黄金を巡る冒険⑦|小説に挑む#7
黄金を巡る冒険①↓(読んでいない人はこちらから
間もなくして老人のためのバスが来た。
それは月が無い寂しい夜のことだった。
彼女が僕に電話を掛けてきてから、だいたい一ヶ月が経った。
今日は新月だった。彼女から電話が掛かってきたときも、今日と同じで衛星が暗闇に紛れていた。
その日、僕は珍しく夜に家を出た。冷えた暗い夜だった。
月光の寵愛が無い世界はどこか不気味な雰囲気があった。
遠い昔、新月は不吉の象徴とされていた。
電気が見つかっていない時代、闇夜を照らす光が無いこと