短編小説6

ここにプリンがある。
私はこのプリンを食べていいのか。
このプリンを食べたらなくなる。まるで戦争と同じだ。目先の利益だけ求めて、その後のことを何にも考えてない。
私はそこまで馬鹿ではない。
目先の利益だけを求めて、プリンを失うのは愚か者がやることだ。
そもそもプリンは美味しいのだろうか。
私がプリンを最後に食べたのはいつだったか記憶にない。
どんな味をしていたのかも記憶にない。
茶碗蒸しみたいな見た目をしてるから、茶碗蒸しに似た食べ物かもしれない。
しかし、茶碗蒸しではないと考えられる。
なぜなら底には茶色いゼリー状の何かがあるからだ。
これはなんなんだ。
見るからに怪しい。
底にあるというのが怪しい。
底だとバレにくいということで、ここにこのゼリー状の何かを置いたのではないか。
そう考えると、この茶色い何かは毒か何かではないか。
いや、もし毒を盛るとしたら、プリンの中身に毒を盛るはずだ。こんな見え見えのところに盛るはずがない。
では一体これは何なんだ。
そもそもこれは食べ物なのだろうか。もしかして、誰かが買ってきた現代アートなのかもしれない。
いや、待てよ。
さっきの茶色いのと考えると、これは食べ物に違いない。
私はこんな言葉を聞いたことがある。
「味変」と言う言葉だ。
このプリンを食べ物と仮定すると、黄色い部分だけを食べる食べ方と茶色いゼリー状の部分だけを食べる食べた方と両方一緒に食べる食べ方ができる。
まるで牛あいがけカレーに似た物を感じる。
この茶色いのは味に飽きないための工夫ではないか。
そう考えると、これは食べ物に違いない。
それでは、私はこれを食べるべきなのだろうか。
人間が食べ物を食べる理由から考察してみよう。
栄養を取るだったり、一緒に食べることでコミュニケーションを取ったり、味を楽しむと言った理由であろうか。
栄養を取るためだったらサプリメントで構わないし、私は一人で食べているからコミュニケーションを取る役割は担っていない。それでは私はこのプリンを味を楽しむだけに食べるのか。
それだけのために食べるのはプリンを作った人に申し訳ない。
プリンを作った人は人々に栄養を十分に補給し、プリンを通してコミュニケーションを取ってもらい、味を心から楽しんでもらうために作ったのだろう。
この点から考えると私はこれを食べるべきではない。
今すぐアフリカの子供達にあげるべきだ。

男のプリンは腐っていた。

この記事が参加している募集

#ホラー小説が好き

1,085件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?