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ClafT 中央線芸術祭2021:トークイベント「アートと市民・アートとからだ」:経済システムに組み込まれない身体

「中央線芸術祭2021」のトークイベント。テーマは「アートと市民・アートとからだ」。

登壇者:
三浦宏之(ClafT フェスティバルディレクター。実演家)
砂連尾理(振付家・ダンサー、立教大学 現代心理学部 映像身体学科 特任教授)
呉宮百合香(ファシリテーター。「TOKYO REAL UNDERGROUND」事務局長、NPO法人ダンスアーカイブ構想「デジタルダンスアーカイブ」コーディネーター。舞踊学・現代舞台芸術研究)

日時:2021年10月16日(土)16時〜18時
※実質1時間半程度だった。

会場:武蔵小金井 KOGANEI ART SPOT シャトー 2F
(三浦宏之エキシビションプログラム会場)

料金:500円(要予約)

以下、内容の一部メモ(敬称略)。

コロナ禍以降、経済システム外の芸術を考える

【三浦】ダンサー、振付家と名乗らない。美術表現として自身の身体を提示していく。
何をもって振付なのかも、ダンスの多様化によって曖昧になっている。

【三浦】コロナ禍でどう生きていこう?→ボランティアをしよう。ダンスの興行。経済システムとは別のものとして。
その答え(の一つ)が芸術祭(のディレクター)。入場料を取って、参加アーティストに分配する。
ボランティアスタッフと一緒にボランティアについて考える。

【三浦】民芸のような作品づくりをしたい。

【砂連尾】三浦さんは優しい。
三浦さんは、自分のダンスを追求していたのが、地域に開いていく、市民活動に向かっていく。

【三浦】コロナ禍で、生き方、環境、サステナビリティーを一人ずつが考えれば、変わっていく。

【砂連尾】2000〜2005年に明治安田生命が障害者の芸術活動に助成金を出していて、たまたま関わった。
学生時代に受験戦争から逃れたかった。自分の身体を実感したい。
ドラマなどからの西洋への憧れとコンプレックスが醸成されたこともあって、ダンスへ。
助成金を得るために毎年新作をつくる生活に疲れていたときに、障害者とのダンス活動に出会う。
福祉の道に行くんだね、と言われたが、そういうことではなく。

【砂連尾】アート界もそれ以外も歯車の中で働いている。
経済に巻き込まれない身体性を維持したい。
劇場で、必要なフィクションを得られなくなっている。

【三浦】助成金のカテゴリー分けが、芸術ジャンルの分断につながっているところもあるのでは。

【三浦】分断をつなげる。ダンスと福祉もそう。言葉も人とつながるためにある。

【砂連尾】妊婦さんや分身ロボットで活動する人と関わる。妊婦さんのおなかの中にいる人は、そこにいて、でもまだここにはいない。
子どもに地域の人がいろいろなダンスを伝えるプロジェクト。身体の交流ができる場。

【三浦】砂連尾さんはシャーマン。
【砂連尾】でもそういうカテゴリーから逃れたいんだよね。

【砂連尾】踊るだけがダンスではない。粘土をこねる、詩を作るのもダンス。

【三浦】街にダンスを根付かせる。

芸術をするにはお金が必要だが、芸術関係者は貧しいという矛盾

参加者の方が、「高齢者でも、寝たきりでも、誰もが『自分はダンサー』と思えたらいいと思う」とおっしゃっていたのがすてきだった。

私はもっとずっと俗っぽい(現実的な)ことを考えてしまっていた。経済システムに身体を組み込まれたくはないが、普通に東京で暮らす(完全自給自足とかではなく買い物とかをする暮らし)ならお金は必要。芸術関連の仕事はごく一部を除いて低賃金なので、芸術に携わってお金がないと、芸術を享受すらできない(鑑賞するにも、無料のものもあるが、お金がかかる。交通費もかかるし)。この矛盾。経済システムからは日々逃れられない。

でも、「貧しいからから芸術とか言ってられないんだよ。そんな余裕ない。食べていくので精いっぱい」という気持ちはより理解できるようになるかもしれない。それで、社会のシステムがおかしいというところに戻り、かといって政治活動を真正面からするのではなく、芸術で立ち向かっていく(?)みたいな話が、このトークイベントの内容とつながるのかどうか。

「芸術をするにはお金が必要だが、芸術関係者は貧しいという矛盾」と書いたが、むしろだからこそ貧しいのか?とはいえ、「芸術で儲けるには?」みたいなことだけ追及してしまうと、「儲けられる芸術をやる」ことになってしまいそうだし。でも、芸術は芸術として追及することが必要だが、儲ける仕組みをつくるのは大事だよね。うーむ。

「ClafT 中央線芸術祭2021」開催情報

開催日:2021年10月9日~31日

時間:プログラムにより異なる。

会場:プログラムにより異なる。

料金:
ClafTフリーパスチケット一般1000円、小中学生500円、未就学児無料。
1dayパスチケット500 円(プログラム各会場で当日受付でのみ販売、購入日当日のみ有効)。
ほか、ワークショップ、パフォーマンスなど。


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