月9日(日)の1日開催を決定しました。

会場につきましては後日詳細を発表しますので、もうしばらくお待ちください。

※今後のコロナの状況で中止になる場合もありますので予めご了承ください。

プロジェクトからのお知らせ③
今年もやります!青い鯉のぼりリモートプロジェクト2021-風を興す!-
コロナ禍、未知のウィルスにリアル開催を断念せざるを得ない中、昨年たくさんの方々に参加していただいた「青い鯉のぼりリモートプロジェクト」を今年も5月5日に開催します。

(※青い鯉のぼりプロジェクトNEWS2021より)

※ 詳しくは都度HPにてご確認ください↓↓↓。

天国のこどもたちに届きますように

番組では、他にも東日本大震災で当時6歳だった娘さんを亡くした母親も紹介されており、胸が苦しくなった。


天国にいる子ども達が、毎年に楽しみにしている青い鯉のぼり。


どうか沢山の子ども達に、その景色が届きますように…。




※最後まで読んでいただき有難うございます!

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