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榊原紘『悪友』デジタル栞文

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榊原紘歌集『悪友』(書肆侃侃房、2020)に「遠泳」同人が寄せた栞文のまとめです。
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榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.6-

「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第六回目は中澤詩風が担当です。 ーーー 仕事帰りにふらっと寄った丸善で詩歌のコーナーを見ていたら,『悪友』と『ビギナーズラック』が並んで置かれていた。榊原先輩と阿波野先輩は京大短歌に所属していた時の2個上世代で,一番良くしていただいた世代だった。そんなこともあり,この2冊が並んでいるというのが私にはとてもまぶしい。 攫われた

榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.4-

 「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第四回目は北村早紀が担当です。 ーーー  知っているはずの歌であっても、歌集という形でまとまっている状態で読むと違った感じがすることは、何回やっても新鮮に不思議に感じます。榊原さんの歌には静かなイメージがあったのですが、今回歌集として読んでみると、思っていたよりもハイテンションなんだなと思うようになりました。(けれど静かとい

榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.3-

「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第三回目は坂井ユリが担当です。 --- 第三回:無題  昔、同僚に連れて行かれた占い屋(タロットカード)で「どんな努力も実を結ばない人」と言われたことがある。度肝を抜かれた。事実、私の努力は実ったことはない(と言える)。というより、努力を続けられない性質なのだ。榊原さんはそんな私とは正反対の人だと思う。努力のできる人。こよな

榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.2-

「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されました。毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新しています。第二回目は松尾唯花が担当です。 --- 第二回:呪い  僕はいつも怒っていて、何かを憎んでいて、復讐心のようなものを盾として、ここまで歩いてきたように思います。(「あとがき」より)  新しく同人誌をつくろう、と榊原さんとふたりで話したのは、大阪駅から少し歩いたところにある紅茶屋さんだった。  当時、同世代の歌人たちによる同

榊原紘『悪友』デジタル栞文-vol.1-

「遠泳」同人の榊原紘の第一歌集『悪友』(書肆侃侃房)が刊行されます。今日から毎週一回、「遠泳」メンバーがリレー方式で歌集についてnoteを更新していきます。第一回目は笠木拓が担当です。 --- 第一回:光速でひかりは届くスプーンを洗えば水の弧に濡れる 生きてって言いたいよいつでも  榊原紘『悪友』  景はすぐに、鮮明に思い描ける。でも、ほんとうはスプーンはあらかじめ弧のかたちをしていた水に濡れるのではない。落ちる水がスプーンにふれることで弧を描くのだから、厳密には時間と