菩薩の罪

諸々の仏陀並びに菩薩方に私は帰依する。

悪心を発しては怠慢を起こし。それと同じ数だけの罪過を作り。それと同じ数だけ悪趣に赴く。然るに悪心から生じる様々な罪過は衆生を滅ぼす憎むべき敵である。

汝は諸々の功徳一切を衆生に回向すると。真実高らかに叫びながら。一切の利他を捨て去り。怠慢に陥り。菩薩として恥ずべき罪過を犯した。然るにその罪は重く。鈍重であり。様々な衆生の利益を害する。かように自らの悪事を自覚し。よく正智し。心を正しく立て直し。一切衆生の利益を害さないように。諸々の事柄一切から心を引き剥がすべきである。

心は散漫であり。疑い深く。迷盲に陥っては。他者を害する。菩薩が犯す罪過は通常の人々に比べて遥かに重い。一切衆生の利益となることを望み。実際に衆生の幸福の為に様々な利益をもたらす。しかしながら汝は菩薩としての使命を捨て去り。貪欲に走り。一切衆生を嘲り。騙し。全ての真実を欺いた。

然るにそこから生じる衆生への損害は甚だ大きく。自らの過ちひとつが全世界にあまねく無数の衆生の群れを等しく害する。菩薩の命は衆生に明け渡され。菩薩が未来世において。これから為すであろう徳高き善福が。一切衆生に限りない利益をもたらす。菩薩が菩薩の道から堕落することは。当事者だけの問題にあらず。菩薩の大願。すなわち衆生救済にかかる全ての生類の利徳を害することとなる。然るにそれは極めて重い罪過となり。自他共に計り知れない損害が生じる。

ゆえに菩薩は自らの心を堅固に保ち続けるべきである。菩薩の道には魔事が付き物であり。あらゆる魔的な誘惑が汝を襲う。然るにそれは衆生救済を良しとしない。マーラの手先であり。また以て衆生の利益を害する。ゆえに汝は甚だ堅固に菩提心を保ち。衆生に全てを捧げるという誓いを固く授受し。懸命に菩提行に励むべきである。

あらゆる魔事も如来からの手向けであると受け入れ。如来の穢れなき家族と家柄を汚点として穢すことなく。清廉潔白を心に掲げ。正しく喜びと至福に満ちた心で。日々の修行に励みなさい。

衆生の幸福が全てである。
衆生の救済だけが菩薩の大願である。