子供のためのオルセー美術館(144)青はお好き?/青のインテリア・北欧の光、女流画家ハリエット・バッケル
ノルウェーの女性画家バッケルは、窓から光がさすアパートの部屋を描きました。
バッケルはこの絵で、青を描こうと決めていたのです。
さあ、どこに青色があるか見てみましょう。
今から150年前のパリのアパート
ぶあついカーテンを開けると、暗い部屋は、ぱあっといっぺんに明るくなりました。
植木鉢の植物もお日様を浴びて葉っぱを広げます。
窓ぎわに美しいシルエットの椅子があります。
日があたっている椅子は青色が光って、もう一つの椅子とは違う青です。
あそこで針仕事をしているのは、バッケルの友達アスタ。
ふかふかと座りごこちのよいソファも、ベルベットで作られたカーテンと同じ濃い青色です。
そして、床に転がっている人形の青、これはきっとナポレオンの兵隊さん。
壁にかかっている絵は、空と海の印象派の絵。やっぱり青。
それから、気がつきましたか?
壁の上のほうにある細い線。
窓のほうにのびる青い線は、だんだん明るくなって、窓ぎわのカーテンの青につながります。
こうして散らばった部屋の青色に、日差しがちらちら通りすぎていくのをじっと見つめるバッケルは、時間をかけてゆっくりとこの絵を描いていきました。
バッケルは、みんなから「部屋の中なのに外で描いた絵のようだ」と言われるくらい、光をとらえる色を次々に見つけていったのです。
Harriet Backer
Interieur bleu Blue Interior 1883
Oslo, National Museum
ハリエット・バッケル
青いインテリア 1883
お読みいただきありがとうございました。
フランス初の回顧展がオルセー美術館で先週始まりました。ノルウェーの画家バッケルは、窓から差しこむ自然の光、あるいは室内の電灯の光で部屋の中にある物の色やかたちがどう変化しどのように際立てさせて描くことができるのかを熟考しました。自由自在に変化するスタイル、筆使い、その薄塗りの鮮やかな色。
この絵の何気なく描かれた天井や壁の色、光と影を落とす床。鏡の向こうの世界も是非ご覧ください。北欧のライティングデスクがカラフルですね。
当時の閉鎖的なノルウェーで初めて女性を教えることができる美術学校を後に創設するのも彼女です。ピアニストの妹を音楽とともに描く絵、ノルウェーの風景、色とりどりのロシア風教会、セザンヌの再来とも呼ばれた静物画の質感、またご紹介します。
オルセー美術館企画展の美しいデモビデオ 50秒