遠泳

短歌同人誌「遠泳」です。

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    • 榊原紘『悪友』デジタル栞文

      榊原紘歌集『悪友』(書肆侃侃房、2020)に「遠泳」同人が寄せた栞文のまとめです。

    • 『はるかカーテンコールまで』デジタル栞文

      笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』(港の人、2019)に「遠泳」同人が寄せた栞文です。

      • 榊原紘『悪友』デジタル栞文

      • 『はるかカーテンコールまで』デジタル栞文

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    榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.6-

    「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第六回目は中澤詩風が担当です。 ーーー 仕事帰りにふらっと寄った丸善で詩歌のコーナーを見ていたら,『悪友』と『ビギナーズラック』が並んで置かれていた。榊原先輩と阿波野先輩は京大短歌に所属していた時の2個上世代で,一番良くしていただいた世代だった。そんなこともあり,この2冊が並んでいるというのが私にはとてもまぶしい。 攫われた

      • 榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.5-

        「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第五回目は佐伯紺が担当です。 ーーー 機嫌なら自分でとれる 地下鉄のさらに地下へと乗り換えをする /名画座 わたしの記憶のなかでの榊原さんはいつも朗らかにしていて、でもそれは「地下鉄のさらに地下」のようなところで自分を律したうえでの朗らかさなのだという気がしている。 雪の染みた靴から君が伸びている そんな顔で笑うやつがある

        • 榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.4-

           「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第四回目は北村早紀が担当です。 ーーー  知っているはずの歌であっても、歌集という形でまとまっている状態で読むと違った感じがすることは、何回やっても新鮮に不思議に感じます。榊原さんの歌には静かなイメージがあったのですが、今回歌集として読んでみると、思っていたよりもハイテンションなんだなと思うようになりました。(けれど静かとい

          • 榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.3-

            「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第三回目は坂井ユリが担当です。 --- 第三回:無題  昔、同僚に連れて行かれた占い屋(タロットカード)で「どんな努力も実を結ばない人」と言われたことがある。度肝を抜かれた。事実、私の努力は実ったことはない(と言える)。というより、努力を続けられない性質なのだ。榊原さんはそんな私とは正反対の人だと思う。努力のできる人。こよな

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            榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.2-

            「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第二回目は松尾唯花が担当です。 --- 第二回:呪い  僕はいつも怒っていて、何かを憎んでいて、復讐心のようなものを盾として、ここまで歩いてきたように思います。(「あとがき」より)  新しく同人誌をつくろう、と榊原さんとふたりで話したのは、大阪駅から少し歩いたところにある紅茶屋さんだった。  当時、同世代の歌人たちによる同

            「遠泳」通販などの情報

            「遠泳」の通販情報創刊号・2号ともに通販を行っています。 1号  短歌連作(各20首) 笠木拓「pink」 北村早紀「白の跳躍」 佐伯紺「育った場所の冬しか知らない」 坂井ユリ「眼を閉じて」 榊原紘「名画座」 中澤詩風「群青色の夜明け前」 松尾唯花「リバーサイド・アパートメント」 企画「交換日記」 2号 短歌連作のみ 榊原紘「猫はどこへ行く」18首 中澤詩風「駄々」15首 坂井ユリ「花絆」24首 佐伯紺「屈託」20首 北村早紀「たーたん」10首 笠木拓「くす玉」21

            榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.1-

            「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されます。今日から毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新していきます。第一回目は笠木拓が担当です。 --- 第一回:光速でひかりは届くスプーンを洗えば水の弧に濡れる 生きてって言いたいよいつでも  榊原紘『悪友』  景はすぐに、鮮明に思い描ける。でも、ほんとうはスプーンはあらかじめ弧のかたちをしていた水に濡れるのではない。落ちる水がスプーンにふれることで弧を描くのだから、厳密には時間と

            文フリ出店案内

            おかげさまで、『遠泳』2号が出ます! 1月19日(日)第4回文学フリマ京都【し-04】(1F 第二展示場C・D)にて販売いたします。1冊500円です。 短歌連作のみですが、全員出詠することができました。よい本になっていると思います。 以下、各タイトルと歌数です。 榊原紘「猫はどこへ行く」18首 中澤詩風「駄々」15首 坂井ユリ「花絆」24首 佐伯紺「屈託」20首 北村早紀「たーたん」10首 笠木拓「くす玉」21首 松尾唯花「ひかり/冬の」20首 机上には ・

