★児童・生徒指導76★生徒指導提要から考える その22(生徒指導体制)
今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。
今回からは「第 3 章 チーム学校による生徒指導体制」の内容を読み、考えていきたいと思います。今日はその中の「3.2 生徒指導体制」に焦点を当てていきます。
生徒指導提要では、生徒指導主事の役割として以下のように述べられています。
私の考え方としては、生徒指導主事の役割を大きく2つに分けると、「事務・調整的役割」と「対応的役割」になるのではないかと思っています。
「事務・調整的役割」は、上記の引用で言うと①と②であり、「対応的役割」は、③と④になるイメージです。(ちなみに、ここでの「対応」というのは、教師が児童生徒、保護者と対しながら実際に行われる場面の指導や支援等を想起しているため、生徒指導の分類の「困難課題対応的生徒指導」のことを、また、それのみを指しているわけではありません。)
生徒指導が学校全体で、あらゆる教育活動を通して行われるものであることを考慮すると、教職員の共通意識が何より重要です。「何を課題と捉えるのか」「どのような指導や対応を行うのか」「その子どもの特性をどう捉えるのか」など、生徒指導を実際に行っていく上で共通して認識しておかなければならないことは多々あります。
そのために、教職員の共通認識や共通の方向性理解などのために、連絡や調整、打合せの場での確認・意見聴取などを行うことが大切だと思います。そこにおいても、生徒指導主事からトップダウンで(行われる場合もあるとは思いますが)行うのではなく、各教員の考えや疑問を聴きながら、ある程度ひとつの共通のものにしていくことが大切です。生徒指導は最終的には、子どもや保護者に向かって、直接的なやり取りを通して行われることになります。そのときに、教師に疑問や迷いが生じて行われる指導や支援は、児童生徒や保護者にマイナスの影響を及ぼすことがあります。例えば、「あの先生はどうも言っていることから本気さが感じられない」「先生は本心では思っていないことをわたしたちに話しているような感じがする」などのように、教師からの働きかけの受け手が感じる、微妙な違和感は生徒指導においては大きな問題点になり得ると思うのです。
そのようなことを防ぐためにも、教職員の共通認識や共通の方向性理解はできる限り充実させ、ひとりひとりの教員が自信をもって指導や支援を行うことができるようにしなければなりません。打合せ等の時間を多くとるというようなことだけではなく、生徒指導主事は日頃から教職員の考えや疑問、悩み・困り感を把握できるような働きかけが重要になってくると思っています。
私自身、生徒指導主事の立場を経験し、生徒指導主事は学校の中で非常に重要であるとともに、非常に難しい立場であると思います。浅薄な知識・経験による考えにはなりますが、次回も生徒指導主事の役割について考えをまとめていきたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。