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切れ味◎これまでにない食の本

あらゆる食の本を読み続けてきましたが、この本は、これまでに読んだことのない切り口で構成された本でした。

山口さんの新刊。食の哲学本のよう

イラストと写真がほぼなく、文字びっしりで驚きましたが(笑)本好きには問題なし!

ターゲットは「自分ひとりのためのご飯作りがしんどい人」なのですが、料理作りがしんどいと思っている人は、きっと何かの気づきが得られる本だと思います。

面白いと思ったのは、精神科医を交えて、自炊料理家の山口さんと料理レッスンをした方を交えたインタビューのところ。

いろんな環境で悩みを抱えた人達が料理レッスンを受けることで気づいたことや学んだことを語り、メンタル面への作用についても触れていくところが興味深かったです。

実際に統合失調症の方や、調理師免許を持って調理する仕事をしているのに、なぜか家では自分のご飯が作れないという方が登場し、料理がしんどい理由を深堀りしていきます。

私も精神疾患をきっかけに食に興味を持つようになり、そこから料理を始めて自己肯定感が上がっていく中で症状も良くなっていった経験があるので、自分のために自炊するということとメンタルは関連しているという実感があります。

何を食べるかということも大事ですが、どう食べるかと同時に作るという行為も重要だなと思っているだけに、面白く読めました。

個人的に響いたのは「おいしさの九割は安心感でできている」ということと、「作る過程を味わう、味わいアンテナが大事」というところでした。

というのも、時間かけて食事を作っても、家族は10分で食べ終わってしまい、食器を片付けながら虚しい気持ちになることが多かったので、料理は好きじゃない、しんどい作業と思う自分がいました。でも、料理の過程をとことん味わうことができれば心が満たされ、すぐに消費されて虚しいという気持ちはなくなるのではないかと思ったのです。

そんなわけで、今日から早速「過程」を楽しもうかと。そして、食べるときも味わいアンテナを立て、過程も食事もしっかり味わうことで、何かが変わる気がしています。

山口さん、斬新な企画と見たことの無い角度からの切り込みを入れてくださり、ありがとうございました!

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