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「村田沙耶香のユートピア "正常"の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」GYRE GALLERY

表参道駅や明治神宮前(原宿)駅から徒歩数分にあるギャラリーGYRE(MoMA Design Storeが入っている建物内)で開催された展示。

芥川賞作家である村田沙耶香の小説『コンビニ人間』『消滅世界』『生命式』をテーマに、村田自身が学生時代に創作した絵などや、小説の創作ノートや資料、およびアーティストのデヴィッド・シュリグリーと金氏徹平の作品を展示する。

3つくらいの区画があり、ギャラリーとしては広めか。

壁には村田の小説からの引用が壁と同じ白色で大きく掲示され、壁に少し盛り上がって描かれた穴とそこから突出してくる物体が描かれている。

骨のようなモチーフのある立体物や、器に入った牛乳のような液体を思わせる立体物もある。

村田の小説の英訳からの引用だろうか、英語の短い言葉が描かれ、人物や物が単純な面と色で描かれた絵画がたくさん並ぶ。

モニターに映し出された、金氏の2009年の映像作品「tower (MOVIE)」が面白くて、ずっと見ていられそう。三角屋根の縦に長い建物に穴や窓があり、手が出てきて毬をついていたり、液体がどろどろ出てきたり。建物自体は無機的だが、うにょうにょとした感触が画面から伝わってくるようで、有機物、生物みたい。

『コンビニ人間』はまだ読んでいないのだが、村田の小説に通底する、無邪気そうなのに体の交わりから生じる体液を思わせるような、有機的な機械のような不気味さといとおしさを感じる展示だった。

ギャラリーのサイトに載っている村田と金氏のインタビュー動画によると、村田は子どもの頃から絵を描くのも好きなのだという。

文学×アートの企画展示、興味深かった。

https://gyre-omotesando.com/artandgallery/sayaka-murata/


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