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【vol.5:浅子佳英さん 】1階と2階を全く別の構造にすることで可能にした新しいオフィス兼自宅のモデルケース

こんにちは。各分野のプロフェッショナルの方々に取材を行い、おすすめのWFHの環境や、リモートワークにおけるオンとオフの切り替え方などを紹介していくLighten up your WFHです。
(※WFHとはワークフロムホームの略で、家から仕事を行うこと。 最近だと、リモートワークやテレワークが類語として浸透している)

ビジネス、建築、クリエイティブ、音楽など様々な分野のプロフェッショナルの方々に、それぞれのリモートワークの中での過ごし方や、照明環境の整え方、オン・オフの切り替えのコツなどを取材しました。

下記、10名の取材記事を順次ご紹介いたします。

小山和之/designing
木本梨絵/HARKEN inc.
もろんのん/フォトグラファー
別所隆弘/フォトグラファー・文学研究者
浅子佳英/建築家
安藤剛/THE GUILD
反田恭平/ピアニスト
池澤あやか/タレント・エンジニア
平井幸奈/ForuStyle Inc.
杉田陽平/画家              (敬称略)
▼Lighten up your WFH
https://note.com/lightcycle_morph/m/m239d4b66a3b6

第5回目となる今回は、建築家/編集者の浅子佳英さんのケースをご紹介。理想のワークスペースと照明の関係についてインタビューしました。


ー建築家を目指そうと思ったキッカケを教えてください。

浅子さん(以下、敬称略):神戸生まれなので、最初のきっかけは建築家の安藤忠雄さんです。そもそも、建物をデザインする仕事があるんだということに衝撃を受けたのもありますが、単なる建物としてだけでなく、作品としてアプローチする姿に感銘を受けました。

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ーオフィスやご自宅にも、こだわりがありそうな気がします。

浅子:住まい兼オフィスとして利用しているので、1階部分の居住スペースは入口もないですし、外からは中の様子が伺いにくいつくりにしています。もう一つ1階の特徴として、小さな部屋(娘の部屋、洗面スペースなど)に区切って、各部屋の目的に特化した専用のインテリアにしているのもポイントです。

逆に、2階は区切ったりせずに大きなワンルームとし、大テーブルと本棚だけを置いて、何をしてもいい空間にしています。スタッフが増えてきたこともあり、一つの空間でできることを最大化させる意図があります。

最近、設計だけでなく、新たに出版事業を始めたのですが、さっきまでそこのテーブルを使って4人で製本作業を行っていました。そういうことができるのはいいですね。

「デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ」著:土田貴宏

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ーかなり特徴的な構造ですね。

浅子:様々な人間が一緒に活動する家族の住まいやオフィススペースには余白が大事だと思っていて、個々人の需要や活動に寄り添う意味でも、単なるフレキシブルではなく、多様性を認める観点を意識してものづくりに臨んでいます。実は、現在進行形で設計を担当している八戸市美術館も、同じ考え方を基にしているんです。

ーと言いますと…?

浅子:いわゆる展示作品をお行儀良く見てもらうだけではなく、インスタレーションを行ったり、ワークショップを開催したり。はたまた、スタッフの仕事場を混ぜてみたり、市民の方が展示や活動できるスペースがあったりと、様々な場面に対応できるような設計をしています。

これまでの「美術館に来そうな人」みたいな既成概念や枠組みから少し踏み出して、いろんなクラスタの人に足を運んでもらうための工夫を施しました。オープンは2021年11月の予定なので、ぜひ遊びに来てください。

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ー個々人の需要に寄り添うのは、大事な視点です。

浅子:時勢も加味すると、満員電車の中でスタッフを出勤させるのも憚られるし、移動時間がもったいない派なので、基本的にはリモート推奨なのですが、新スタッフがジョインしたタイミングということもあり、フルリモートだと細かい温度感のすり合わせは難しいと感じ、週の半分ほどはリモートに移行しました。

ーリモート環境下で課題に感じていることはありますか?

浅子:同じ空間にいることでアウトプットの密度が上がったり、方向性のすり合わせがスムーズにできたりする側面があるので、リモートのみだと業務に支障が出ると感じる部分はありますね。

建築のプロジェクトは、各方面のプロフェッショナル同士が共同して進むものなので、互いのアイデアを共有しながら一緒に考える進め方が個人的に好きだし、うまくいくケースも多いんです。

ー設備面で投資はされましたか?

