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晴れてゆく

天気がいい。風は撫でるどころか真正面から立ち向かってきて、空は眩しくて、東京は雲ひとつない晴天。しっとりゆるやかな雨の日の気分も好きだけれど数日続くと気持ちが下がってくるから、圧倒的に晴天派。都会に出てくるまで、空が広いのは贅沢だって知らなかったけれど、それでも窓の外やビルの隙間から空模様がみえるのはいつも嬉しい。 いい出会いがあった先週の金曜日、新しいことを知る楽しさと、楽しいことを広げる喜びを久しぶりに味わった。ちゃんと味わうことができた。味覚の不調なのか水が甘く感じて飲

    • 鉛は溶けて

      会社員3年目になるんだって。自分で働いてお給料をもらって自分で暮らすのルーティン、「生きるために生きるってこんなにハードなの?」と思った1年目に比べれば、それなりに暮らせるようになった。洗い物が残っていても、洗濯物を干していなくても、掃除機をかけられなくても、全然生きていける。そんなん未来の自分に宿題を残してるんちゃうか論争もあるけど、できるときにパッとやったらいいし、プロの力を頼ってもいい。同居人がいれば協力してもいいし、ちゃんと食べてちゃんと寝てちゃんと自分の声を出してた

      • むくの寝息

        わんこを迎えた。年始ぶり2回目の対面で、覚えていたの?と言いたくなるくらいすぐ寄ってきてくれた私の大切な大切なわんこ。帰りの車は驚くほど大人しく私の膝の上でほとんど寝て過ごして、この子の声まだ聞いてないなあ穏やかだなあと思っていたのも本当に最初の数時間の話だった。 早速訪れた、絶え間ない夜鳴きをどうする問題。 彼は赤ちゃんで、この世界をまだ3ヶ月しか知らない。一昨日までお母さんと一緒に過ごしていた子犬は半人間界のブリーダーさんの元から我々の住むガッツリ人間界にしっかり拉致さ

        • 湯上り猿

          1泊2日のスキースノーボード旅行、友人が膝を痛めたので、2日目はスキー場に行く予定を変更して長野の地獄谷へ行った。駐車場へ車を置いてから30分以上歩くとは知らず、凍結したつるつるの道を歩いた。足元と前方を気にしながら、これほど集中して一歩一歩進めたことは無い。一歩を確かに進めて、30分ほど経った頃、しっかりお猿がたくさん現れた。そう、ここが地獄谷。お猿が温泉に浸かる場所。 温泉に浸かって顔がいい湯上りのお猿たち、君たちはこんなに素晴らしい場所を知ってしまって、そこから極寒の

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          檜鯨を撫でて

          生活は続いていく。 生きている限り途切れることはないけれど、年末年始や誕生日や記念日などの節目によって、良いことはパワーアップで引き継いで、それまでの"負"はリセットされて、また新しい何かが始まる。一番リセット感があるのは休みも長い年末年始、私もそのリセットを行った人のうちの1人。年をまたいだだけではないぜ!去年の私とはひと味もふた味も違うんだぜ!と思っているうちの1人(そういう人はどれだけいるんだろう)。転機はきっと誕生日にFabriceがプレゼントしてくれた本。目の前の

          檜鯨を撫でて

          秋光

          ひっくり返った蝉に怯えながら、一晩置いただけで朽ちた味噌汁を片付けながら、張り付いて私を離さないデニムを脱ぎかけ状態で汗が引くのを待ちながら、例年以上に熱々な日本の夏を過ごした。風鈴や水音より日陰、日陰より冷房、ではなく。正直な話、冷え過ぎたくない贅沢者なのでレースカーテンだけしめて、窓を開けて、冷房をつけてすやすや寝ていた。 2週間と少し滞在予定の京都は窓を開けて寝たら少し肌寒いくらいで、日本の中でも先に秋を先取りできた気持ちになる。4週間前に仕事で行った北海道の旭川のほ

          やさしいままで

          4.19の夜 簡単にいろんなこと励まされちゃう今日の心模様、優勝な出来事はSpotifyから突然流れてきた女性シンガーのサザンオールスターズのカバー曲。もう私の中の少年少女はこういうんが沁みてしょうがなくて、押し殺してなんてなかったけども、端っこに放っておいてたことに気づく。私がここまで健やかに過ごせてるのは私のおじいちゃんが守護神になって見守ってくれてるからで、それと同じくらい私の中にいる無垢な少年少女も表向きの私を内側から支えてくれているのであった。 4.28の昼

          やさしいままで

          レモンイエローの指先は

          明けない夜はないぜって言った人は、明けてほしい夜があったんだろうけど。明けた瞬間にそう思ったんじゃなくて、その時を振り返って明けたことに気づいてる、絶対。急に目がチカチカして目の前が見えないほど明るくなることなんてないんだよなって、もしそれがあるならそれは自分からみた光じゃなくて誰かが照らした光なんだろうなって。 明けない夜が明けたときって、きっと私は夜と朝のグラデーションが自然すぎて気づけない。だって明るい時は明るいことが当たり前で気づけないし、暗いにも濃淡がある。明るい

