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『パリでメシを食う。』川内有緒著:追い求めるのをやめずに動き続けること

『パリでメシを食う。』というタイトルから、「フランスでグルメ巡りをするエッセイかな?」と思ったら、全然違う。

本書は、パリにある国際機関で働きながら、パリにいる日本人を訪ね歩き、話をし、その人生を紡いだ、著者初の本だ。

アーティスト、職人、経営者、国連職員、料理人など、していることはさまざまで、どれも憧れるような職業かもしれない。しかし著者が語っているように、「参考にならない」話ばかりだ。

「参考にならない」とは、「誰にでもまねできるものではない」ということ。登場するどの人の歩み方も唯一無二で、本書はハウツー本とは真逆と言えるだろう。

しかしその分、著者は一人一人の人生の根幹にある譲れない信念のようなものを探り、描き出そうとしている。

そこからは、諦めるのはもったいない、夢は実現するものなのに、やってみればできるかもしれないのに、といったメッセージが示されている。上から目線のアドバイスではなく、その考えを実践してきた人の実感がこもった言葉として。

こういう本は怖い。今一度、突っ走って、突き進んでみたい、という気持ちをかき立てるから。それを行動に移すかどうかは、自分でもまだわからない。移さないのならそれも自分が選んだ人生だし、生活を劇的に変えるのではなく、日々の積み重ねで何か変化を起こすことも行動に含まれるのかもしれない。


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