黄金をめぐる冒険⑫|小説に挑む#12
黄金を巡る冒険①↓(読んでいない人はこちらから)
ある詩人が地獄について語った詩がある。
地獄よりいずる二つのものがいる。
風を司るものと雷を司るものである。
一つは春の導きとなり、一つは海と空への祈りと化す。
地獄により黙示と再生が行われる。
地獄は闇をつくるものでもあり、それを照らすものでもある。
孤独による自閉は繋がりを求めた結果である。
空間の隔絶は孤独を助長させる。
光さえも隔絶された空間を、暗闇と呼ぶ。
完全な暗闇では認識さえも尊いものとなり、
万物の事象の内面をさらけ出す。
剥き出しになった果実の灯火。
集まる意識たちが踊りだす外の意思。
いずる二つのものが見守る中、
地獄は鴉に狡猾さを与え、案山子には口を与え、人には友情を与えた。
地獄よりいずる二つのものがいた。
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