見出し画像

「田舎臭さ」は価値!モノ売りの最前線からブランド戦略を考える

こんにちは。liloの堀です。
liloは、「道具へのカンシャ」という価値観を伝える、滋賀県信楽の道具ブランドです。信楽で生まれた陶磁器製のダッチオーブン <liloダッチオーブン> を販売しております。

liloダッチオーブンは今年の2月に販売開始をし、この5月で販売から丸々4ヶ月が経ちました。この5月はほぼ毎週、全国のイベントに参加してきまして、たくさんの新規のお客様と出会い、liloを買っていただく中で、私たち自身もプロダクトに対する理解も深まった1ヶ月でした。その中で気づいた大事な発見がありましたので、この記事ではそのことについて考察してみたいと思います。

その発見とは、liloの「田舎臭さ」がお客様にとって価値になっているということです。「田舎臭さ」ってダサいから価値にならないんじゃない?と思われる方も多いのではないでしょうか。その通り。「田舎臭さ」は「ダサい」です。しかし、その「ダサさ」や「ピュアさ」がお客様の価値になっていることがほぼ確実だと分析しています。

画像3

ヨコハマハンドメイドマルシェにて。写っているのは古谷。

私とliloについて

本題に入る前に、この記事で初めて私やliloを知るという方に向けて、簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。知ってる方は読み飛ばしてください。私はlilo株式会社の代表の堀 勝通といいます。滋賀県の草津市という街(県内では都会)に生まれました。中学生の頃から経営者になって商売することを目指してきて、関西大学商学部に入学しました。大学の2年間休学し、1年はメキシコ留学、もう1年は東京のスタートアップ企業に身を置き、ビジネスの最前線で就業経験を積みました。昨年、地元滋賀県に帰ってきて、liloの副社長である古谷(幼馴染み)と20年ぶりに再会しました。

画像2

古谷と将来のことや実現したい世界、解決したい現代社会の問題を語り合う中で意気投合し、このlilo株式会社を2人で設立しました。liloは、「人間と道具の正しい共生世界」を作ることを目指しています。そのために「道具へのカンシャ」という価値観を世界に伝えていくのがliloの役割だと考えています。

現代社会の大量生産・大量消費の中で、私たち自身もそうですが、多くの人にとって本当に大切なモノが見えなくなっていると感じました。そのことに私たちは問題意識を持っています。どれだけ地球に優しい商品を作ろうとも、どれだけ高性能な廃棄物処理システムを作ろうとも、人間の道具に対する態度が変わらなければ、真のサステナブルな社会の実現はあり得ないと思ったのです。ならば、私たち自身が「思わず愛着の湧いてしまう道具」、「道具について考え直すきっかけとなる道具」を作り出そう。そんな想いからliloは始まりました。私たちは手仕事の技術をZ世代の感性で再解釈して、今までにない、そして思わず愛着の湧いてしまう道具を世の中に生み出します。

そんなliloの第1号商品として <liloダッチオーブン> を今年の2月に販売開始しました。liloダッチオーブンは、滋賀県信楽で生まれた陶磁器製のダッチオーブンで、その最大の特徴は ”料理の美味しさ” です。liloは特殊な耐熱陶土でできており、この耐熱陶土がもつ遠赤外線効果によって、食材の素材本来のおいしさと水分を引き出すことでlilo独特の味の無水調理ができるのです。それはstaubやル・クルーゼなどの鋳物の無水調理鍋やダッチオーブンとは全く別ものであり、野菜の甘さ、お肉・魚の旨味など素材本来の深みがより強く感じられます。

20210409_断面遠赤外線

価値ある「田舎臭さ」

<liloダッチオーブン> 発売開始から4ヶ月を迎えた先月は、ほぼ毎週全国各地のイベントに出店しました。この記事のタイトルにもある通り、横浜、奈良、東京のイベントで多くの新しいお客様と出会い、商品を買っていただく中で、liloブランドの醸し出す「田舎臭さ」がお客様にとって価値になっていることに気づきました。これはすごく重要な発見で、今後のliloの見せ方やSNSコンテンツに大きく影響してきます。

liloのSNSの発信やオンラインストアでは、信楽のゆったりした雰囲気や、飾らない私たちの姿を前面に出していますし、リアルなイベントの際は、私たちがブースに立ち直接お客様とお話します。

SNSで自分たちのパーソナリティにフォーカスした投稿をした時、イベントでストーリーを語った時にお客様にliloを買っていただけています。この等身大の私たちの姿や田舎臭い信楽の様子って、今までの感覚だと「ダサい」とされてきたものだと思います。これまでは均整の取れた美しいデザイン、人の心理をくすぐる上手いステートメントこそがクールなはずでした。それが一転、少なくとも私たちが事業をしている範囲では、liloブランドが帯びている「ダサさ」「ピュアさ」こそがliloの購買を生んでいる大きな要因の一つになっているのです。

