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★児童・生徒指導73★生徒指導提要から考える その21(チーム学校における学校組織)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

今回からは「第 3 章 チーム学校による生徒指導体制」の内容を読み、考えていきたいと思います。今日はその中の「3.1 チーム学校における学校組織」に焦点を当てていきます。

平成 27 年12 月の中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善 方策について」においては、チームとしての学校が求められる背景・学校の在り方・具体的な改善方策について述べられました。

生徒指導提要では、チーム学校を実現するための視点として、以下の4つが示されています。

第一に、「教員が教育に関する専門性を共通の基盤として持ちつつ、それぞれ独自の得意分野を生かし」チームとして機能すると同時に、「心理や福祉等の専門スタッフを学校の教育活動の中に位置付け」、教員と専門スタッフとの連携・協働の体制を充実させることです。
第二に、「『チームとしての学校』が機能するためには、校長のリーダーシップが必要であり、学校のマネジメント機能をこれまで以上に強化していくこと」が求められています。(省略)
第三に、「教職員がそれぞれの力を発揮し、伸ばしていくことができるようにするためには、人材育成の充実や業務改善の取組を進めることが重要」であり、教職員の専門性を高め、それを発揮するための環境を整備することが求められます。(省略)
以上の三つの視点に加え、「チーム学校」が機能するための第四の視点として、教職員間に「同僚性」(→ 1.4.1 教職員集団の同僚性)を形成することが挙げられます。(省略)

文部科学省「生徒指導提要」P70・71

さらに具体的な、学校関係者に求められる姿勢として、以下の4つについても述べられています。

① 一人で抱え込まない  
② どんなことでも問題を全体に投げかける
③ 管理職を中心に、ミドルリーダーが機能するネットワークをつくる
④ 同僚間での継続的な振り返り(リフレクション)を大切にする

文部科学省「生徒指導提要」P71・72

校長を中心としたマネジメントや体制の構築・充実が必要であることに加え、教職員ひとりひとりの意識の改革も非常に重要であると思います。簡潔に言うなら「風通しのよい教職員関係」をつくるということになると思いますが、それを実現していくためにも大切な視点があると思います。

一つ目に、教職員ひとりひとりが自分の意見や思っていることを周囲に発信することができる場面がどれほど設定されているかということがあります。打合せの機会なども設定されていることと思いますが、働き方改革の視点から、回数や時間を少なくしているということもあるかもしれません。もちろん、その視点も大切ではありますが、それによって教職員間の連携が取りにくくなり、子どもたちに望ましい支援や指導ができなくなってしまっては問題があります。短時間であっても、少ない回数であっても、教職員が考えていること、疑問、悩み等を共有し合える場が設定されていることは大切なことであると思います。これは、教職員全体でなくても学年や高学年ブロックなどのまとまり単位でも可能であると思いますし、学年で出た意見等を学年主任が(または輪番制などにして担当者が)持ち寄るなどの方法もあると思います。また、共有したい事案がある教職員がいる場合にのみ打合せ等の時間を設定するということも可能であると思います。

上記は、教職員全体に関わる共有の機会の必要性についてですが、学校内のまとまりの単位として、「学年」は連携・協力することがより求められるものですので、学年の中でも同様に、考えや疑問、悩み等を共有できるようにすることが大切であると思います。

二つ目に、ひとりひとりの教職員の意見を自分事として捉える意識の醸成があると思います。先に述べたような、共有の機会をいくらかたちの上で設定したところで、その場で発言・発信できなければ何の意味もありません。ほかの教職員に気を遣ったり、遠慮したりしてしまうことで、自分の思いを伝えることができないという経験がある方も多くいるのではないでしょうか。自分もそのような意識が強く、「このことを相談するのは恥ずかしい」「叱られるのではないか、迷惑をかけるのではないか」ということを気にして頭にひっかかっていることを伝えられないこともありました。そのような中で、いくら打合せをの機会のみを設定しても本質的な意味はなく、ただ時間だけが浪費されることにもなってしまいかねません。本質的に最も大事なことは、教職員ひとりひとりが、ほかの先生の意見や悩み等も、学校に携わる者として自分事として捉える意識改革であると思います。そのためには、まず、発言・発信できる人が、自己のことを伝えていくことから雰囲気は変わっていくのではないでしょうか。若手でもベテランでも、管理職でも、大なり小なり疑問や悩みを抱えながら日々の職務を遂行していると思います。そのような思いひとつひとつが価値のあるものとして取り上げ、「このことについて声を上げることが、だれかを助けることにつながる」と思って、発言・発信する。そして、もし自分の発言・発信に対してリフレクションしてくれた教職員がいたら、その後も途中経過や結果等を伝え、感謝の気持ちをもって接する。それの積み重ねによって、「風通しのよい教職員関係」はできていくのではないでしょうか。

また、このようなことは、先生方が各学級においては子どもたちによく伝えていることの一つでもあると思います。「助け合うこと」「困ったことがあったら言うこと」「困っている人を見つけたら、手を差し伸べること」など。学校というまとまりで見たときには、教職員にもこれらの考え方を当てはめ、意識していく必要があると考えています。


ここまでお読みいただきありがとうございました。