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突然の別れ

穏やかなトーンで
彼が静かに話し出す

本当に夢中だった
今でも、一番信頼してる。
安心もしている。
でも
異性としてというより
親友みたいになっていて

彼も
言葉が詰まる

そう
それは仕方がないね

私はそう答えるしかない

こんなときでも
端正で好きな顔だな
なんて思う

いつもの
唾液たっぷりの
キスをしてほしいとさえ

信頼も安心もあるけれど
異性としてみられないのは

誰か
異性として好きと
認識する人が
できたからではないかな

なんて
ぼんやり頭の片隅で考える

誠実な彼だから
浮気はない
だから
余計に。

それが
真実であろうとなかろうと
私が彼を好きであろうとなかろうと
私が何を言ったとて
気持ちが変わるわけでもない

だから
私は何も言わない

胸が苦しくて
苦しくて

息を吸うことが
こんなに大変だと

気付かされる

空気を読まずに
Tape fiveの
Bad boy good manが
流れる

こんな時に
陽気なスウィングやめてよ
と携帯に手をやり

目が覚める

夢。

夢?

でも
こんなにも
胸は苦しい

現実を確かめるために
ラインを開くと

彼がいつもの
朝の挨拶と
私への愛言葉をくれている

安堵を持ちながらも

彼に
あなたにフラれたと話す

有り得ない
全てを投げ出して
抱き締めに行きたい
と返される

それでも
気分が落ちている私に

別れたいと言っても
別れないよ
昨夜僕が早く寝たから
寂しくさせたからかな
ごめんね

なにこの満点の返し

たかが夢と
流すのではなく
不安を無くすように
気持ちをくれる

彼は真面目に
こういうことを真剣な眼差しで
してくれる

困った。

私をどこまで
捉えて離さないのかしら

それにしても
リアルで苦しい夢。

今夜は
貘の絵を描いて
枕の下に置かなくては

マレーバク好きだから
それで良いかな?
夢枕獏の写真でも良いかな?
ん。
余計に
魑魅魍魎の夢を見る可能性が高いよね


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