            掲載号紹介

            「遠泳」同人の坂井ユリが歌壇賞候補作、榊原紘が次席に選ばれました。 『歌壇』2月号に掲載されていますので、是非ご覧ください。 一文字の姓をもつ人が近いよ、と港の位置を教えてくれる/坂井ユリ「おもき光源」 どの舌も這うたび肌は焼けていたずっと心は焼跡なのに/同上 五千年後の語彙を想像してみてよ ティースプーンでスコーンを割る/榊原紘「生前」 サドルには日照雨が残り手の甲でかるく拭って漕ぎだすまでだ/同上 また、榊原は第2回笹井宏之賞をいただきました。2月1日発売予定の

            「はるかカーテンコールまで」デジタル栞文-第6回-

            「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集刊行記念note、今回の担当は坂井ユリです。 ---   そんなに遠くない昔、私はしばしば予期しない死について考えていた。最近はよく寿命について思う。寿命について考えることと、死について考えることは少し違う。寿命を前にすると、死はその営為の慎ましさを感じさせるからだろうか。 心臓が早鐘のように鳴るというその早鐘の齢をおもう/「フェイクファー」 「齢(よわい)」は年齢を指すというよりは、寿命のことを指しているように思える。心臓の小さい生きも

            「はるかカーテンコールまで」デジタル栞文-第5回-

            「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集刊行記念note、今回の担当は佐伯紺です。 --- しょっぱなからうろ覚えの記憶で恐縮なのですが、落雁の頑固さに憧れる、という書き出しではじまる笠木さんのエッセイがあった気がして(うろ覚えすぎて原典にあたれなかったので間違っていたり存在しないエッセイだったらごめんなさい)、パラフィン紙につつまれた歌集を手に取ったとき、その書き出しを思い出した。落雁。 地下街を出たなら日照雨 もう誰を助けられなくたっていいから /木馬と水鳥 (※ルビ:日照

            「はるかカーテンコールまで」デジタル栞文-第4回-

            「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集刊行記念note、今回の担当は松尾唯花です。 --- 第4回:わたしとひらがなと笠木さん  ひらがなが好きだと思う。  ひらがなを丁寧に書くのも好きだし、眺めるのも好きだ。  笠木さんと一緒に京大短歌にいたのはかなり短い期間だったけれど、歌会で会わなくなっても(そもそも歌会でもそんなに遭遇していなかったかもしれない)、ふとしたときにアニメのひとこと感想が届いたり、かわいいスタンプが届いたり、そのひとつひとつの温度がとても好きだなあとずっと

            「はるかカーテンコールまで」デジタル栞文 ‐第3回‐

            「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集刊行記念note!第三回目の更新担当は中澤詩風です。祝日なので、昨日の北村早紀に続いてお得な連続公開です。 --- 笠木さんの歌集が刊行されたということで、とてもめでたいです。 漫画は単行本化を待つタイプの人間である私としては、笠木さんの歌をまとめて読める機会ができて、とても嬉しいです。 さて、今回笠木さんの歌をまとめ読みして、いいなと思った歌を引きます。 (永遠は無いよね)(無いね)吊革をはんぶんこする花火の帰り /もう痛くない、まだ帰

            「はるかカーテンコールまで」デジタル栞文

            「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集刊行記念note!第二回目の更新担当は北村早紀です。 --- 先日サークルの後輩が、「きょうたんの先輩たちの歌はずっと覚えてる」 「はじめに見た短歌を親だと思ってついて行くので、たまになにかで思い出したり無意識に真似しそうになったりする」 とツイートしていて、うおー私も同じように思うよ、と思いました。 うおーわかるわかる、と思ったときに私が思い浮かべた何人かの先輩の中に笠木先輩がいます。 (以下はその後輩が言いたかったこととは全然違うのかもしれ

            はるかカーテンコールまでデジタル栞文-番外編-

             『はるかカーテンコールまで』デジタル栞文2回目のはずでしたが、担当割り振りのときに間違えて10月6日を抜かしてしまったので著者が出張って番外編をします。あ、笠木です。  とはいえ何を書いても野暮になるな、と思って、この間大森靖子(同い年!)がライブでやってた「私の天国へようこそ。『流星ヘブン』」っていう曲紹介がかっこよかったので、真似します。 --- 番外編:本をひらく前のMC  ここまで生き延びるとは思ってなかった。  だけどずっと、死ぬまで短歌をやめない確信はあって

            『はるかカーテンコールまで』デジタル栞文

             「遠泳」同人の笠木拓の第一歌集が刊行されます。今日から毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新していきます。第一回目は榊原紘が担当です。それではどうぞ。 --- 第一回:『はるかカーテンコールまで』を待つこと  面白い連載は自殺を思い留まらせることができる、と言ったのは誰だったか忘れたけれど、本当にそうだと思う。どうなるのかこの目で確かめたいという気持ちは(どんなことがあろうと死ぬときは死ぬという当たり前のことは置いておいて)、寿命を延ばす