見出し画像

檜鯨を撫でて

生活は続いていく。

生きている限り途切れることはないけれど、年末年始や誕生日や記念日などの節目によって、良いことはパワーアップで引き継いで、それまでの"負"はリセットされて、また新しい何かが始まる。一番リセット感があるのは休みも長い年末年始、私もそのリセットを行った人のうちの1人。年をまたいだだけではないぜ!去年の私とはひと味もふた味も違うんだぜ!と思っているうちの1人(そういう人はどれだけいるんだろう)。転機はきっと誕生日にFabriceがプレゼントしてくれた本。目の前のことに集中することは重要だけれど、10年単位の長い目でトライしたいことや大切にしたいことも常に心に留めて、少しずつでも自分なりにできることを続けていこうと思えた、24歳の始まり。"君はまだ若い、なんでもできる"って声に出して言われるとすごく心強いって初めて知った。誰かに対して、誰かにとって心強い言葉を真っ直ぐに伝えられる人でありたい。


3月頃、わんちゃんをお迎えすることになった。ここ数ヶ月で1番悩んでいたのはこのことで、ブリーダーさんのサイトを見ながら掲載されている犬たちが可愛くて可愛くて日々頭を抱えていた。やっぱり動物が好きで、犬と暮らす生活を望んでいた。迎えない理由を言い訳のようにたくさん浮かべていたけれど、家族を迎えて得る喜びに優る理由なんて何一つないって分かっていた。そんなこんなで日々頭を抱える中、12月中旬頃に社宅管理会社から連絡があり、今住んでいるアパートの取り壊しにつき"強制退去"を告げられ、ペット可の物件を探し始めてから、有難いことに歯止めが効かなくなった。年末に引っ越す家が決まり、大晦日に可愛い子に一目惚れをしてブリーダーさんに連絡をして、1月3日に会いに行き、絶対にこの子だって即決。守りたいものが増えた。それからは、2週間に1度ブリーダーさんから届く動画を楽しみに毎日を過ごしている。会いに行った時は手のひら2つにすっぽりだったのに、それから1ヶ月も経つともう四足で立ったりしっかり座ったりできるようになっていた。調べてみると、犬の1才は人間でいう15才、2才は24才らしい。

私と同じ兎年生まれのこの子についてふと気づいてしまった驚愕の事実。

次の兎年はもう彼はおじいちゃんになっているはずで、私も36になっている。時は経つのだ、永遠のティーンなのは気持ちだけ。わたしの人生に重なった犬の一生、寄り添い合えるように。健康第一だなあとか、いろんな景色がみたいなあとか、幸せは今ここにある全てだって私からも伝えられるようになりたいなあとか、そんなことを考える2月初めです。迎えるまであと1ヶ月。


檜でできた鯨はお守り。年が明ける前から不調が続いていた、何度目かの自律神経云々。汗が出る、寒気がする、吐き気がするの突然のループを自分でコントロールできない難しさ。会社に辿り着けなかったり家にうまく帰れなかったり、けっこう気持ちの面で辛かったように思う。でも母から贈られた鯨のおかげで、自分がハイでもローでも関係なく、ポケットに忍ばせておいて握ると落ち着くようになって、私の中の波が穏やかになる感覚。木の持つエネルギーと、鯨という生き物の不思議な包容力に何度も救われている。これがあったら大丈夫、というものを身につけるとこんなにもほっとする。人混みの電車、音の大きい駅、自然光のない部屋、アスファルトだけの道。鯨さえここにいてくれたら、苦手が薄れていくような気がする。


会社の大好きな先輩たちとご飯に行った。黒歴史の話になって、恥ずかしかった話になって、あとは何を話したかよく覚えていないけれどずっと楽しく笑って過ごした。肩肘張らずにそこに居させてくれる、先輩風の"せ"の字もない良いお兄さん達は本当に良いお兄さん達なんですよ。本当に。

会社の大好きな同期2人とご飯に行った。身の上話からしょうもない話まで選り取りみどりなトピック。自分の意見を主張するだけで、相手のことをどうこう言ったりしないあの距離感が心地良い。お互い土足で踏み込むことをしないのは、モラルというよりデリカシー(これは先輩との話ででてきた対比、面白い)。

それっぽい体裁、それっぽい発言なんてこの人たちの前じゃ全部そんなこと考える時間すらもったいない。ただ何か溢れてくることを話したいし、いくらでも聞いていたかった。人に恵まれたことを実感して、入社してから2年も辞めずに働いて良かったと感じている2月の初め。


最近悲しいニュースや過激なニュースが多い。どこで生きていても声が大きい人はいるし、自分と様々な程度が違う人もいる。他人の悪意のないナイフで必要以上にあなたが傷つきませんように。
心が揺れることがたくさんあっても刺激に麻痺はしないように、大きめのマグカップに並々に紅茶入れて大人飲み(概念ある?)したり、早起きしてちょっと勉強していい気持ちになったり、お散歩してよく寝て美味しいもの作って食べたり。今ここに"ある"or"いる"ことに目を向けて、今日私もあなたも朗らかに過ごせますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?