5.20 ヴィエンチャン、ほんの一部

朝、5:45に起きて托鉢に行ってみる。
目覚ましはすぐ止めたが
ドミトリーの向かいのベッドの人から
うるさいと少し声が飛んできた。

昨日の夜フロントで教えてもらった。
宿のすぐ近くの道を通るらしい。

5人ほど僧侶が通るので
水かジュースを5本分
用意しておくといいよ、と
早朝でも開いてる近くの24時間の
スーパーを教えてくれた。

水やジュースやお米なんかを
各僧侶に渡していくのだそう。

あとは見よう見まねで
やってみたらいいと言う。

服装は不適切じゃないか聞くと、
今の格好でも大丈夫だが、
できれば白い服だとなおよいといい、
斜めにかける手織りの布も貸してくれた。

しかしスーパーは
昨日の夜からイレギュラーがあったらしく
6:30からオープンと張り紙があり
空いていない。

渡せるものがないのは申し訳ないと思い
少し離れた場所にいると
宿のフロントの人かちょうどやってきてくれた。

事情を話すと、それならここから
見てみるといいよと教えてくれて
しばらく眺める。

1組、30歳くらいの女性とお母さんが
やってくる。バスケットに何やら
食べ物と水のボトルが入っており、
ござを敷いて座って準備する。

もう1組は、20代後半の男性2人。
彼らは何も持っていなく、
向かいの道路にしゃがんで
スマホをいじっている。

驚いたのは、犬が1匹やってきて、
僧侶の通る道の目の前にしゃがんだ。
犬も参加するらしい。
毎朝決まった時間に托鉢が行われているのを
知っているのだ。

人が集まってきて、交通量が増える。
彼らも集まってきたのかと思ったが、
意外にもその2組と犬1匹だけだった。

寺院にもっと近い道なら
もっと人が多かったのかもしれない。

橙色の袈裟を着た僧侶が3人、
奥から歩いてくる。
彼らも意外にも、とても若く見えた。

お母さんと娘さんは
お米のようなものをお布施して、
手を合わせている。

毎朝、早くからやられている
敬虔な仏教徒の方なんだなぁと思ったすぐ後に
娘さんが僧侶と映るように自撮りを始めた。

もう1組の男性2人組も、
1人が道を渡り托鉢をしている近くを通り、
もう1人が道の対岸から写真を撮っている。

意外な光景に拍子抜けしてしまったが、
それでも、街がまだ目覚めてから少しの
朝早くに、毎朝僧侶の通る道に出向き
お布施をして祈るという習慣は
素敵なもののように思えた。


帰ってくると、お腹が痛い。
昨日の夜、16度に設定された
キンキンの部屋で夜中ずっと
冷房の風が直当たりしていた。

寒すぎてお腹を壊し
何度もトイレに行き、上着を着込んで寝るも
ダメだったようだ。

帰宅して、妹は散歩に行ったが
寝不足とお腹の痛みで、休んでいることにした。
お腹が痛いと、トイレが近くにない場所に
うかつに出歩けない。
痛みだけでなく、行動範囲が狭められるのも
痛手だと再認識。

起きたのは10時ごろ。
お腹が空いていたので、
昨日の夜見かけた美味しそうな
近所のサンドイッチ屋さんへ。

ラオスもフランスに統治されていた歴史があり、
ラオス版バインミーが美味しいらしい。

若く可愛らしい娘さんと、
優しいおばちゃんがやっているお店。
これだけでいい店なのは保証されている。

スパイシーかノースパイシーかを聞いてくれ
ノースパイシーでお願いする。

細切りされた大根の浅漬けのようなものと
にんじんに、少しのパクチー、
厚揚げのような魚肉ソーセージのスライス、
牛肉のゼリー寄せのようなもの、
パンには何かのペースト、と
具がパンパンに挟まっている。

ノースパイシーのはずのソースは
中々ピリ辛だが美味しい。
ラオスの食べ物が
辛いイメージがなかったので少し驚いた。
(正確には、ラオスの食べ物に対して
何も知識とイメージがなかったのが正しい。)

固めのサンドイッチは具がパンパンなら
パンパンなだけ美味しく、ここのは
少しエスニックでとても美味しい。

美味しそうな匂いにつられたのか
気が付くと足元に猫がやってきて、
ふくらはぎをチクッとした。

まさか噛まれたかと狂犬病の心配もあり
ぎょっとするも、跡はない。
おそらく爪を少し立てて
引っかかれたと思いたい。

動物が苦手なのも相まって、反射的に
大袈裟に席からぎょ!っと言いながら立つと
お姉さんがソーリーと言って
イスで猫を追い払ってくれた。

街にはバンコクと比べて物乞いの人は
ほとんどおらず、ゴミも少なく、
キツい匂いはない。

道にいる人も多すぎず少なすぎず
体感として治安がいい雰囲気がある。

半屋外のお店や屋台も清潔感があり
ここのご飯は不安だと
一生懸命大丈夫そうなお店を探さなくても
だいたいどこも安心できる。

ナイトマーケットもほどよい活気があるも
客引きもうるさくなく、穏やか。

服やものもデザインや柄や色使いが
少しオシャレで可愛い。

しかし、アジアの最貧国と言われるような
貧しさや物価の安さは感じない。

ご飯は食堂でだいたい
4、50.000キップ(≒300円前後)、
タイパンツは75キップ(≒525円)と、
バンコクと同じくらいか、
ものによっては少し高い。

こどもがお店を手伝っている様子は
街中に溢れて印象深い。

公的な場所は目が鋭い人も多いように感じ、
大きな交差点にある監査場所のような
白い簡易的な建物には
制服を来た人が何もすることがないと
手持ち無沙汰に4人も座っている。

穏やかな雰囲気と治安のよさ、
人の優しさや物価、社会主義っぽい雰囲気、
少しずつ触れて感じることはある。

しかし、まだヴィエンチャンの、ラオスの
ほんの中心のほんの一部、
ほんのわずかな面にしか
触れていないし、見えていない気がする。
ただただ穏やかでいい国だとは言えず、
違和感が大きく残る。

なぜかそれは、
どの国の首都を旅したときよりも
強く感じた。

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