高校生 6


高校生の頃、私はあれを愛と呼ばずに何を愛と呼ぶんだろう、という恋をした。

彼氏なんかもできたりするのかな、と浮き足立ってた時もあった。私みたいなブスに恋人ができたりするわけない、と思ってた時もあった。高校2年生の頃に仲良くしてくれた先輩を好きになった。RADWIMPSの「ふたりごと」の歌詞みたいに”同じところにあいてるピアス”なんかにドキドキしてた。「先輩後輩ってより友達みたいな存在」って振られた。こんな私だけどもいいなと思って連絡先を聞いてくれる人もいた。

そうして私が高校生活の間でお付き合いをしたのは1人だけだった。

バイトは禁止だったけどバイトをしていた。ラーメン屋で1年働いて、マクドナルドで1年半働いた。自分で言うけれども仕事ができないタイプでは無かったように思う。ちゃきちゃきしていて、人当たりも良い。責任感もある。仕事という土俵で評価されるのは学校という世界で評価されることの何倍も安易だった。勝手に任される仕事が増える。嫌では無かった。

マクドナルドのバイトに慣れた頃、近所の高校の1つ年下の男の子が入って来た。長身で、スマート。第一印象は覚えてないくらいには印象はない。でもすぐに仲良くなった。恋愛相談も聞いたし、家庭の相談も聞いた。距離が近くなるのに時間はかからなかった。そうして2012年9月1日、私たちは付き合い始めた。

優しくて、かっこよくて、面倒見がよくて、理解があって、すぐに大好きになった。この人がいないと生きていけないんじゃないかな?と何度も横顔を見ながら思った。喧嘩もしたけれどその度に仲を深めた。私がいなくても私の実家に遊びに行き、家族と馴染んでた。真面目で人当たりもいい。そんなところも大好きだった。

付き合って半年後、私は大阪に出た。彼は1年後に京都に追いかけてくれる予定だった。お互い関西で1年過ごしたら2年後には同棲しようか、という話をした。マイペースな私だけれども、彼とは何日という日を共にしても苦に感じたことは無かった。私の将来はきっと、この人と有るものだと思った。

人生で初めて自分より大切だと思った。人生で初めて家族以外に愛されることを知った。

17歳。世界が狭かった。恋愛が全てになるような、そんな歳だった。それでも26歳になった今でもちゃんと思う。

あれは、本当に、愛だった。




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