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太宰治のことば

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太宰作品の好きな言葉たち
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金曜日に決意、決戦の月曜日『風の便り』

金曜日に決意、決戦の月曜日『風の便り』

君に今、一応ばん欠けているものは、
学問でもなければお金でもない。
勇気です。

『風の便り』太宰治

告白の勇気について、書かれている作品。
太宰って本当に魅力的で、外見的な足らずじゃなくて
誰でも持つことができるものを教えてくれる。
優しさみたいなものを感じる。

ついにやめるという話をする日が週明けやってくる。
長くいればいるほど、恩があって、感謝したい想いが
とにかく溢れてくるけれど、勇気

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季節の変わり目『ア、秋』

季節の変わり目『ア、秋』

秋ハ夏ノ焼ケ残リサ。

『ア、秋』太宰治

カエルの鳴き声や蝉の鳴き声がしない。
少しずつ夏はどこかに過ぎ去っていって
秋の季節がどんどん忍び寄ってくる。

昔から疑問に思っていることがある。
二十四節気のように暦では春夏秋冬は存在するけれど
体感する季節はいつのまにか、春から夏に夏から秋に
秋から冬になってまた春が来る。
どの日が変わり目なのかわからないけれど
ゆるやかに季節が移り変わっていく。

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ルーツをたどる『津軽』

ルーツをたどる『津軽』

或るとしの春、私は、生れてはじめて本州北端、津軽半島を凡そ三週間ほどかかつて一周したのであるが、それは、私の三十幾年の生涯に於いて、かなり重要な事件の一つであつた。

『津軽』太宰治

3週間。
人生の中で、旅に3週間かけられることって
どのくらいあるんだろうか。

私が旅に出るのは自分探しではなくて
また生きていくために、本当の自分になれる場所
想いを馳せる場所を訪れたいから。

『津軽』を持っ

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故郷

故郷

――もっともっと故郷を見たかった。あれも、これも、見たいものがたくさん、たくさんあったのである。けれども私は、故郷を、チラと盗み見ただけであった。再び故郷の山河を見ることの出来るのはいつであろうか。

『故郷』太宰治

二度と帰ることがないと思って、一人暮らしを始めた。
帰ってくる時は胸が躍って、行くときには電車で泣いた。

そんなに好きな場所なら捨てなければ良いのに。
残る選択をすれば良かったの

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刹那『火の鳥』

刹那『火の鳥』

よろこびも、信仰も、感謝も、苦悩も、狂乱も、憎悪も、愛撫も、みんな刹那だ。その場限りだ。

『火の鳥』太宰治

つまらない時、一番近くにいてくれた
先輩だけど友達のように仲良くしてくれて
わからないことはわからないって年下にも言ってくれる
大好きな人が仕事を辞めることになり、私も転勤になり
最後に食事に行ってきた。

人生の中ではずっと同じことが続くと思っていても
そうではなかった。と言うことの方

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明日も笑う『一日の労苦』

明日も笑う『一日の労苦』

私は、自身の若さに気づいた。それに気づいたときには、私はひとりで涙を流して大笑いした。

『一日の労苦』太宰治

二十近く歳が離れてる上司とご飯にいって
いろんな話をする中で、後悔したくないから
私はやっぱり仕事をやめようと思った。

足枷になるものなんてひとつもなくて
いつどこに行くのか、何をしたいのか思いついた時に
選んだことを咎められることもない。

たったの26年生きただけ。
でも,明日死

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結局は、好きには敵わない『女生徒』

結局は、好きには敵わない『女生徒』

理窟はないんだ。
女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う

『女生徒』太宰治

好きな人には、なんだってしたい。
毎日つまらないなんてことがないように
楽しいこと嬉しいことで満ち溢れるように
悲しいことは全部拭い去りたい。

そのためにどれだけの労力を使ってもいいから
幸せに暮らしていてほしいという「エゴ」は
ただ、好きだという感情によるものだ。

でも、その好きがある日プツンと切れ

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アラサー独身女を虜にする物語『二十世紀旗手』

アラサー独身女を虜にする物語『二十世紀旗手』

私の欲していたもの、全世界ではなかった。
百年の名声でもなかった。
タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、
チサの葉いちまいのなぐさめが欲しくて、
一生を棒に振った。