なぜなのでしょうか?
私たちなりに考察した仮説は、多くの消費者が企業によって騙されたと感じるような購買体験に飽き飽きしているという社会的なバックグランドから起因しているのではないかということです。インターネットやソフトウェアが発達し、誰でも従来の ”イケてる” デザインを生み出すことができるようになりましたし、またOEMというビジネスモデルが一般化してきたために誰でもモノを作れるようになりました。そうなると何が起こるかというと、一気に市場のモラルが崩壊します。そして、消費者にとって、本当に良いモノやこだわって作られたモノが分かりづらくなってきていると思います。だって、「良いモノです」「こだわったモノです」ということが簡単に言えますし、そのように見せることもどんどん簡単になってきているから。例えばキャンセルのできないサブスクD2Cや誤解を招く誇大広告などが典型的な例でしょう。

ならば、私たちはどうすればいいかというと、おそらくこれまでと変わらず背伸びをせず、自分たちのありのままの姿とゆったりとして田舎臭さを残した信楽の雰囲気を、等身大のままお客様に届け続けることではないかと考えています。それこそが今の市場では ”イケてる” ことなのかもしれません。

私たちのSNSでは、毎週私たちが信楽でliloレシピを作るところを載せています。自分たちのチームには、プロのカメラマンがいるわけでもないですし、プロの料理人がいるわけでもありません。ただ、毎日liloを使い、liloの力が存分に発揮される料理を考え、iPhoneで調理の様子を撮影し、インスタのストーリーズに上げ続けているだけです。そして、この撮影を行っている日こそアクセスが集中し、購入が生まれています。欲を言えば本当はもう少し高画質で、編集もしっかりして、YouTube動画を作って配信したいのですが、リソースが配分できるようになったら実現したいなとは思います。

画像7

画像8

■プチコラム■ 最近のお買い物

「田舎臭さ」の価値について考察させていただきましたが、自分たちの活動を皆様に自分ごとに感じていただくため、プチコラムとして最近法人として投資できたものをご紹介させていただきます。笑 もともと私と古谷が合計50万円を出して作ったlilo株式会社ですが、当初から考えると一歩ずつ進んでるなぁと感じれるお買い物をしました。特に大した情報ではないので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。笑

まず、1つ目はカセットコンロを2台新調しました。信楽でレシピを撮影する際に、もともと古谷の家にあったボロボロの(本人は意図的らしいw)カセットコンロを使用していましたが、視聴者からそのボロさを指摘されることが多々ありました。確かに高級な陶磁器製のお鍋を売っているブランドとしては、ピカピカに磨かれたコンロを使うべきだなと思いつつも、マスト投資ではなかったのでごまかしごまかしやってました。そのコンロの変化はliloのオンラインストアのレシピのページを見ていただけると確認できるかと思います。ちなみに古いコンロは古谷が愛着を持って自宅利用しています。

画像6

2つ目の投資はビッグです!なんと中古車を買いました。営業車 兼 商品運搬車としての乗用車です。もともと古谷が持っているハイエースで商品運搬をしていました。これがとてつもなく燃費が悪い。笑 リッター6kmくらいかな。ガソリン代がかかってかかって仕方がなかったのです。運搬する商品が少ない時もあるし、営業の時はパソコンしか積んでないし、とにかくガソリン代がもったいないということで燃費が良くて、ある程度商品運搬車としても使える車が欲しかったのです。購入したのはホンダのフィットシャトルハイブリット。8.5万km走ってて、41万5千円でした。車体もすごくきれいで、いい買い物をしたと思います。しかもこの車、めっちゃ燃費がいいらしいです。納車が楽しみです。

画像4

引用:https://minkara.carview.co.jp/userid/416864/car/887174/2659082/photo.aspx

3つ目は、liloダッチオーブンの蓋裏にliloロゴが入るようになりました。販売開始当初は蓋裏にロゴがない状態でした。liloは石膏型に特殊な陶土を流し込み、圧力をかけることによって作られるので、この石膏型を見直さなければロゴが入れられなかったのです。そして、この石膏型の見直しにもそれなりのお金がかかるので、そこに投資できずにいました。そしてついに、石膏型の見直しができ、5月の生産分から蓋裏にliloロゴが入ったのです。

画像5

まとめ

今回はliloブランドの「田舎臭さ」について自己分析してみました。インターネットやソフトウェアの発展で、誰でも情報にアクセスでき、誰でも ”良さげな商品” を作れるようになった昨今においては、人が共感できるストーリーと信念を持って、ただただ等身大で発信し続けることが必要なんじゃないかなと思います。しかし、素人っぽすぎてもお客様を引き付けることはできなので、いい塩梅で ”ちゃんとしてる感” は必要だと思います。今後も事業をやってて気づいたこと、マーケティングについて、商売をする上で大切にしていることなどをnoteに書いていきたいと思います。

ずっと売り切れで予約販売をしておりましたround Lとsquareを5月下旬に入荷し、まだ少しだけ在庫がございます。(2021年6月4日現在)今ご購入いただけますとすぐにお届けできます。round Sは売り切れて、生産を待っていただいております。在庫に関しては、なくなる場合がございます。その際は購入予約していただけたらと思います。

ではまた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?