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ピースのこと

10.20 8:35

平塚行の上野東京ラインに乗って、浜松町発のモノレールに乗り換えて、羽田空港に向かう。今日から出張、1泊2日で徳島。電車の中でこんなパンッパンに目に涙ためて携帯で文字打ってるの、たぶん私だけ。

実家のおじいちゃん犬が危篤と聞いて、19日の夜に急いで帰って、今朝おじいちゃん犬を撫でてから家を出た。名前はピース。ピースは私の青春をずっと横で見ていたし、いつ会ってもしっぽをぶんぶん振ってにこにこしていたし、ずっと元気だった。14年も生きた、まだ生きてる、昨日も生きた、今日も生きてる。

目はあまり見えなくなって、耳も遠くなって、餌は散らかしながらゆっくり食べる。ワン!って吠えたらお父さんが駆けつけてくれるから、お父さんに連れられて気ままに屋外と屋内を行ったり来たりしてる。

ピースがずっと元気だから、目が見えなくなっても耳が遠くなっても匂いで私のこと気づいてくれるから、これからも長老として我が家に居てくれると思ってたの。

我が家には3匹の動物がいた。犬のピースとテン、猫のボーちゃん。テンはピースが1才半くらいのときに我が家に来た子で、私が大学生の時に両親に見守られながら死んだ。生き物は死ぬということを最初に知ったのはテンが死んだときで、その後猫のボーちゃんが死んで、全部悲しかったけどいまだに全部実感が湧いてない。最期の瞬間に立ち会えなかったとか元気な時しか見ていないとかいろいろあるけど、本当に実感が湧いていなくてなんだかまだひょこっと出てきそうな気がする。

だから、ピースはちゃんと会いに帰らなきゃって思った。

10.19 18:50

ピースはおじいちゃんになってから、いつでも様子が見えるように父の仕事場にゲージを置いて、そこで過ごしていた。今日は同じ空間に私と父と母。お父さんは「いつもと一緒のほうが落ち着くかと思って」ってお仕事をしてた。

ピースはいつもより呼吸が早かった。頑張って起き上がろうとしても上手く起き上がれなくて、動かなくていいんだよって母と一緒にピースを撫でた。

見えてなくてもいいからピースの正面から、聞こえてなくてもいいからピースの名前を呼んで、ピースが動かなくてもいいように撫でた。こんなにたくさん頭撫でられたことないぜ、嬉しい!って顔してた。こんな時でも可愛い。

泣いてしまうから、一回離れた。トイレで泣いた。でもちゃんとそばにいたいと思って、ふーって深呼吸してからピースのいる部屋のドアを開けた。その時、ピースが起き上がった。私のこと見て、吠えようとした。もう口の周りの毛も白くなったのね、ピース。お散歩!?みたいな顔で私のこと見ないでよ。

10.20 8:00

ピースは昨夜より穏やかな顔で、でも少し苦しそうにしながら横になってた。行ってくるねって撫でた。またねも、ばいばいも、元気でねも全部違うから、大好きだよって言った。

10.20 21:46

母からピースが天国に旅立ったとLINEが来た。14年も生きた。

10.29 11:00

20日から2週間、ずっと仕事がバタバタしていた。でもありがたかった、仕事のことを考え続けられた。仕事以外の時間もずっと誰かと一緒にいた。1人で過ごす日はピースが死んでから今日が初めて。どうしても、やっぱり悲しい。悲しいなのかな、悲しいってこういう気持ちのことをいうの?ありがとうもごめんねも大好きも全部ひっくるめたらなんていうんだろう。

ピースは私が何を考えて何を見て生きてたか、きっと一番知ってる。ピースとテンを散歩する時間が、お父さんとたくさん話せる時間だった。

聞いて聞いて、今日学校でこんなことがあってね。
部活でうまくいかなくてね。
文化祭でこういうことしたいと思っててね。
大学に進学したいと思ってる。
新しい生活はまだ慣れないけど結構楽しくてね。

全部ピースは聞いてた。なんとなく頭撫でたら嬉しそうに私の顔見て、今この瞬間のピースが感じる嬉しいとか気持ちいいとか、その気持ちをいつも伝えてくれた。

ピースがいてくれてよかった。
ピースの家族になれてよかった。

大好きな犬。本当に大好き。全部全部大好き。
これからもずっと大切な家族。ピースもテンもボーちゃんも、新入り猫のロンも、お父さんもお母さんもお兄ちゃんも。

ピースの大好きなところはね、いつでもご機嫌なところ、暑さにも寒さにも強くていつもルンルンしてるとこ、ご飯にがっつくとこ、食べこぼしをスズメにシェアしてあげるとこ、はしゃぎ過ぎたらすぐ吐いちゃうとこ、近所のおじい犬に決闘申し込んだら負けて帰ってくるとこ、ドッグランでちゃんとランするとこ、いつも人の顔見て歩くとこ。

ピースみたいに愛される人になるよ
あなたがいてよかったって誰かに思ってもらえる人になるよ
ちゃんと見ててね、これからも私のそばにいてね







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