          レモンイエローの指先は

          じいちゃんと富士山

          じいちゃんにまだ描きたい気持ちがあることに母は驚いていた。ずっと同じ絵を描いていたじいちゃんが、今年ついに富士山を描こうとしている。 私が初めて綺麗だと思った山は、じいちゃんの描いたマッターホルンだった。みるからにカクカクざらざらした稜線を下になぞっていくと、大きな湖が見える。湖の左右に草と花、空は青のグラデーション。実家の階段を上がったところにあるマッターホルンの絵は毎日みていたからすぐに思い出せる。マッターホルンが実在していると知ったのは小学生の時に見た『にじいろジーン

          じいちゃんと富士山

          ピースのこと

          10.20 8:35 平塚行の上野東京ラインに乗って、浜松町発のモノレールに乗り換えて、羽田空港に向かう。今日から出張、1泊2日で徳島。電車の中でこんなパンッパンに目に涙ためて携帯で文字打ってるの、たぶん私だけ。 実家のおじいちゃん犬が危篤と聞いて、19日の夜に急いで帰って、今朝おじいちゃん犬を撫でてから家を出た。名前はピース。ピースは私の青春をずっと横で見ていたし、いつ会ってもしっぽをぶんぶん振ってにこにこしていたし、ずっと元気だった。14年も生きた、まだ生きてる、昨日

          ピースのこと

          衝動的なくらい、

          生活の中に潜む小さな衝動。朝起きてきれいに晴れていたら靴を洗わなければ!とか、燃えるゴミの日の前日夜に洗い物をしながら、もう食べられないものをまとめなくては!とか。このついでにこれ、あのついでにあれ。変にこうしようああしようと思っていない日に限って、1日は気持ちよく進んでいく。今日だってそうで、まさに朝からスニーカーを洗って干して、部屋中をクイックルワイパーかけて、いらないものをたくさん捨てた。なんでも取っておきたいタイプ、捨てるのが苦手な、ミニマリストならぬマキシマリスト。

          衝動的なくらい、

          おいしい備忘録 -豆腐編-

          お仕事用PCを閉じてから、いや閉じる前から、冷蔵庫にある豆腐4パックをどう食べるかずっと考えている。消費期限が迫っているのに、お昼は欲望のままパスタを作って食べてしまった。きゅうりもある。納豆もキムチもエノキも、ちゃんとある。これだけ布陣は揃っているのに豆腐は変幻自在すぎていつもどうしていいか迷ってしまう。冷蔵庫の中のものと今日作って食べたいものがうまく噛み合わない。でも、あるものでそう!これこれ〜!ってなるものを作って食べたい。だって今日はキムチ納豆腐(週2で食べている、豆

          おいしい備忘録 -豆腐編-

          3才と過ごすキャンプで

          子どもの抱っこの仕方がわからない。わからないことはないだろうと思ってはいるものの、いざ「抱っこしてみる?」なんて言われたらやっぱりドギマギしてしまう。特に赤んぼうは(そんな機会滅多にないが)無防備すぎて触れるのさえチョンっくらいだし、少し大きくなった3~4才の子でも両脇の下に手を入れてちょっと持ち上げる以外浮かばない。"抱っこ"なんて言葉を使うのもおこがましいですね、これは持ち上げただけです。 大人4人、3才の子1人でキャンプフェス。大人といっても私を含め3人は新社会人なり

          3才と過ごすキャンプで

          知るという一歩を

          今朝は雨だった。窓を少し開けて寝ることにしているので、車の音と人の声で朝早くに目が覚めた。カーテンも窓も大きく開けて、カーペットに座ってカーテンのゆらゆらをぼーっと眺める時間が好きだ。1日の始まりは夜と比べれば幾分前向きで心が軽い。体のほうも、シャワーを浴びたり胃にあったかいものを入れたり、それだけで体の奥の奥から目覚めていくような感覚がある。 ぼんやりと、昨日の友人のLINEを思い出す。 “偽善者”とはなんだろうか、私が送った記事に対して友人はこんなことを言った。大好き

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          October 12|白、1163の数字について

          風が冷たい曇天の火曜日。定期検診があったので午前中から都内の病院にいた。大学病院に通うことは慣れっこだが、病院のあの独特の雰囲気と匂いには未だ慣れない。 ※このnoteを投稿したとき、高校の同級生でいま医学生の友人からDMをもらって気持ちやお医者さんとのコミュニケーションに変化がありました。このこともしっかり残そうと思い、最後に【追記】をしています。(友人に掲載確認中) 乳腺科の待合室へ行くと、そこはもう全員女性の世界である。今日その場にいたのは40代(の方も少なく、より

          October 12|白、1163の数字について

          October 7|マジックアワーの魔法、端書。

          彼とデートの話、鎌倉と江ノ島に日帰りで行った日のこと。天気が良く風の気持ちいい秋晴れの日で、日差しが眩しかった。湘南新宿ラインは人身事故の影響で遅延をしており、彼から遅れると連絡が来たのでタクシー乗り場の前でぼーっと鎌倉の街を眺めていた。 初めて鎌倉を訪れた日は小学校の修学旅行だった。 東日本大震災から一年と少し経った頃で安全面から自由行動の時間をあまりとってもらえず、もう10年前くらいのことなのであまり覚えていないが、小町通りだけ自由行動ができた。小町通りといえば、おもち

          October 7|マジックアワーの魔法、端書。