小説家のエッセイ 娘の子育てしたくないんだけど(どういう事?)

どうも、切迫早産中の妊婦でーす(どういう挨拶だよ)。

最近よく考えるのが、娘(お腹の中)をどうやって育てたらいいんだ?という事である。

っていうか、どう育てるか。

厳しい親に育てられて認知が歪んでいるせいか、子供に対して、「厳しく育てたい」という思いと「一切厳しくしたくない」という思いが二つあって、揺れ動いている。
独身の時結婚するかどうかで悩んだみたいに。

正直言えば娘に一切怒りたくないのだ。
悪い事をしても注意したくないし、欲しい物も全部買い与えて、食べたいものも全部食べさせて、いじめが横行する学校には行かせたくないし、何なら産んだ責任として一生ニートで養ってあげてもいい。

自分でもかなりやばい事を言っている自覚はある。
もちろん実際そんな風には育てないだろう。そんなペットを育てるみたいなやり方で人間を育てていい訳無い。シンプルに他の人に迷惑がかかるし。悪い事をしたら叱るし、栄養バランスを考えた食事を与えて、学校にも行かせる。夫と二人で相談しながら子育てをしていくんだろうな、とぼんやりと思う。

20代の頃ゴリゴリの反出生主義だったせいか、生育環境に問題があって認知の歪みがあるせいなのか、私は「親なら子供を全部受け入れて当たり前=そうしてくれなかった自分の親への恨みがある=逆に自分が親になったらそうしなきゃいけない」ぐらいの気持ちがある。

もし娘に発達障害があったら、「あなたを受け入れてくれない日本の学校と社会が悪いんだから、あなたは何も努力しなくていいのよ!」とかなんとか言って療育も行かせたくないと思う。思うだけで実際は専門医にかかったりすると思うけど。

かと言って、じゃあ反対に、「私が厳しく育てられたんだから、おんなじぐらいスパルタにしてやるわあああああ!」と、まるで親に復讐するみたいな感じで娘にスパルタ教育、という真逆の方向にも走っていきそうで怖い。もちろん、そんなの、甘やかすよりよっぽど、娘の心と体の正しい成長に良くないではないか。

一番いいのは、二つの間を取ってバランスの良い育児をする事。それが一番いい。でもそんな事できる?

そもそも私みたいな女が親になっていいんかという問題もある。今更考えてもしょうがないけど。もう妊娠9ヶ月なのに、やっぱり産みたくないーとか未だに思うし。おろせないのに。未だに思う。娘に愛が無いのではなく、親になる事への恐怖からそう思う。

私の母は、娘に対して、何になって欲しかったかと言うと、きっと、バキバキに活躍する理系女子になって欲しかったんだと思う。いい大学に行って、いい会社に就職して、やがて結婚して子供を産んで、ママの望む通りの優等生に・・・。

だが、生まれつき頑固な子供だった私はもちろん母の思う通りには育たず、私の過去については何度も書いてるので割愛するが、全く親の思う通りには育たなかかった。教員免許を取れと何度言われても頑として取らなかったし、正社員として安定した人生を送って欲しい親の気持ちを踏みにじって短期離職を繰り返して、稼ぎより自分の気持ちを優先して無職期間もあったし、結局よくわかんないライターをしてるし、十二人も元カレを作った挙句お見合いじゃなくて自分で見つけてきた男と結婚するし。

「子供は親の思う通りには育たない」とよく言うけどその言葉を体現したのが私(と妹)である。

親の気持ちより、自分の気持ちを優先して生きてきた。平凡に堅実に生きて欲しい親の気持ちを無視して、自分の野望ばっかり考えている、そんな人生である。

じゃあ、そんな野望娘として生きてきた私が母になる。では、今度は、娘にはどう育って欲しいのだろうか?

私は、娘には、大物になって欲しいのだ。普通じゃないすごい人になって欲しい。世の中を変えたり大勢の人に影響を与えるような大人物に。平凡で堅実な人生じゃなくて派手で偉大な人生を送って欲しい。20代の頃はよく「どうせ子供産んでも平凡な会社員になるんだったら産んでもしょうがないわ」と会社員の人には失礼な事を考えていたものだが、今はそんな風には思わないけど、どうせ産むんだったら大物になって欲しいよな、と思う。

だけど、子供は親の思う通りには育ってくれないから。それを体現してきた人間として、きっと、大物になって欲しいと思うけど、平凡な女の子に育つんだろうな、と思う。

私の母が、私になって欲しいと思うような女の子に、きっとなるんだろう。

娘は、私にとってどんな存在になるんだろう?
どんな外見の女の子だろう?
性格はどんな子になる?
私とどういう関係を築いていく子供になる?
友達親子みたいになれる?
娘の存在は、私の価値観にどういう影響を及ぼすだろうか?

今は何も判らない。
何故ならば、彼女は私のお腹に居て、私の内臓を蹴り上げる事しかしていないから。

今までは親と戦う人生だった。
これからは娘と手を繋いで歩いていく。
これから待っているのは、どんな人生だろうか?
まだ何も判らない。


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