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★児童・生徒指導77★生徒指導提要から考える その23(生徒指導体制 その2)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

今回も「第 3 章 チーム学校による生徒指導体制」の中の「3.2 生徒指導体制」に焦点を当てていきます。

前回も引用した通り、生徒指導提要では、生徒指導主事の役割として以下のように述べられています。

①校務分掌上の生徒指導の組織の中心として位置付けられ、学校における生
 徒指導を組織的・計画的に運営していく責任を持つ。なお、教科指導全
 般や特別活動において、生徒指導の視点を生かしたカリキュラム開発を
 進めていくことも重要な役割で ある。
②生徒指導を計画的・継続的に推進するため、校務の連絡・調整を図る。
③生徒指導に関する専門的事項の担当者になるとともに、生徒指導部の構成
 員や学級・ホームルーム担任、その他の関係する教職員に対して指導・
 助言を行う。
④必要に応じて児童生徒や保護者、関係機関等に働きかけ、問題解決に当た
 る。

文部科学省「生徒指導提要」P74

そして、私の考え方としては、生徒指導主事の役割を大きく2つに分けると、上記の引用部分の①②にあたる「事務・調整的役割」と、③④にあたる「対応的役割」(ここでの「対応」というのは、教師が児童生徒、保護者と対しながら実際に行われる場面の指導や支援等を想起しているため、生徒指導の分類の「困難課題対応的生徒指導」のことを、また、それのみを指しているわけではありません。)になるのではないかと思っています。

さて、生徒指導主事の「事務・調整的役割」では、教職員間の共通認識や共通の方向性理解のために、先生方ひとりひとりの意見や疑問、困り感を把握したり、すり合わせたりしていくことが大切であることを述べました。

生徒指導主事の「対応的役割」としては、③にあたるように、まず教職員に対して指導・助言を行うものがあると思います。生徒指導主事の知見から、あらゆる場面における児童生徒への対応の仕方などについて、指導・助言をしたり、意見を述べたりすることがあると思いますが、ここで大事になるのは、生徒指導主事の知識・経験もひとつの例でしかないことを失念しないことであると思います。それぞれの教員が対しているのは、ほかに2人といることのない子どもや保護者であり、生徒指導主事の知識・経験がそのまま当てはまることはありません。対応を考える上での参考として共に考えるスタンスでいる必要があると思います。

また、多くの場合は学校内の校務分掌として位置付けなければならない立場として、ひとりの先生を「生徒指導主事」等の立場に位置付けられる場合が多いのではないでしょうか。(もちろん、知識や技術を身に付け、確かな力をもち、活躍される生徒指導主事の方もいるとは思います)つまり、生徒指導主事であっても、いち教員であることは変わらず、担任をしてきた回数や子どもたちと触れ合って培ってきた経験の量などは、ほかの先生方となんら変わるものではありません。生徒指導主事という立場につく者として、学び続ける姿勢をもち続けるべきであるし、ほかの先生方の学級経営方針などの考えを尊重して共に考えるスタンスで在ることは重要なことであると思います。

生徒指導主事は、学校内の生徒指導に係る重要な役割を担うポジションではありますが、場合によっては生徒指導主事ひとりで問題を解決できるわけではありませんし、全ての子どもたちの自己指導能力の育成のためには、全教職員で働きかけていくことが必要になります。それらのことを意識して役割を遂行していくことが、生徒指導主事には必要であると考えています。


ここまでお読みいただきありがとうございました。