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#詩的散文
#28 モガディシュの月
まだ年端も行かない少年だ。目の隈は深く、その碧の眼はくすんだ灰色を含んでいる。浅黒い肌には若さに似合わぬ古い、えぐれた傷跡が残っている。暴力的にほそい手足は、どこか寂しく、けれども弱さは感じさせない。彼の弱さは彼の抱える銃にあった。AK47式機関銃。泥にまみれたそれは、未だ重い感慨をもって彼のふたつの腕が支えている。替えのマガジンはない。弾が出るのかも、彼はまだ知らない。それは少年が生きていく、
もっとみるまだ年端も行かない少年だ。目の隈は深く、その碧の眼はくすんだ灰色を含んでいる。浅黒い肌には若さに似合わぬ古い、えぐれた傷跡が残っている。暴力的にほそい手足は、どこか寂しく、けれども弱さは感じさせない。彼の弱さは彼の抱える銃にあった。AK47式機関銃。泥にまみれたそれは、未だ重い感慨をもって彼のふたつの腕が支えている。替えのマガジンはない。弾が出るのかも、彼はまだ知らない。それは少年が生きていく、
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