見出し画像

黄金をめぐる冒険⑫|小説に挑む#12

黄金を巡る冒険①↓(読んでいない人はこちらから)

ある詩人が地獄について語ったうたがある。

地獄よりいずる二つのものがいる。
風を司るものと雷を司るものである。
一つは春の導きとなり、一つは海と空への祈りと化す。

地獄により黙示と再生が行われる。
地獄は闇をつくるものでもあり、それを照らすものでもある。

孤独による自閉は繋がりを求めた結果である。
空間の隔絶は孤独を助長させる。

光さえも隔絶された空間を、暗闇と呼ぶ。
完全な暗闇では認識さえも尊いものとなり、
万物の事象の内面をさらけ出す。

剥き出しになった果実の灯火ともしび
集まる意識たちが踊りだす外の意思。

いずる二つのものが見守る中、
地獄はカラスに狡猾さを与え、案山子カカシには口を与え、人には友情を与えた。

地獄よりいずる二つのものがいた。

第十二部(完)

二〇二四年五月
Mr.羊
#連載小説
#長編小説
#創作大賞に向けて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?