『二十世紀旗手』太宰治

再びハマっている愛の不時着。
このドラマを観ると思い出す言葉。

「一生を棒に振」るということはなかったけれど
どんなものよりも手に入れたかったのは
心だった。みたいなところがなんだか思い出される。

愛の不

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うっせぇわ精神『一問一答』

うっせぇわ精神『一問一答』

人間は、正直でなければならない、と最近つくづく感じます。

ごまかそうとするから、生活がむずかしく、ややこしくなるのです。正直に言い、正直に進んで行くと、生活は実に簡単になります。失敗という事が無いのです。失敗というのは、ごまかそうとして、ごまかし切れなかった場合の事を言うのです。

『一問一答」太宰治

好きも嫌いも言語化できる方がいい。

楽しいんだか辛いんだか悲しいんだか嬉しいんだか
感情

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強かに生きる『きりぎりす』

強かに生きる『きりぎりす』

この世では、きっと、あなたが正しくて、私こそ間違っているのだろうとも思いますが、私には、どこが、どんなに間違っているのか、どうしても、わかりません。

『きりぎりす』太宰治

これだけの自信が持てるものが欲しい。
きりぎりすに出てくる妻はおっとりした女じゃない。
彼女ほど自分の意思を持ってる人はいない。

私はこの妻のような女になりたい。
良いものを全世界が否定しても、信じようとする心。

信じた

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人生は決断の連続②『ハムレット』

人生は決断の連続②『ハムレット』

何かいい事があるかと、いつまでも宴席に愚図愚図とどまっているような決断の乏しい男では、立身出世の望みが全くないね。

『ハムレット』太宰治

転職活動を始めて、リクルーターさんを使うようになって
やっぱりウエディングとリクルーターは似てるから
同じ仕事に移行する人も多いんだなと納得。

どちらにせよ、人生の大きな出来事に対しての
「決断」に関わる機会がある。
その仕事に対しての責任とか、それだけで

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なつのおもいで『ア、秋』

なつのおもいで『ア、秋』

夏の中に、秋がこっそり隠れて、
もはや来ているのであるが、人は、炎熱にだまされて、
それを見破ることが出来ぬ。

『ア、秋』太宰治

海辺のさんぽ。
綺麗な海に1匹のトンボ。

トンボが飛ぶのをみていると、ア、秋を思い出す。
いろんなところに「秋がこっそり隠れて」というように
至る所にすでに秋が近づいてきている。

田舎の夏は蝉の音も、鈴虫の音も聞こえる。
冷房をつけなくても涼しい風。

コロナに

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桜桃忌『六月十九日』

桜桃忌『六月十九日』

『なんの用意も無しにnoteにむかった。
こういうのを本当の随筆というのかも知れない。
きょうは、六月十九日である。曇天である。』

『六月十九日』の中で

なんだか、がっかりした。
自分の平凡な身の上が不満であった。

平凡ではなかった。決して平凡ではなく
凡人でもなく、ただ「人間」のために生きた。

この日が来るたびに救われた。
お墓の前に行って、その時読みたい1冊を開く。

迷って、悩んで走

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どうでもいい。『女の決闘』

どうでもいい。『女の決闘』

あいつは邪魔だ! 賢夫人だ。賢夫人のままで死なせてやれ。ああ、もうどうでもいい。私の知ったことか。せいぜい華やかにやるがいい、と今は全く道義を越えて、目前の異様な戦慄の光景をむさぼるように見つめていました。
『女の決闘』太宰治

昔からこれがやりたい!
こんなことしてたい!って突っ走ってきたけど
急になんかどうでも良くなって
なんでもいいや。ってなるこの虚しさはなんだろう。

楽しく生きたい。

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