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子供のためのオルセー美術館(83)夏のある日のレストラン/ゴッホ・印象派に最も近づいた日

いままでたことないいろ


まぶしい日差ひざしのなつに、ゴッホはセーヌ川の小さなまち、アスニエールにやってきました。
去年きょねんまでいたオランダやベルギーではたことがないいろが、ここにはあったのです。

しろぬりのテラスがまぶしいレストラン。
あかかべよこには、みどりっぱのキョウチクトウ。オレンジ色のはながいくつもゆれています。


ゴッホは、すっすっとのびるはやくてたくさんのみじかせんで、このきました。


ゴッホのきな黄色きいろそら。レストランは青色のかげでいっぱい。


日よけのブラインドは、いままで使つかったことがないローズやうす紫色むらさきいろだし、
あかあお、あと、ちょっとのしろで描いたの、フランスの旗ってわかるでしょう?

もうゴッホはたのしくてたまりません。

そこで、このまちべつのレストランもきに行きました。

こっちのそらうすくもでうんとひろい。こうのあかいえみどりまどがなんかおしゃれじゃない?

ゴッホのきな黄色きいろは?どこにあるでしょう。

今度こんどは、みちに!

今日きょうは、ゴッホが、印象派いんしょうはいろにいちばんちかづいた日でした。


Vincent Van Gogh
Le Restaurant de la Sirène à Asnières 1887
フィンセント・ファン・ゴッホ
アニエールのレストランシレーヌ 1887

1886年3月から1888年2月までのパリ滞在中、ゴッホは弟のテオとともにパリ北部のラヴァル通りに住み、1886年6月からはレピック通りに住んだ。印象派の画家たちの中には、夏には田舎に出かけるようなささやかな旅費を払う余裕のある者もいたが、ゴッホは、趣味と必要性から自分の住んでいる場所の近くを探す傾向があった。パリの要塞からほど近い、セーヌ河畔の町アスニエールがそうだった。彼はここで、橋の風景やレストラン「ラ・シレーヌ」の風景を描いた。
画風と主題は印象派の先例があるがこの絵はそれらから多少離れている。建物の外見よりも、印象派の画家たち、とりわけルノワールはしばしばレストラン内部の雰囲気に重点を置いていた。

ゴッホは白を多用し、豊かなパレットを駆使している。画家のエミール・ベルナールが、ゴッホのパリの作品には「色とりどりのブラインドとキョウチクトウのあるおしゃれなレストラン」があるとヴォラールに語ったとき、間違いなくレストランシレーヌをさしていた。
ゴッホは平行したクロスハッチングを多用し、やがてそのスタイルが完全なものとなるであろう、より個人的な画風を示唆している。

musée d’orsay 

Vincent Van Gogh
Le restaurant Rispal à Asnières 1887  
The Nelson-Atkins Museum of Art
フィンセント・ファン・ゴッホ
アニエールのレストランリスパル 1887 

この縦長の絵は、明るい春か夏の日の静かな通りの風景を描いている。前景には、歩道を歩いたり通りを横切ったりする数人の人物が描かれている。中景は白い3階建ての建物で、斜めの屋根、4本のレンガ造りの煙突、通りに面した緑色の雨戸のついた窓が並んでいる。建物の側面には大きな青い文字で「レストラン・リスパル」と刻まれている。
構図の上半分は薄い白い雲が浮かぶ青空。青、黄、緑を基調とし、赤とオレンジが対照的なアクセントになっている。素早く描かれた途切れた筆跡は、長さも方向もさまざまだ。全体にインパストの厚い部分が見られる。

The Nelson-Atkins Museum of Art

お読みいただきありがとうございました。
« En peignant à Asnières, j’ai vu plus de couleurs que j’en ai jamais vu auparavant »
アズニェールで絵を描いていると、今まで見たことのないような色彩を目にすることができる、とこの町で絵を描き始めたゴッホは言い、今までの画風ががらりと変わっていきました。
ゴッホの個性的な色使いへの一歩は、最も印象派に近づいた、白がたくさんのこんな淡い色の絵だったのですね。


さて、色々と物議を醸したオリンピックも終わりました。パリはパラリンピックまでやっと短いバカンスになります。
暑い夏休み、どうぞ皆様お大事にお過ごしください。

 賑わいを終えたレストランもしばしのバカンス

Gogh  L'Extérieur d'un restaurant à Asnières 1887
ゴッホ アスニエールのレストラン入口 1887
musée van gogh amsterdam 


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