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創作大賞2024 応募作|黄金をめぐる冒険(連載小説)

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SFと純文学の間のような小説を目指してます。
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記事一覧

創作大賞2024 | 黄金を巡る冒険①

晴れた日の午後だった。『炒飯』から連絡が来た。 「お久しぶりでございます。急なご連絡とな…

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【最終話】創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊴

黄金を巡る冒険① 僕の手の中には一冊の本がある。 それは図書館の最後の一冊であり、多くの…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊳

黄金を巡る冒険① 一匹の鳥が僕たちの前に止まった。 「あの方がお待ちしております。どうか…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊲

黄金を巡る冒険① 記憶の中の彼女は幼い。 彼女は僕の家の近所に住んでいて、彼女の両親は仕…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊱

黄金を巡る冒険① 「九合目」には小さな白木の鳥居があった。 ”座標”から、それは”九合鳥…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉟

黄金を巡る冒険① ざっざっざっ、かつんかつんかつん。 僕たちはひたむきに走った。 ざっざっ…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉞

黄金を巡る冒険① 今の僕にはたくさんの仲間がいる。 案山子くん、”孤独”、短白髪の管理人。そして僕は無事に彼女を取り戻した。図書館にある全ての本を読み、未知の言語を理解して。 図書館の外で物凄い音が鳴った。建物が崩れ落ちるような瓦解音が図書館の内部に反響する。彼女はその轟音に驚き、涙を拭って顔を外に向けた。彼女の横顔が僕の目に映る。彼女の生命力に満ちた純白の横顔は、やはり綺麗だった。 「何かしら、凄い音がしたけど……」 彼女の空気を伝う音が僕の耳に届く。彼女の洗練された

創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉝

黄金を巡る冒険① 知っている言葉と知らない言葉。 残っている感覚と消え去った感覚。 覚えて…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉜

黄金を巡る冒険① それからの一カ月はたんまりと本を読む生活が待っていた。 毎日、十四時間…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉛

黄金を巡る冒険① 近くで見ると図書館は城というより教会のような外観に近い。 その正面は西…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉚

黄金を巡る冒険① 「八合目」につくと、そこは街になっていた。 すっかりと”闇”は明け、万…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉙

黄金を巡る冒険① 霧雨に近い微小な雨粒が僕の体に滲んでいく。 水を含む服が体に纏わりつく…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉘

黄金を巡る冒険① かつん、かつん、かつん。 案山子が後ろから付いてくる。 僕は固い岩場の…

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創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉗

黄金を巡る冒険① 僕はいま”闇”に足を踏み入れている。 曲がりくねった闇の中をざくざくと歩く。視界は全く機能してしないが確かな足取りである。 七合目を出てから長らく歩いた気がする。僕が進んだ、または進む道には二つの音だけが存在していた。一つは僕が砂道を踏み鳴らす音。それはとても単調で、一定の間隔と音調を持って真っ暗な空気を伝っていた。もう一つは僕が息を吸って吐く音。踏み鳴らす音とは違って雑なテンポと荒々しい調子で、それは僕の内部で一つ一つ反射した。 ザクザク、ゼェゼェ