UNTITLED REVIEW|無情の写実主義
市内を縦断する鉄道の終端駅からほど近い場所に樹齢数百年とも言われる原生林の森に抱かれた神社がある。世界遺産のひとつに登録されてはいるがターミナル駅からバスで30分ほどかかることもあり、いつ訪れても観光客の姿は疎らだ。若い頃、街の喧騒から逃れたくなったときや世の中の不条理にどうしても耐えられなくなったとき、よくその場所に足を運んだ。今はそれなりに年齢と経験を重ねて多少シニカルなものの見方ができるようになったこともあって、そこに行くのは初詣の時ぐらいになった。人は生きるために、感