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【書店からライブ販売!?】本屋がない地域でもリアル書店で本が買える体験を

書店が1つもない自治体は全国のおよそ4分の1に。この減少する書店について、経済産業省が大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を設置。書店を地域文化の重要拠点と位置づけて、個性ある取り組みを後押しする方策を検討しているそうです。

ネット通販や電子書籍の普及などを受けて全国的に書店が減少し、書店や出版社などでつくる「出版文化産業振興財団」によりますと、書店が1つもない自治体は全国のおよそ4分の1にのぼっています。

経産省 地域の書店振興にプロジェクトチーム立ち上げへ|NHKニュース

こんにちは、LINE BOOKUOKAサークルです。
LINEヤフーコミュニケーションズの福岡拠点にいる元書店員メンバーが集まって、書店や図書館の盛り上げやデジタル化(DX)を推進しています。

「DX推進」といえば、電子書籍やAIなどを思い浮かべるかもしれませんが、デジタルでリアル書店や紙の本も盛り上がってほしいと思っています。

今回は、行政支援DXで実現できそうな企画「リアル書店の店頭商品をライブ販売する」を事例をもとに考えてみました。


書店が直面している問題

さまざまな問題や課題を抱えている書店業界ですが、一番の問題は「書店自体の減少」だと思います。
リアル書店が減る→リアル書店で本を買う機会が減る→さらにリアル書店が減るという負のスパイラルに陥っており、その下げ止まりがまだ見えていない状況です。

「書店」10年間で764社が倒産や廃業

全国の自治体およそ4分の1に書店が1つもない状況と言われていますが、書店を経営している会社自体が倒産や廃業しています。

書店の倒産(負債1,000万円以上)は、2014年から2023年の10年間で140社に及ぶ。

「書店」10年間で764社が倒産や廃業で消えた|東京商工リサーチ

書店店舗は10年で3割減少

2023年までの書店数は公表されていませんが、まだまだ減少の一途をたどっていると思われます。
また、2012年から2022年の10年間で約4800店ほど閉店し、営業を続けている店舗は1万2000店以下となっています。

日本出版インフラセンターによると、2012年に全国に1万6722店あった書店は22年には1万1952店と、10年間で約3割減少した。

書店、10年で3割減少 人口減やネット普及で|日本経済新聞

書店の新しい取り組み

リアル書店が減っていくなかで、店舗にとらわれない取り組みや、最先端技術を活用した企画なども生まれています。

たとえば、トラックなどに本を載せた移動書店や、本屋の売り場をバーチャル空間で再現したVR書店などがあります。

走る本屋さん「移動書店」

走る本屋さん「高久書店」公式ホームページ
ブックバスの「これまで」と「これから」|よりよい本の循環を目指して|VALUE BOOKS

見る本屋さん「VR書店」

「紀伊國屋書店バーチャル新宿本店」全館オープン!|紀伊國屋書店
VR・メタバース・AIでDX化された"未来の書店"を無料で体験できる「ダ・ヴィンチストア Next Stage "未来の書店"」|角川武蔵野ミュージアム

リアル書店の店頭商品をライブ販売

「本屋自体が来てくれる」「その場で本屋を見に行ける」その両方の特性を合わせたのが、ライブ販売です。

どうやってライブ販売するのか?

スマートグラスを用いて書店の売り場をリモートで配信します。
その配信された映像をユーザーが見て、実際の書店を見る疑似体験をしながら、欲しい本を買ってきてもらうという仕組みです。

  1. スマートグラスでとらえた目線に近い映像がウェブ会議システムで、購入希望者が集まった場所のモニターに映し出される

  2. 双方にマイクとスピーカーがあるため「もっと近くで見せて」など、購入者は要望を声で伝えたりコミュニケーションをとりながら品物を選ぶことができる

  3. 選んで購入した品物を購入者のところまで届ける

「ライブ販売」は実現可能か

まだ書店での事例がある企画ではありませんが、同じライブ販売の手法で生活用品を販売する小売業に対して官民連携のもと実証実験が行われました。

福岡県古賀市で、売り場の映像を見ながらリモートで買い物するという実験です。

顔にカメラやマイクを装着した人が商業施設や農産物直売所を訪れ、そこからリアルタイムで送られてくる映像を見ながら遠隔で買い物をする実証実験が2月、福岡県古賀市小野地区で始まる。

売り場の映像を見ながらリモートで買い物 古賀市で実証実験|福岡ふかぼりメディアささっとー

公共交通の便が良くない地域で暮らす高齢者などが、実際に売り場にいるような目線と会話で商品を選び、購入できるという支援策です。

スマートグラスを活用した買い物支援の流れ

まだ実用化に向けて課題がある支援策となっていますが、生活用品だけではなく、書店でも活用いただける施策だと思います。

また、実現させるための予算ですが、デジタル田園都市国家構想など、自治体のDX推進を後押しする行政支援があります。
デジタル田園都市国家構想が催しているDigi田(デジでん)甲子園2023で紹介されている事例ですが、熊本県大津市とソフトバンクが連携して、移動式のスマホ教室を開催しています。
デジタル化×過疎地域の支援×書店の活性化、そんな組み合わせに予算が使われることがあってもよさそうです。


経済産業省の書店振興プロジェクトチームが立ち上がり、具体的にどのような支援や企画が行われるのか、まだまだ議論中だと思いますが「書店からライブ販売」という新たな一手も地方創生を担えていけるのではないでしょうか。

また、書店さんたちは人々が本を買いに店へ立ち寄るきっかけを作るため、さまざまな取り組みを行っています。
その取り組みを支えたり、リアル書店の売上に貢献できるようなデジタル化(DX)を国や民間の垣根を超えて実現していきたいですね。

それではまた、よい本との出会いを。

editor: watanabe

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