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世界遺産サンティアゴ巡礼路854kmを歩く -アクシデント!出発点に戻る!/13日目-



●これまでの道のり
1日目 初日31km / 2日目 猛烈な筋肉痛 / 3日目 大自然の中で一人大泣き / 4日目 足の痛みと色眼鏡の妄想 / 5日目 痛恨のエクストラステージ / 6日目 後半、雨の中での迷い / 7日目 旅仲間との出会い / 8日目 誰かの玉ねぎを使うこズルい自分 / 9日目 心身追い込まれる中での不思議な感覚 / 10日目 タフな作家さんと歩きッコ / 11日目 仲間とゆっくり歩く日 / 12日目 作家さんの○歳の誕生日

2014/3/4 Belorado 〜 サンティアゴまで残り 544.1km

朝にダイニングで軽く食事をし、8時40分にホージンと一緒に出発。

作家さんは早くに一人で出発していた。

 

ペースよく進み、11時半頃に途中のとある街に着く。

何か食料を買おうかと周りを見渡していると、カフェから作家さんが出てきて呼んでくれた。

ここで休憩していたようだ。

それなので後ろを歩いていたホージンを待って自分らもカフェに入る。

二人は韓国語で何やら話している。

今日はどこまで行くか話し合っていたようだった。

ホージンはバスで行くなんて冗談を言っていた。

しかしカフェを出る時、ホージンがマスターにバスの時間とバス停の場所を確認している。

さっきのは冗談ではなかった。

この後、小さな山を越えなければならないが、それが今の足の状態では厳しいようだ。

自分も足に痛みを抱えながら歩いているけど・・・、彼の状態は彼にしかわからない。

残念に思うが、彼が決めたこと。

この街で一時お別れ。

40km先の大きな街Burgosまでバスで行き、そこで待っている、とホージンは言う。

 

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作家さんと二人で歩き始め、この先の山を越える。

ペースは良いものの、その後の道のりもなかなかに長く感じた。

 

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そして今日の目的地に着いた。

しかしアルベルゲが開いていない。

作家さんが当てにしていたホテルもクローズ。

とりあえずカフェで一息。

情報を確認しようとタブレットをバックパックから取り出す、

取り出す?あれ?・・・無い。

いつも常に入れておくところにタブレットが無い。

一応他のところも探すが見当たらない・・・

・・・

忘れた!

昨日泊まったペンションのダイニングに忘れた!!

おーー、30km歩いてきて気づくとは・・・!

戻らなくては。

どうする?

テーブルの上にあった作家さんのガイドを見る。

この街にバス停は無く、10km先の街にある。

少し考え、明日そこまで歩き、バスで戻ることにした。

仕方ない。

タバコを吸って戻ってきた作家さんにジェスチャーと共に事情を話す。

すると、タクシーと言う。

タクシーで次の街まで行こうと言う。

私が払う払う、と言うジェスチャーも。

何がいいのか考えていると、すでにマスターにタクシーを頼んでいる。

えぇ、と戸惑っているとマスターは電話している。

なんという決断力と行動力。

もう従おう。

もちろんお金は自分で払うつもり。

 

タクシーで10km先の街まで行く。

タクシーの精算時、自分がお金を先に出したのを作家さんが強引に制止して支払いしてしまった。

私もここの街のホテルに泊まるのだからいい、と言っていた。

いつか返す、と言うしかなかった。

バスを探すと遅い時間だがあった。

良かった、今日のうちに戻れそうだ。

作家さんにお礼を言って別れる。

次の大きな街Burgosでまた会おうと言っていた。

 

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バスの中で眠ろうと思ったが眠れず、考えた。

彼女は自分のためにタクシーを使って移動した。

自分は今、バスに乗って戻っている。

バスに乗って現実に戻ったような気がした。

何時間もかけて歩いた道をバスで数十分で戻る。

自分は何を一所懸命歩いているんだろうか。

わからなくなった。

宿はまだ開いてるだろうか?

タブレットはホントにあるだろうか?

歩いて戻るべきだったんじゃないだろうか?

明日はどこから歩こうか。

Burgosまで行って二人に再会できるのだろうか? 混乱していた。

 

バスは1時間かからず今朝出発した街まで連れ戻してくれた。

昨晩泊まっていたペンションの前に着いたのは21時。

昨晩は開いていたのにドアが開いていない。

少し焦ってベルを何度か鳴らす。

・・・

いない?

すると最上階の窓が開いてオーナーのおじいさんが顔を出した。

良かった、いた。

オーナーが降りてきて、ドアを開けてくれると、オーナーがこれでしょっとばかりにタブレット手に持って出迎えてくれた。

それー!!

ほっとした。

二人で笑った。

そして、遅くに申し訳ない、今日もここに泊まりたいと伝えると、快くオーケーしてくれた。

話を聞くと、オーナーは自分が今日行きそうなアルベルゲに電話して置いてくれたり、届けてくれようと準備してくれていたようだ。

なんともありがたい。

とにかくタブレットは手に戻った。

今日のスタート地点にも戻ったけどね。

 

疲れと安堵感の中、眠りについた。

今日歩いた距離 30.2km

今日までの合計距離 340.5km

サンティアゴまで残り 513.9km

経由街  Belorado – Atapuerca(Belorado)