浅子:扱う作品や依頼される建築物のスケールが大きくなってきて、その模型を作るとなると2~3メートルになることもあります。だんだん、模型を使っての検討が難しくなってきた感覚があったので、VRを導入しました。今後、どんどんアップデートされる分野だと思うので、まずは使い慣れておいた方がいいと思ったのも理由の一つです。

ーオフィスやワークスペースに関するこだわりやポイントをお伺いしたいです。

浅子:一つは、6,3mのとても大きな机を置いていることです。また、いわゆるオフィス然とした雰囲気が苦手なので、自由に歩き回れる場所を設けておくことも意識しています。決められたスペースに収まって仕事をすることで「働かされている」感が出ないような、メンタル面の対策も頭に入れてデザインしています。

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ー建築物に欠かせない照明や光関連はどうでしょう?

浅子:実はこれまでにオフィスの蛍光灯だけでも10種類以上買って試しています(笑)。それくらい、照明が持つ微妙な光のニュアンスや演色性はかなり重要視しているポイントです。ご提供いただいたDyson Lightcycle Morph™ライト(ダイソン ライトサイクル モルフ ライト)は、その演色性が90以上(※1)なので、かなり満足しています。

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また、演色性に加えて特筆すべきは、調光と調色がどちらもできることです。この2拍子が揃っている照明はまだほとんどないんですよ。真っ白でもなく、黄色くもない、普通はあまり使わない微妙なニュアンスが形になっているのは、照明にこだわる人種からするとかなり大きい要素です。

日中の自然光が部屋に入ってくると、どうしても照明の光は相対的に黄色く見えてしまう。その課題を解決してくれる優れものとして、重宝しています。

ー専用アプリも、かなり使いこなしているとお聞きました。

浅子:2つほど自分の好きなモードを設定し、シーンに応じて使い分けています。個人的に室内照明は、午前中だと4000K(ケルビン)がベストで、午後になると3500K、夜は3000Kくらいがちょうどいい。デフォルトの設定にある学習モードやリラックスモードだと、微妙に好みとは合わなかったので、カスタマイズしました。

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作業用の照明だけでなく、読書灯として使うこともあります。家電量販店で売られている照明ってその売り場で目立つ商品を作ろうとするケースが多くて、原色だったりカラフルすぎたりして、家に置くインテリアとしては浮いてしまう傾向がある。だからこそ、Lightcycle Morphのシックで無駄を省いたデザインと、黒色なことが嬉しい。

もう少し技術が進んだり改良されて、家全体の調光や調色がアプリだけで完結できたらいいですね。それこそ、Lightcycle Morphの技術を活かしながら、家庭用に安価な電球が製品化されたりしたら、大変助かります(笑)。


ーご自宅と仕事場が同じ環境下で、オンとオフの切り替えが難しいと感じる場面はありますか?

浅子:正直にいうと、切り替えに関してはかなり苦労しています。決して悪い意味ではなく、夫婦というのは強引に1つのことを一緒にできるんです。一緒にごはんを食べたり、映画を見たり。でも子供がいるとそうはいかない。子供が怒ったりすると、仕事の手を一旦止めて相手をしなきゃいけない場面も多い。

オフィスと自宅を一緒にしていることが、子供からすると「どうして自分の家なのに2階は自由に使えないの?」みたいなモヤモヤの発生に繋がったり…。

オフィスを別で借りるという案もありましたが、スタッフとも相談した結果、その方向は無くなりそうなので、1階と2階の用途を入れ替えて1階を作業スペースにするなど、何かしら工夫して少しずつ改善していく予定です。

ーでは、オフ感を楽しめるのは何をしている時でしょう?

浅子:洋服や本を買いにいくのが1番多いかもしれません。最近はなかなか行けていませんが、インプットもかねて新しい建築やインテリアができたら見に行ったり、展覧会や映画などにもよく足を運んでいました。趣味を仕事にしちゃってるみたいなところがあるので、ずっと働いているとも言えるし、ずっと遊んでるとも言える。だから、完璧なオフって言えるのか怪しいですけどね(笑)。

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ーモチベーションを維持する上で、大切だと思うことはありますか?

浅子:楽しみながら働くってことでしょうね。ふざけるとか、不真面目にやるとかではなく、熱中できる環境を自分で作るという意味合いです。派手な服を買ったり、おいしいものを食べたり、仕事のための遊びを充実させること。

1日中、ずっと机に向かっていて1文字も原稿が書けないなら意味がないはず。リモートワークならではのメリットを活かして、好きな時間に映画を見たり、ごはんを食べ、生産性を高めることにコミットした方がいいと思うんですよ。

好きな時間に仕事をしていいよって言われるとサボる人も出てくるから、企業側は管理したい気持ちもわかるけど、成果を出すための休憩やご自愛の時間は、テンションを上げるために必要だから許してくれって思います(笑)。ぼくもスタッフがいるので自戒の念を込めて。


ー今日はありがとうございました。


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※1:Illuminating Engineering Society (照明工学協会: IES)著 『The Lighting Handbook, Tenth Edition: Reference and Application』 (2011年7月30日)。Dyson Lightcycle Morph™ライトの場合は、タスクライトとして使用する場合にのみ適用されます。