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リラ〜犬と人との物語③

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第3話 いつも一緒がいい


 新しいお母しゃんは新しいお父しゃんとわたしを迎えに来てくれた。

 そして、車に乗って行ったんだ。

 着いた場所が新しいお家。家の中で生活するようになった。寝る場所は玄関に置かれたゲージ。

 でも、それ以外はいつもリビングでお母しゃんと一緒だった。

 新しい家に来て、穏やかな生活が始まった。

 ゆっくりと流れる時間。

 いいよねぇ。

 でも、一回だけ心がざわざわしたことあるよ。

 それは黒い四角いものから聞こえた音。そこから、たくさんワンワンという声が聞こえてきたんだ。まるであのシェルターに居た時と同じような。

 後からお母しゃんが説明してくれたよ。

「リラ、あなたがこの前まで住んでいたシェルターのことをテレビでやっているわ」

 どおりで嫌な感じがしたんだ。もうあんな場所には居たくないね。

 それから毎日お母しゃんと一緒だった。時々、家でお留守番するときもあったけど、だいたい一緒だった。

 お父しゃんはいわゆる「ご主人様」だから服従する。でも、あんまり撫でてくれないんだ。

 そして、ほとんど家にいなかった。

 どれだけわたしのことを可愛がってくれているのか、愛してくれるのか、ワンコって肌で感じるものなんだよね。

 お母しゃんはわたしと二人ぼっちな感じだったけど、愉しそうだったよ。

 でも、いつからかな?

 お母しゃんがよく寝込んでいたのは。

 わたしは散歩行って、一緒に寝て居られたから幸せだったけどさ。

 でも、元気のないお母しゃんは、ちょっと悲しい。

 そのうち、お父しゃんと暮らしていた家を離れて、お母しゃんと本当に二人ぼっちの生活が始まったんだ。

 二人になったら、わたしが一人ぼっちの時間が増えて。

 寂しいなぁ。

 お母しゃんは何をしているんだろう。

 それまでみたいにたくさん撫でてくれたり、話しかけてくれることが少なくなったなぁ。

 そう思っていたら、おかあしゃん、また寝込んだ。

 あまりにも元気なさそうだったから、散歩のときはわたしが連れて行ってあげたよ。お母しゃん、引っ張ってあげないと、ちゃんと歩かないんだもん。

 そのうち、また元気になって、また一人ぼっちの時間が増えたんだ。

 もう困るよね。人間の都合に振り回されて。

 どうでもいいけど、わたしのこと、ちゃんと愛してよ!


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