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映画 死ぬまでにしたい10のこと

My life without me

まずはじめに、英語のタイトルが全然違うので不思議に思いましたが、直訳すると

"私のいない人生"って確かに何のこっちゃって感じですね。英語でこそグッとくるタイトルというか…

死ぬまでにしたい10のこと

という1シーンを切り取ったやや強めなタイトルが日本語では、なんだかしっくりきますね。

スペイン出身のイザベル・コイシェ監督・脚本。ナンシー・キンケイドの短編を原作とする。プロデューサーはペドロ・アルモドバル他。


 アン23歳。彼女は夫のドンと幼い二児と一緒に暮らしている。

夫のドンとはニルヴァーナのファイナルコンサートで知り合った。(素敵)

娘はペニー6歳とパッツィー4歳(まじで可愛すぎ)

ある日、アンは腹痛で倒れ病院に搬送され、癌で余命2〜3ヶ月だと医師から宣告される。

"I"や"ME"というセリフの部分が"YOU"と置き換えられています。とてもジェネラルに、そしてまるで私たちに訴えかけてくるように聴こえてきます。あと2、3ヶ月で死ぬと言われたら私なら何をするだろうか?

死ぬほど寿司とショートケーキ食べまくるかな?

でもアンは違いました。私なんかとは全くもって違いました。比にも値しませんでした。

アンはカフェに入り死ぬまでにしたい10のことをパステルピンクのメモ帳に書き出す。(ちなみにこのシーンでここのところ最も号泣しました。)

ウェイトレスにペンを借りて、アンは10のことをこう書き出しました。

1. Tell my daughters I love them several times a day / 一日に何度も娘たちに愛していると伝える。

2. Find bon a new wife who the girls like / 娘たちが気に入る新しいママを見つける

3. Record birthday messages for the girls for every year until they’re 18 / 娘たちが18歳になるまで、毎年、誕生日のメッセージを録音する


4. Go to whalebay beach together and have a big picnic / 家族でホエールベイ・ビーチに行く


5. Smoke and drink as much as I want / 好きなだけたばことお酒を楽しむ

6. Say what I’m thinking / 思っていること話す


7. Make love with other men to see what it is like / 夫以外の人と付き合ってどんなものか確かめる


8. Make someone fall in love with me  / 誰かを夢中にさせる


9. Go and see dad in jail / 刑務所のパパに会う


10.Get some else nails.(and do something with my hair) / 爪とヘアスタイルを変える

このノート、とても誤字脱字が多いのです。でもこれ監督の演出なのでしょうね。細かいけど本当に死ぬって思って書いたら到底きれいになんて書けません。

ノートに書き出したTO DOをひとつづつ実行していくというストーリー。死は誰にでも訪れる。私はアンの人生が決して他人ごとのようには思えません。とても切ないけれど誰しもが自分だけのタイミングで、それは突然やってきます。もしもあなたの人生があと少しだけだと宣告されたらあなたならどうしますか?そんな風に語りかけてくる物語です。

そして嘘みたいだけれどアンは母にも夫にももちろん幼い二人の娘にも誰にも病気である事を絶対に告げません。それは自分と同じような辛い想いをして欲しくないから。アンはとても強くて優しいのです。いい女はとても強いのです。

だからアンはこの数ヶ月を一生分楽しみます。幼い娘への"I love you"それは、とてつもなく重い。夫は優しくとても愛されているけれど、妻であることを忘れ、女でありたいのです。人生最期の恋もします。そして今この瞬間に思っている事を相手に伝える。とてもシンプルだけど難しい。たとえば「ごめんね」という一言がすごく遠く感じてしまうとき、それは「死」というものをとても遠くに置いてしまっているからなのかもしれません。死ぬとわかっていれば誰にでも優しくできるはずなのになぁ。

ちなみに超個人的に笑ったシーンは、ペンを貸してくれたウェイトレスが「宝くじの用紙に記入したからそのペン使っていいわ」と粋な一言にアンが「当たったらどうするの?」と訪ね、ウェイトレスが「決まってるわ」とすごい笑顔でくしゃくしゃの写真を取り出し一言「整形するの」(まぁお金の使い方は人それぞれだよね)「シェール(アーティスト)そっくりになって、ソニーはどうした?ってみんなに言わせたいの」

"what do you think?" 

「どう思う?」とウェイトレスに対してのアンの返答が

"I think that really fucking stupid an idea"

「めちゃくちゃバカみないなアイディアだね。」

場が凍る…(私は爆笑)

"I'm just kidding. I think Cher's great"

「冗談よ。シェールは素敵だと思う」

(いや、フォローしきれてないよっていう感じがたまらなく好き。)

ネオンサインと赤のイスとくるくる回るショーケースがあるカフェとジンジャーキャンディーとキラキラビーズカーテンが好き。
ブレードまみれ(編み込み)のクレイジー美容師も好き。すごく優しいリーと恋するシーン



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