突然の巡り会わせ②
出会いって不思議なもの。
神様のはからいで、人と人は巡り会うの…?
それとも、神様の暇つぶし…?
憧れの男性DJへファンレターを送ってから、半年は過ぎた。
もちろん彼からの返事はなかった。
彼の元にちゃんと手紙が届いたか心配だった。
しかし、私はかなりの熱量で書きあげ、勢いのままポスト投函したので、赤面モノの思い出として心の鍵付き秘密部屋へすべてをしまい込む事にした。
いつものように退屈な学生生活を送っていたある日、
その頃、インディーズで秘かに火が付き始めたパンクジャズバンド集団の全国ツアーが始まった。彼らのステージは、今回初めての地方公演とあって、地元のジャズファンは期待でいっぱいだった。
運よく私の地元にも来る事が分かり、学生だった私ももちろんチケットを発売開始とともに買い、当日は授業そっっちのけで早々とステージ前のスペースを陣取った。
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今でも忘れはしない。
開演前、ふと右横を見ると、ファンレターを送ったあの憧れのDJが同じように隣で開演を待ちわびていた。
咄嗟に二度見をしたが間違えない…
話しかけなかったら、この瞬間を私は死ぬまで後悔する…
目の前に差し出された神様からのギフトを受け取らない訳にはいかない…
頭の中の思考は、時に問答無用だ。
私『すみません…○○さんですよね…?私、前にファンレターを送ったものです…』
DJ『あぁ、、!覚えています!!お手紙を送ってくれたあの音大生さん?!
お手紙ありがとう!読みましたよ!!もしよかったら御礼にあとで一杯おごりますね!
それと、僕今日出るバンドの打ち上げに参加予定なんだけど、良かったら一緒においでよ??
そこでゆっくり話そう。僕がメンバー全員へ紹介するから安心して。』
私の答えは、1つしかなかった。
『Jesus…』(心の声)
ライブは、超満員の大盛り上がりで終演を迎えた。
しかし、私というと突然ユートピア化した現実を受け入れる事に必死だった。
ライブが始まってからの約2時間ほど、自分の足で立っている事がやっとだったのだ。
なんだか、現実がスローモーションに見える。
想定外の幸せが舞い込んできた時、大抵の人間は自分自身を見失う。
打ち上げ開始までの待ち時間、
DJの彼と一緒にライブ参加した友人、そして私の3人で薄暗いショットバーにてまずはこの出会いに乾杯をした。
彼は、とてもお話上手だった。
まだ社会経験のない私たちに目線を合わせて、分かりやすく色んなお話をしてくれた。
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学生時代のこと
音楽業界について
二十代で経験しておくべきこと
そして、東京の事…
その晩の出来事は、二十歳の私にとって、
お酒よりも煙草よりも、恐らく依存性のある薬以上に、刺激が強すぎた。