廻る家 8 (完結)

8

 吹き荒ぶ冷たい風に、人々の喜びが乗って雪と共に舞い、各家庭の窓から淡い光が漏れる大晦日、何の前触れもなく、突如色合わせ立方体玩具型建造物は崩壊した。

 幸い人間の住人たちは実家に帰ったり、年越しイベントに参加したりしており、崩壊による死者は出なかった。

 しかし、海斗君をはじめ住人たちは、自分によく似た、あるいは隣人によく似た機械人形たちが犠牲になったことに対して、深く癒えない悲しみと少しの安堵を抱いた。

 さらに注目すべきは、あの様々な憶測の飛び交っていた『真ん中の部屋』から、身元、死因不明の人骨が見つかったことだろう。

 後に、海斗君が長い間彩月先輩だと思って接していたその女性は彩月先輩型機械人形であったことが判明している。

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